癌における『ステージ』って何?

癌と診断されると、「ステージは●です。」と医師に告げられます。そもそも「ステージ」とはどのようなものでしょうか。数字が意味するものは、どのようなことでしょうか。

癌の進行度を表すのがステージ

癌は進行します。悪性腫瘍である癌は、どんどん細胞を増殖させます。異常な細胞増殖が進行すればするほど、周囲の臓器に悪影響を及ぼし、他の正常な組織に必要な栄養を奪います。癌がどの程度進行しているのかを、臨床結果に基づいて判断した結果として分けられる基準が、「ステージ」です。ステージとして実際の治療で問題になるのは、1~4です。ただし、0というステージを考える立場もあります。ステージ0とは、腫瘍が認められない状態です。癌細胞が粘膜内に留まっている状態をステージ0とする立場もあります。

ステージの判定は3つの視点が組み合わされる

ステージの判定は、3つの視点が組み合わされます。
1.癌がどのくらい大きくなっているか
2.リンパ節に転移しているかいないか
3.他の臓器にも転移が見られるか見られないか
この3つを組み合わせてステージが決められます。ステージには1~4まであります。数字が大きくなるにつれて、癌が進行していることになります。癌がどの臓器に最初に発症したのかによって具体的な状態は異なりますが、癌一般としては、次のようにステージが分けられています。

ステージ1は、癌細胞が上皮細胞から筋肉層に広がりだしているものの、腫瘍が筋肉層に留まっている状態です。リンパ節には、もちろん転移していません。ステージ2になると、リンパ節転移の可能性が出てきます。悪性腫瘍がそれほど大きくなっていなくても、リンパ節転移が認められたらステージ2です。リンパ節転移が確認されなくても、癌細胞が筋肉層を超えて広がっている場合も、ステージ2に分類されます。ステージ3は、悪性腫瘍が筋肉層を超えて広がり、リンパ節にも転移している状態です。ステージ4は、癌がはじめにできた臓器以外の離れた臓器にまで転移している状態です。

同じステージでも5年生存率は癌の種類によって異なる

ステージが進むと、生存率は低くなります。ステージ1なら、ほとんどの癌で5年生存率は80~90%を超えます。5年生存率は、癌の治療を評価するのによく使われるものです。癌の治療を開始してから5年後にどのくらい存命しているかの割合です。5年生存率は、手術をすると、上がる傾向があります。

ただし、手術をした場合の5年生存率の上がり方は、癌の種類によって異なります。同じステージでも、5年生存率には大きな違いがあります。癌がかなり進行したステージ3の5年生存率と、手術をした時の5年生存率の上がり方を示すと、次の通りです。( )内が手術をした場合の5年生存率です。食道癌23.6%(34.2%)、胃癌44.6%(45.4%)、大腸癌76.2%(76.6%)、肝臓癌16.4%(31.0%)、胆嚢癌12.1%(17.8%)、喉頭癌70.3%(75.7%)、肺癌21.4%(38.3%)、乳癌74.8%(75.8%)、子宮頸癌54.0%(56.2%)、子宮体癌64.3%(65.9%)、卵巣癌39.7%(43.2%)、腎臓癌61.7%(65.8%)、膀胱癌53.9%(56.2%)、甲状腺癌99.1%(99.8%)

癌の進行度を表す「ステージ」。ステージは、体の中にどのくらい癌が広がっているのかを示す目安です。治療対象となるのは、ステージ1~4です。数字が大きくなるにつれて、癌の進行度も進みます。各ステージは、癌の種類によって決められますが、その際必ず3つの視点が組み合わされます。癌の大きさ、リンパ節転移の有無、他の臓器への転移の有無です。

ステージ1とステージ2を分ける重要な基準は、リンパ節転移の有無です。診断された時点ではステージ1であっても、手術してみたらわずかながらリンパ節にも転移が確認されたというケースは稀ではありません。リンパ節転移が認められたら、ステージが2や3になることもあります。同じステージでも、癌の種類によって5年生存率は異なります。どのような治療を望むか、どのように生きたいのかを十分に考えることが求められます。

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