遺言だけで大丈夫?葬儀の準備もしておこう

ここ数年「終活」がブームなせいか、以前に比べると生前に遺書を書き、遺言を遺す人が増えてきています。しかし遺書や遺言と並んで「死ぬための準備」としてとても大事なことがあります。それは「葬儀の準備」です。ここでは生きている間にやっておくべき葬儀の準備について考えてみましょう。

「葬儀の準備」の勧め

遺族にとっては大きな負担?

 「自分のことは何でも自分で済ませる」という主義の人でも、絶対に不可能なのが「自分の葬儀を自分ですること」です。自分の人生を締めくくるという、ある意味では人生における最大のハイライトともいえるこのイベントだけは、既に自分自身の命が尽きていますので絶対に他人に委ねることになるわけです。   大抵は残された子や兄弟、場合によっては親などが葬儀を執り行うことになりますが、大事な家族を亡くして心は憔悴、体は疲弊している中で葬儀の準備を行うことは非常に大きな負担となります。「どんな形にするか」「どのくらいの規模にするか」ということはもちろん、果ては骨壺の柄から霊柩車のお宮の有無といった細かいところまで無数に決めなければいけないことがあるからです。これを通夜、葬儀・告別式の2日を含めて実質5日弱程度の間に怒涛のようにこなすわけですから、悲しみに浸る間もなくあっという間の出来事で、気づいたら大事な家族が既にお骨になっていた、ということも少なくありません。   そして遺族が葬儀を出す際には、どうしても「せっかくの最後の儀式だから、多少金銭的に無理をしてでもそれなりの葬儀にしてあげたい」と思うものです。そのため祭壇にしても柩にしても「葬儀の時にしか使わないものだから1番安いものでもいいんじゃないか・・・」と思いつつある程度の値段のものを用意することになります。故人の遺志として「そんなにお金はかけないでいいから」と思っていたとしても、それを生前強く意思表示していたり遺書にでも書いていなければ恐らく葬儀には反映されません。   そのため、ある程度の年齢になったら「自分のための葬儀の準備」を意識し、少しずつ準備を整えておくと、結果的に残されることになる家族にとっては大きな助けになると思います。

出来れば「葬儀費用」も準備しておく

   

様々なアンケート結果等を総合すると、お寺へ支払う読経料や戒名料も含めた葬儀費用の平均は概ね200万円を多少切る程度になるようです。しかし家族が亡くなったからといって、これだけの金額を何の苦労もなくポンと用意出来る人というのはそれほど多くはないと思います。大抵の人はお香典である程度賄えることや、残された財産の中から葬儀費用を捻出できることを期待して家族の葬儀費用を負担するはずです。葬儀の準備という意味では、自分の葬儀に必要となるであろうお金もきちんと用意しておくことも非常に重要です。つまり「これだけの内容の葬儀を、このお金でやってくれ」という形できちんと家族に託しておくことが、いずれ残されることになる家族にとっては非常にありがたく、非常にきれいな亡くなり方といえます。

具体的に何をどう準備しておけば良いのか

 

「葬祭信託」を利用して確実に備える

   

生前に行う葬儀の準備にはいくつかの段階と選択肢がありますが、最も細かく最も確実な準備が出来るものに「葬祭信託」というシステムがあります。最近では葬儀社と金融機関が提携してこのようなサービスが提供されています。   葬祭信託とは、生きているうちに自分の葬儀の内容を全て決め、必要な契約も済ませてしまいます。そして必要な費用は銀行に信託財産として預けます。信託財産とは受託者が委託者の信託目的に従って受益者のために管理処分する財産のことですが、ここでは「生前に葬儀の準備をする人」(委託者)が銀行(受託者)に対して「自分が亡くなった時の葬儀費用として」(信託目的)預ける財産のことで、受益者は葬儀社、ということになります。つまり、委託者が亡くなれば葬儀社はあらかじめ契約で決めておいた内容の葬儀を予定通り行い、第三者(=指図人、大抵は弁護士が就任)が内容を確認した後、受託者である銀行に対して信託されていた財産を葬儀社へ支払うように許可をする、という流れになります。   もしも葬儀費用として信託するまとまった財産がない場合は、生命保険を利用するという方法もあります。これは葬儀社と保険会社が提携してサービスを提供しているケースが多いです。葬儀の内容をあらかじめ決めた上で家族等を受取人とする生命保険に加入すると、本人が亡くなった時に自動的に受取人に保険金が支払われます。受取人たる遺族が決められていた葬儀費用を葬儀社に支払うと、予定通りの内容の葬儀が行われます。これら葬祭信託は「自分の葬儀について明確な希望がある」「家族に金銭的な負担はかけたくない」と思っている人にとってはまさにベストチョイスともいえる選択肢ということが出来ます。

 

冠婚葬祭互助会に加入する

   

生前の葬儀準備として現状で最も利用されているのがこの「冠婚葬祭互助会」です。互助会は会員から一定期間、毎月一定金額を徴収し(月々5000円で90回等)、会員に多額の出費を伴う冠婚葬祭のイベントが発生した時に積み立てた金額の一部を費用に充てる、というシステムになっています。会員は互助会が用意している冠婚葬祭用のホールや、祭壇や衣装といった設備を利用することが出来ます。なお、冠婚葬祭互助会は経済産業大臣の許可がないと運営することは出来ません。   互助会とは文字通り「互いに助け合う」という趣旨で、元々は終戦直後の物資が乏しく国民の所得水準も低かった時代に確立された制度です。制度自体の歴史が古いこともあって加入者数はとても多く、業界団体である全日本冠婚葬祭互助協会の発表によると2014年時点での加入口数は約2432万口となっています。   互助会のメリットは、まず「生きているうちに葬儀のことを考えるきっかけが出来る」ということです。互助会はその存在が広く知られており、友人や知人を介して勧誘されることもあると思います。月々数千円程度と気軽に積み立てを始めることが出来ますし、まがりなりにも「葬儀の準備をしている」という安心感は得られます。また、積立金は葬儀だけでなく仏壇や仏具といったものの購入に充てることも出来ますし、結婚式など慶事に使うことも出来ます。   逆にデメリットとしては、葬儀は用意されたいくつかのプランに沿った形でしか出来ないことが多かったり、様々なオプションをつけないとまともな葬儀の形にならず結果的に費用が高くついたり、といった声がよく聞かれるようです。互助会はいくつもありますので、契約内容をよく確認した上で自分にとって必要な準備が出来るところを選ぶとよいでしょう。

 

葬儀社と葬儀の生前契約をしておく

   

これは生きているうちに葬儀社と自分の葬儀の内容を打ち合わせしておき、契約も費用の支払いも済ませておく、というものです。前出の葬祭信託よりも手軽に準備をすることが出来、互助会に比べるとより具体的に葬儀の内容を決めることが出来ます。一見良いことだらけの生前契約ですが、ある意味では最もリスキーです。もし仮に葬儀社が倒産した場合、支払い済みの費用が戻ってくる保障はありません。また、葬儀の内容についても第三者が何らかの形でチェックをしていないと、本来の契約とは違ったものにされる可能性もあります。そのため、葬儀社と葬儀の生前契約をする場合は葬儀社が倒産した場合の費用保障はどうなるのかを確認しておくこと、契約内容の詳細は家族等の信頼出来る第三者にも一緒に確認してもらう、といった点に注意をする必要があるといえます。

まとめ

「元気に生きているのに死んだ後の話しをするのは不謹慎だ」などと言われていたのはもはや過去の話しであり、健康で長生き出来る時代になったからこそ、生きているうちから自分の人生の幕引きについて考えることが出来るようになったわけです。これは自分自身にとっても望まない形での葬儀をされる心配がなくなりますし、家族にとっても精神的金銭的負担が軽減されることに繋がり、良いことずくめです。葬儀費用まで完全に耳を揃えて用意することまでは難しいかもしれませんが、葬儀の方向性についての希望を伝えておくことくらいは誰でも出来るはずです。残されることになる家族も交えて胸襟を開いた話し合いが出来ると良いでしょう。

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