老後の資金計画に必ず押さえておきたい『年金担保貸付』を分かりやすく解説!
『年金担保貸付』とは?
年金担保貸付を一言でいうと、「年金を担保にしてお金を借りること」です。
原則として、国民年金や厚生年金保険といった保険給付(一例をあげると、老齢基礎年金や老齢厚生年金)を受ける権利を担保にすることはできないように法律上なっています。
ですが、人生何が起こるかわかりません。限られた老後資金で生活していても、「どうしても…」という時がありますよね?そんなときの救いの手ということで、一つだけ例外が設けられています。
それが「年金担保貸付」なのです。これは唯一、独立法人福祉医療機構(WAM)に対して担保に供することによってお金を借りることができます。
年金担保貸付の仕組みは?
年金担保融資の返済中は、年金支給機構から支給される年金(さかのぼって支給される年金等も含みます)の全額を独立行政福祉医療機構が直接受け取ります。
そして、契約時に利用者が指定した金額を返済にあてます(定額返済額と呼びます)。返済に充てて残った金額は、口座振込によって利用者の手へ渡されます。
ただし、奇数月に支給された年金に関しては原則として返済に充てられず、支給された年金全額が利用者の口座へと振り込まれます。
因みに、返済中の方には「年金振込通知書」が送付されなくなります。しかし、日本年金機構において別の様式の支払い額の証明書を作成されます(おおよそ4週間ほどかかります)。
この制度を利用するにあたってのメリット・デメリットは?
メリット
民間の金融機関よりも低金利でお金を借りることができます。
「年金担保融資」の場合は1.9%(平成28年4月1日現在)、「労災年金担保融資」の場合は1.2%(平成28年4月1日現在)となっています。一例ですが、消費者金融では4.7%~18%くらい、銀行のカードローンで4.6%~14.6%くらいですので、とても低金利なのは一目瞭然です。
デメリット
使途が限定されていること、資料の提示の必要性
どんな理由であっても借りられるわけではなく、「保健・医療、介護・福祉、住宅改修、冠婚葬祭、生活必需品の購入」などの使用用途に限定されます。
また、融資額の必要性などの確認のため、見積書・請求書などの資料を提示しなければなりません。
「必要額の合計額」が「借入申込額」に満たない場合、「必要額の合計額」までしか借りることができません。
借り入れ金額に制限
借りられる金額に上限があります。10万円~200万円の範囲内で、1万円単位で借りることができます。
ただし、「生活必需品の購入」の場合は10万円~80万円の範囲に限られます。
また、受給してる年金の年額の0.8倍以内であったり、1回あたりの返済額の15倍以内(融資金額の元金相当額がおおむね2年6か月以内に返済できることを基準にしています)であったりと上限が低めです。
追加融資は認められていない
追加借り入れはできません。従って、全額返済した後に、再度借り入れ申し込みを行う必要があります。
年金担保貸付の手続き方法
年金担保貸付の申し込みは、年金を受け取っている銀行・信用金庫等の店舗窓口にて行います(「独立行政法人福祉医療機構代理店」と表示)。
※ゆうちょ銀行・農協・労働金庫は取扱窓口となっていませんので、下記サイトにて事前にご確認ください。
http://hp.wam.go.jp/guide/nenkin/qanda/list/tabid/253/Default.aspx
予め店舗にて準備されている「借入申込書」に記入するなど、直接窓口にて手続きを行ってください。
申し込み時に必要な書類は、以下の5点となっています。
- 借入申込書(取扱金融機関の店舗窓口にて受け取り)
- 年金証書
- 現在の年金支給額を証明する書類(いずれか一つ、最新のもの)→「年金支払(振込)通知書」「年金裁定通知書」「年金(額)改定通知書」「裁定通知書・支給額変更通知書」
- 印鑑証明と実印
- 写真付き本人確認書類(運転免許証・パスポートなど)
これらを準備の上、取り扱い金融機関窓口へと出向き手続きを進めてください。
手続き後、おおむね4週間ほどで資金が交付されます。
因みに、返済は借入金を受け取られた月(融資実行月)の翌々月以降の偶数月から始まります。
実は、年金担保貸付は一時廃止になりかけました
年金担保貸付は、平成22年12月の閣議決定により廃止判定となっていました。
その理由は
・年金担保貸付を利用した方が、その借入金の返済期間中に生活保護を受けること により、生活保護費という公費が実質的に返済財源になってしまうこと等生活保護制度の立場から問題事例が生じていること
・年金給付を担保に貸し付ける仕組み自体が問題であること
・制度創設当時と比較し、代替となる制度が整備されつつあること
-年金担保貸付事業廃止計画(厚生労働省ホームページ)より
とされています。
しかし、現実に必要としている人も多いということにより、平成26年12月より取り扱い内容を変更し、再度継続して利用可能となりました。
とは言え、これから永続的にこの制度が利用できるとは限りません。
融資上限を低くしたり、使用用途を制限するなどといった融資条件を厳しく制限されるなどといった内容変更が行われたり、突然廃止されることも考えられます。
まとめ
年金担保貸付は、正しく・計画的に利用すれば、限りある老後資金で生活する年金受給者にとって心強い存在となります。
しかし、過度な利用は家計を逆に苦しめる要因にもなりえませんので、検討する場合はよく熟考する必要があります。
また、繰り返しになりますが「年金担保貸付」は、唯一「独立行政法福祉医療機構」でのみの取り扱いとなっています。
確かに金融機関の商品に、無担保ローン・年金受給者向けローンが存在しますが、金利がとても高額な設定となっています。目先のことだけに気を取られずに、正しく利用して笑顔の老後資金生活を送りましょう。
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