成年後見人の権限まとめ

成年後見人は被後見人(判断能力が不十分な人)を法的に保護する権限と責任があります。
この記事では成年後見人の権限を明らかにしつつ、どのような仕事をしてもらうのか触れてみます。

成年後見人のしごと

成年後見人の職務は大きく分けて以下の3点になります。

  • 被後見人の財産を適正に管理する
  • 被後見人の身上監護に配慮する
  • 成年後見人の職務内容を家庭裁判所に報告する

よって、成年後見人の権限はこれらの職務に必要なものが多く認められています。
 

成年後見人の権限

成年後見人の権限は財産管理及び身上監護に必要なものが認められています。
これらの権限を認めることにより本人保護に活用してもらえます。

契約など法律行為の包括的代理権
契約など法律行為の取消権

包括的代理権

本人に変わって契約を行える代理権は後見人の中心的な権限になります。
この包括的代理権は財産管理という側面の他に身上監護という側面からも有用です。

財産管理の側面では、もともと財産運用していた場合などにその運用のための契約を更新、変更、解約するときに代理権が必要になります。

身上監護の側面では、例えば、本人が認知症になった場合に施設と契約するときには代理人として行う必要があります。
また、施設がちゃんとしたケアを行っていない場合には、その交渉することも必要になるでしょうし、場合によっては施設を移る手続きも行うこともあるでしょう。

このように、包括的代理権は大変重要な権限となります。
 

不動産の処分については注意が必要

不動産を処分すると、生活する住居をどうするか、処分して得た金銭の管理をどうするかなど、重要な内容が含まれます。

そこで、このような場合には家庭裁判所の許可を得なければなりません。
裁判所の許可がない場合には処分自体が無効となります。
 

利益相反の関係にある場合には特別代理人を選任

成年後見人に利益となるような場合には、特別代理人を選任して契約をする必要があります。
なお、成年後見監督人がいる場合には、この成年後見監督人が本人を代理することになります。
 

取消権

本人が悪徳業者などと契約を交わしたときにはこれを取り消す必要があります。ですから、この取消権も重要な権限といえるでしょう。
 

日常的な行為については取消権はない

日常生活に関する契約などについては、取消権などはありません。

例えば、コンビニで被後見人が買い物をした場合に、無駄だからといって取り消すのは、コンビニにとっても迷惑な話です。このような場合には、本人を保護する目的というのも重視しなくともよいのかもしれませんね。

その他注意ポイント

日常家事は行わない

日常家事は成年後見人の業務としては認められていません。このような場合には、後見人がヘルパーさんなどと契約をして、家事代行などを頼むことが一般的です。

そもそも、財産管理とはちょっと性質も異なりますよね。
 

医療同意権

よく問題になるものに、手術の際の同意書面に署名するというものがあります。
本来は本人または家族が行うものと思われますが、本人に意識がなかったり、家族がいない場合に病院から求められることがあります。

しかし、これらはその後の責任問題にも発展するものでもあり一般的には後見人は署名しないことがすすめられます。
 

身元保証

施設に入居する場合や、賃貸契約を結ぶ際に、身元保証、身元引受人になってと言われることがあるようです。

後見人は権限はあるものの、さらにこれらの同意に基づく責任まで負うことは家族でもない限り酷であるといえそうです。
そこで、こちらについても一般的には後見人は責任を負わないために署名しないこととされています。

まとめ

成年後見制度は被後見人を保護するための制度です。そのために、本人ができない高度な判断能力を必要とする契約、交渉などで後見人はその権限を発揮されることを望まれているといえます。

しかし、それ以上の責任を負うようになると。後見人のなり手が少なくなり始めている現状でさらに追い打ちをかけます。
ですから、医療同意権、身元保証などは引き受けないのが一般的なのです。

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