相続での遺言執行者の義務・報酬のまとめ

公正証書遺言が出てきた場合、どのように手続きを進めればよいのでしょう。相続人がやるととても骨がおれます。
しかし、遺言執行者が記載されていればその方が全ての手続きを代行することになり、手続きもだいぶ楽になります。

公正証書遺言の執行者は手続きをする人

公正証書遺言があることがわかった場合、その文章の中に「遺言執行者」が書いてあることが多くあります。
遺言執行者とはどのような人の事をいうかというと、「遺言に書いてあるとおりに遺産を分配、手続きを進める人」です。

弁護士や行政書士などの手続きに携わった士業が書いてあることもあれば、長男など相続人の中で実際に相続手続きのために動く人が指定されていることもあります。

相続が発生した場合執行者の業務内容

遺言執行者は下記業務を執行するわけですが、これは遺言執行者の義務といえます。
遺言執行者の義務は以下のとおりです。
 

1.相続人を確定させる、通知する

戸籍謄本を集めるなどして、だれが相続人になるのかを確定させます。そして、関係者全員に自分が遺言執行者になりましたと通知していきます。

2.財産目録を作成する

亡くなった方の財産が、何がどれだけあるのかを一覧にします。不動産、預金はもちろん、自動車や株式など全て洗い出さないといけません。

3.財産を分配する

遺言の内容にのっとって、不動産を誰に、銀行預金を誰に、といった分配をしていきます。名義変更の手続きをそれぞれしていきます。

4.全員に報告

全ての分配や手続きが完了した後、相続人全員に完了の報告をします。

遺言執行者の報酬は財産の0.4%から2%程度

遺言執行者になってしまったら、書類集めから何からとても大変です。金融機関の預金凍結を解除するのでも銀行に何度も足を運ぶことになるでしょう。また不動産があるような場合には不動産登記の詳細な手続きを踏まなければならないなどの手続き的な負担がぐっと増えます。

これを平日に働いている人が行うことは非常に難しいことになります。そこで、遺言執行の業務を専門家に委託することもできます。この場合、弁護士や司法書士・行政書士がその役割を担うことになります。

この場合の報酬額ですが、現在は各弁護士会、司法書士会、税理士会、行政書士会とも報酬規定などはありません。
ですから、一律に○○○円というようには決まりません。各専門家の方の事務所の報酬規定や実際の手続き作業量によって金額が上下する模様です。

なお、日本弁護士連合会においては、相続財産額が5000万円(財産は不動産、預金、株券)のときの報酬について統計を出しています。
それによると、20万円程度(財産価格の0.4%)から60万円程度(財産価格の1.2%)という事務所が多いようです(全体の2/3ぐらい)。なかには、100万前後(財産価格の2%)という事務所も2割ほどあります。

もちろん、この金額には注意が必要です。
遺言執行手続きには、相続人調査、財産調べ、預金名義書換え、不動産登記移転手続き、株式名義書換えといった内容があると思います。しかし、手続きが一つならまだしも、手続きが複数になった場合まで加味しているかどうかはよくわかりません。もっとも、財産価格の2%を超えるようならちょっと高めかな?ということは言えるでしょう。

なお、各専門家の報酬についてもこれにならった形になるようで、財産価格0.5%から1%程度になることが多くあるようです。

実際に、専門家に遺言執行者をお願いする場合には報酬についてよく相談して、具体的にどのぐらいの手続作業量かを想定して、報酬額の見積もりを出してもらうのも必要かもしれません。

なお、これとは別に税理士による相続税申告は発生しますので、その点も考慮しておく必要があります。

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