老人介護をするということはどういうことか?
老人介護は今では当たり前のように言われてきていますが、かつては家族内で家族が当たり前のように行なうものでした。しかし、核家族が増えてきたことで、老人を介護するという社会的な価値観がとても大きくなってきました。
老人介護の適正
老人介護というのは決して誰でもできるものではなく、適正というものがあります。世間一般では、介護の仕事は、給料も少なく、待遇も厳しいということで、あまり良くない職業として紹介されており、「介護をする人」は他に仕事がないからと考えている人もいます。しかし、仕事がないからという理由で、介護の仕事をすることはできないと言えるでしょう。しっかりと適正を持っており、なおかつ老人介護に対しての理解がないと仕事としておこなうことはできません。
適正というのはある程度人間性で決まってきますが、老人介護に対する理解というのは努力が必要です。この努力をしない人が、老人を老人として扱うことができず、「赤ちゃん言葉」のような接し方を利用して、尊厳を損なわせてしまうことがあります。また、虐待などの非人道的な行動に出てしまうこともあります。老人介護というのは、現代特有のものと考えることができ、全く関係のない人が、高齢者の介護をしていくことになります。
老人介護で介護者が陥りやすいミスとは?
介護者が陥りやすいミスとして、「高齢者は常に受け入れてくれる、優しいのが当たり前」と慢心を抱きがちです。しかし高齢者にも感情があり、介護者の思うとおりにならないことは当然あります。もし過程で自分の祖父や祖母を介護している時であったら、全てが思うとおりにはならないと言えるでしょう。しかし、施設であると、介護者が有利な立場と錯覚してしまうこともあり、介護者主観の介護が成立してしまいがちです。
老人介護というのは決して思うとおりに物事が進む介護ではありません。むしろ高齢者の尊厳等を大切にすればするほど、スムーズに進まなくなることのほうが多いです。「自分には合わない」ということで介護の職場を去っていく人もいますが、それは高齢者の尊厳を尊重していった結果であり、そのような人こそ介護現場で求められるべき存在と考えることもできます。高齢者が言うとおりになる、仲が良い職員ほど、意外と高齢者は心のどこかで、壁を作ってしまっている可能性はあります。(当然例外もあります)
今求められている福祉、介護の人材は「理解のある人」
介護の現場でもそうですが、福祉の現場等で求められているのは、「理解のある人」です。サービスを受ける人を理解し、尊重することができる人ほど、老人介護には必要になってきています。自分のペースに持っていく、言うとおりにさせる介護職というのは、仕事はできるかもしれませんが、老人介護という面で見ていくとマイナスな部分が多くなりがちです。ベテランの人が陥ってしまいやすい状況となります。
老人介護は単に高齢者と向きあう介護ではありません。「人」を理解していかなければ本当の意味で介護をすることはできないでしょう。介護職だけでなく、介護に関わる医療職、医師等全ての専門職にも言えることでしょう。仕事ができる=介護が上手いということではないことを多くの人が自覚し、本当の意味で、介護の現場、老人介護への理解を示していくことこそが、今後の老人介護の質の向上につながっていくことになります。このようなことを理解していれば、介護者主観の「どんな時でもおむつを利用させる」(おむつをするということが大きなストレスになり得ます)ということや、常にベッドの上で寝たきりにさせておく(常にベッドの上にいたいと思う高齢者いるのかという疑問を持ちます)というような問題は発生しにくくなります。
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