S.S様の相続体験談:親の介護で兄とトラブル
これは、私の従兄弟が経験した相続纏わる話です。
従兄弟は結婚して幼児二人がいる四人家族で、関東地方の某県に住んでいます。
その隣県には従兄弟にとっての義理の両親、つまり妻の両親が住んでいて、さらにその県にはその兄が住んでいましたが、そこはご両親の家のすぐ近くではなく、少し離れた別の市に住んでいました。
ちなみにそのお兄さんは結婚後すぐに離婚しており、現在独り身という状況です。
従兄弟の義理の両親は、二人共健康状態、特に足腰の状況が大変良くありませんでした。
しかも義理の母親の方は痴呆の症状もみられるようになり、よくかんしゃく起こしたり、急に泣き出したりと言ったことがしばしば起きるようになったそうで、介護が必要な状況でした。
それで言ってみれば、従兄弟の義理の父親の方が母親側を介護をする老々介護の状況だったようですが、従兄弟の妻は、子育ての合間をぬってわざわざ隣県の両親の元へ行って介護を手伝っていたと言います。
しかしながら介護の中心はお父さんでありそれが心身共に大変な負担だったようで、家の中で介護中に倒れ、救急への連絡も遅れたことも災いし、病院搬送後お亡くなりになってしまいました。
しかも、その死亡が新たな問題へと発展することになります。
残された義理の母親は介護が必要な状況でしたので、母親の面倒は独り身で尚かつ同県に住む長男、即ち従兄弟の妻の兄が面倒をみるものと誰もが考えていました。
ところが、そのことがよっぽど嫌だったらしく、葬儀が終わって間もない頃、そのお兄さんが従兄弟夫婦の家に押しかけてきたそうです。
その際、そのお兄さんが口にしたことを整理すると
・父親とケンカした際「お前なんかには頼らない。二度と敷居を跨ぐな」と言われた。
・それは自分にとって父親から最後に聞いた言葉であり、遺言でもある。
・従って自分はあの家に行く必要はないし、頼らないと言われた以上母親の面倒をみる必要もない。
・だからお前達夫婦が(お前達の家に引き取って)母親の面倒をみろ。
といった、言ってみれば従兄弟夫婦にしてみれば血の通わない、大変理不尽な要求だったそうです。
もっとも従兄弟は引き取っても良いと考えたようですが、妻の言い分としては独り身でほとんど両親の世話をせず、自分だけに面倒を押し付けてきたという思いがあったらしく、断固それを拒否したそうです。
しかしその兄は引き下がらなかったようで、何度も従兄弟の家に押しかけてきては同じ要求を繰り返し、とうとう切れてしまった妻の方が投げつけたガラスのコップが原因でその兄が怪我をしてしまい、警察沙汰にもなってしまいました。
幸いお咎め無しで済んだようですが、なぜそのお兄さんが執拗に従兄弟夫婦と自分の母親との同居を迫ったかというと、結局確証は得られなかったようですが、自分の両親の家を売却して、どうやらその金を自分の懐へ納めようと画策していた節があったとのことです。
さて、その後どうなったかと申しますと、死亡された父親が自分の妻のことを案じたのか本当に神がかり的に痴呆が一時的に改善し、母親の自分自身の意志として自宅を売却しそのお金で施設に入ることを決断し、現在、大変設備やスタッフが揃った施設で快適に生活されているとのことです。
このことを通じて、従兄弟も私も考えたことですが、とにかく自分が健康な間に遺言等を残しておくことと、例え親族間であっても、(法律的に有効であろうとなかろうと後々トラブルを招かないように)その関係を壊すような捨て台詞を吐いてはならないということを学べたような気がしております。
オール相続からのコメント
兄弟・姉妹同士でも、お金や親の介護の問題でトラブルになることが多いです。親御さんは元気なうちにメッセージや指針を残しておくといいでしょう。
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