相続税の取得費加算ってどんな制度?節税になるの?

相続した不動産を売却した場合、その売却益には譲渡所得税がかかります。相続税を支払って、その後に所得税も支払わなければならないのです。譲渡所得税を計算するうえで相続税額をマイナスして節税できる仕組みをご紹介します。

取得費とは何か?

個人が土地や建物などの不動産を売却するとその売却益には所得税がかかります。

売却益は売却金額-(取得費+売却費用)により計算します。

取得費とは、その不動産を手に入れたときにかかった金額のことです。取得費の具体例は土地や家を買ったときに支払った金額、不動産業者に支払った手数料、不動産取得税、不動産の登記費用、土地の測量費などがあります。

つまり、取得費を多くできれば、売却益が少なくなって所得税を節税できるのです。

相続税の取得費加算の具体例

相続税の取得費加算

あなたは親が持っていた土地と建物を相続しました。相続のときは相続税を支払いました。その後、なんらかの事情によりその土地と建物を売却することとなりました。その売却益を計算するときには、あなたが支払った相続税額を取得費に加算することができます。

具体例

取得費加算の具体例を簡単に計算していきます。

  • 不動産を親から相続しました。
  • あなたは相続税を1,000万円支払いました。
  • 親がその不動産を取得したときの金額は8,000万円でした。
  • 売却金額は1億2,000万円、売却費用は500万円でした。

売却益は1億2,000万円-(8,000万円+1,000万円+500万円)=2,500万円となります。

所得税(住民税を含む)は2,500万円×20.315%=約508万円となります。

節税額

上記の例では、相続税の取得費加算によって、1,000万円×20.315%=約204万円の所得税を節税することになります。

適用期限に注意しましょう

相続税の取得費加算は適用できる売却に期限を設けています。

相続のあった日から3年10カ月以内に相続した不動産を売却した場合に限り、この取得費加算はつかえます。

まとめ

上記の具体例は単純なパターンですが、実際には複数の土地を相続して、その一部のみを売却するなど状況が複雑な場合があります。その場合には取得費加算の計算も按分計算が必要になるなど、厳密な計算が求められます。厳密な計算は税理士に相談して税金がいくらかかるのかを計算してもらうことをお勧めいたします。

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