葬儀費用の相場、平均金額はいくら?内訳は?
「葬儀費用が一体どのくらいかかるものなのか」この質問に即答出来る人は決して多くはないでしょう。規模によって費用は大きく異なる、というのはもちろんありますが、何よりも葬儀費用は全体的に不透明であることが大きな理由です。
アンケート結果から平均データを探る
2014年1月に財団法人日本消費者協会が行った「葬儀についてのアンケート結果」というものがあります。それによると、葬儀にかかった費用の合計金額の平均は「約190万円」となっています。内訳ですが、最も大きな割合を占めるのが「葬儀費用一式:約122万円」です。これは柩や骨壺、祭壇や生花、斎場の使用料や火葬場へ移動する際の車両料、会葬者に渡す礼状や返礼品といったものです。次に「飲食接待費用:約34万円」となっています。これはお通夜の際に会葬者にふるまう料理や酒、火葬場から斎場に戻って遺族・親族が食事をする際の費用などが含まれています。最後が「寺院に支払う費用:約45万円」です。お通夜や葬儀・告別式にお経をあげてもらう読経料や戒名をつけてもらう際の戒名料、あるいは御車代といったものになります。
葬祭業者にざっくりと聞いてみる
最近は各都市に、自前の斎場を何か所も有する大手の葬祭業者が増えてきました。このような業者に「そちらで葬儀をやってもらうのにいくらかかりますか?」と聞くと、回答は概ね100万円から150万円程度の範囲になることが多いようです。ただしここには「飲食接待費用」と「寺院に支払う費用」は含まれていません。飲食接待費用はどのくらいの会葬者の人数を見込むかによって大きく変動しますし、寺院に支払う費用は葬祭業者を通さずに直接寺院とやり取りするものだからです。前出のアンケートではこれらの金額がそれぞれ「約34万円」「約45万円」ですので、葬祭業者の回答の「100万円から150万円程度」と合計すると「約180万円から約230万円程度」になります。アンケートの平均が約190万円となっていますので、大体このくらいの金額を想定しておけば大丈夫だろう、ということが言えると思います。
葬儀費用の内訳とは
それでは葬儀費用の内訳について見てみることにします。これは前出のアンケートの「葬儀費用一式」に該当するものです。
1番大きなものは「祭壇」で、これが約65万円程度です。葬儀費用のほぼ全ての項目で「ピンからキリまで」ランクが存在しますが、祭壇は「ピン」と「キリ」の差が非常に大きいです。シンプルな祭壇であれば安いですが、祭壇が2段、3段となったり、祭壇の上に輿がのったりするとどんどん高くなります。
次に大きなものが「柩」で約10万円程度です。これも祭壇同様に値段に大きな差があります。柩は大抵桐製ですが、最も安いものは桐がむき出しになっています。ここに白やベージュの布を張ったものになると少し高くなり、布に手の込んだ刺繍がされていると更に高くなったりします。この他にも柩の側面に持ち手がつく、表面が漆塗りになる、といった具合に上を見ればキリがなくなります。
次が「骨壺」で約5万円程度になります。通常は陶器の骨壺を用いますが、大理石で作られたものなどもあります。最もシンプルな白無地や青無地のものなら安いですが、様々な色や模様がついたりすると値段は上がります。九谷焼、備前焼といった骨壺もありますが、そういったものも当然高額になります。
この他に「枕飾り・約3万円」「遺影・約3万円」「霊柩車・約5万円」「マイクロバス・約5万円」「斎場使用料・約10万円」「その他諸費用」などが内訳の項目となります。ここまでの合計が「その他諸費用」を除くと106万円となります。アンケートでは「約122万円」、葬祭業者の回答が「100万円から150万円程度」なので、業者による多少の上下幅を考えるとほぼ一致することになります。
ちなみに「その他諸費用」ですが、これは例えば病院や自宅から斎場へご遺体を運搬するための費用や、ご遺体の腐敗防止のために柩の中に入れるドライアイスの費用、礼状や返礼品の費用になります。
最近流行の格安葬祭業者
葬儀費用はかつて「高額な上に不透明」と言われてきましたが、そのような声に応える形で最近は金額を明確に打ち出した格安葬祭業者が台頭してきました。
このような業者はあらゆるものを「必要最小限」に抑えることによって低価格を実現しています。祭壇も柩も骨壺も1番シンプルなものを使ったりするわけです。「1番安いのはかわいそうだからせめて祭壇はもう少し豪華に・・・」という感じで色々なものをグレードアップすると、最終的な金額はあまり「格安」にならないこともあるので注意が必要です。
ただ、葬祭業者というのは往々にして客には高い方を勧めるものです。葬儀の打ち合わせの際に「祭壇は全部で5種類あります」と言われても客はどれを選べば良いのかわからず、大抵「1番平均的なものはどれですか」と聞きます。こう聞かれると葬祭業者は平均よりもワンランク上のものを勧めることが多いです。客は「出来れば安く済ませたい」という本音がある一方で「安いもので送ったら故人がかわいそうだ、申し訳ない」という想いもあるので、多少高くても「仕方ないか」と納得してしまいます。このようにして葬儀費用の総額は当初に考えていたものよりもどんどん高くなっていったりしますが「そちらさえよければこの金額で出来ます」という形でシンプルかつ格安なプランを提案してくれる格安葬祭業者というのはある意味では良心的、という見方も出来ます。
どうしても格安で葬儀をしたい場合は
葬儀をシンプルにすればするほど葬儀費用は安く済ませることが出来ます。最も安く済むのはお通夜も葬儀・告別式も行わずに火葬場へ直行する「直葬」というスタイルのものです。「火葬式」という言い方をすることもあります。お通夜を行わずに葬儀・告別式のみを行う「一日葬」というスタイルも増えてきています。
お通夜、葬儀・告別式と全てやりたいけれど費用は安く、という場合は遺族・親族のみで行う「家族葬」にする、という方法があります。家族葬であれば一般会葬者を呼ぶことがないのでその分飲食にかかる費用は抑えることが出来ますし、会場も小さくて済みますので会場使用料も安くなります。葬儀にまつわる様々な煩わしさから解放されて、気心の知れた人たちだけで出来る上に費用も安く済む、ということで、家族葬を選択する人はここ数年急速に増えてきています。
まとめ
葬儀費用の明朗化、低価格化の波は今後も続くと思われます。葬儀を検討している人にとっては良いことだと思いますので、自分自身の葬儀のことが気になる人、あるいはいずれ出すことになる家族の葬儀が気になる人は、ぜひご自身の問題として1度葬儀について考え、自分が考える葬儀を行うにはいったいどれだけの費用がかかりそうか、を調べておくことをお勧めします。
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