遺産分割協議書の割印・捨印・契印のやり方

遺産相続の場でも、判子を押す場面がたくさんあります。たとえば、遺産分割協議書などへの割印や契印、捨印…。ですが、なぜこれらは必要なのでしょうか。
この記事ではそれぞれの役割について分かりやすく解説いたします。

印鑑は判子を押したときの印章のこと

そもそも、印鑑とはもともと、判子を押したときにできる印章をさします。つまり、文字が彫られた棒状のものは判子とよび、本来は印鑑とは呼びません。
この印章を市役所に登録すると、「実印」となり、「実印」の証明が印鑑登録証明書になります。役所に届け出ているため、本人確認や住所登録の意味を踏まえたものになります。このため、印鑑登録証明は大変重要な証明になります。

 

遺産分割協議書では実印を利用

遺産分割協議書では署名捺印が必要になります。なぜなら、これは一種の契約書だからです。
遺産分割協議書は、相続財産をどのように分けるかを相続人同士で取り決めた書式です。一部の相続人が相続放棄をした場合をのぞいて、相続人全員の署名捺印が必要になります。

遺産分割協議書では、相続人の存在証明を踏まえたうえで、偽造されていないような書面にする必要があります。そのため、遺産分割協議書で利用するのは「実印」です。そして、必ずすべての相続人の印鑑登録証明書が必要になります。

よく、「相続に必要だから」と言われて、実印の判子と印鑑登録証明書を相続人の代表に渡す方がいますが、これは絶対に避けたほうがよいでしょう。実印と印鑑登録証明書が他人の手に渡ると、本人が知らない間に勝手に遺産分割協議書を作成されてしまいトラブルになるのが常と考えて良いと思います。

また、場合によっては契約書が偽造され、気付いたら借金を負っていたなど事件に巻き込まれることもあります。
 

遺産分割協議書が2ページ以上になったら契印が必要

遺産分割協議書がA4サイズまたはA3サイズ1枚なら署名捺印のみでも結構です。

複数枚になったら、一つの遺産分割協議書として見せるために、1枚目と2枚目のページのつなぎ目に契印が必要になります。これは、「複数ページのものが一つの書類である」ことを意味します。

また、あまりにも分厚い場合には、複数の紙をホチキス止めして、白の製本テープで一冊の形にします。
この製本テープと遺産分割協議書の用紙の境目に実印を押すことで契印となります。

なお、契印はすべての相続人の実印で行います。製本テープの場合には、表と裏の両面に押します。

契印の例

遺産分割協議書を二通以上作る場合には割印が必要

遺産分割協議書を1通作るだけなら、割印は不要です。
しかし、相続人それぞれが原本として遺産分割協議書を持つ場合には、すべてが同じものという証明が必要になります。その時必要になるのが、「割印」です。

そもそも、遺産分割協議書は契約書でありますから、関係当事者である相続人全員が持つのが通常です。
中には、不動産の所有権移転だけに必要だからとして一通しか作成しないこともあるかもしれませんが、おすすめはしません。
後々の争いになったときにそれぞれが持っていたほうが、争点は少なくなり早期解決になるでしょう。

例えば、A3一枚の遺産分割協議書を3人の相続人がそれぞれ持つ場合には、2枚の遺産分割協議書をずらして重ね、その境目に相続人全員の実印で割印をします。
3枚ある場合には、それぞれ2枚ずつ重ねて作成しますので、1枚につき2ヶ所に同じ実印による割印ができることになりますね。

製本テープで作成された遺産分割協議書が複数通ある場合には、表紙または裏表紙において同じように割印をすることになるでしょう。

訂正印の代わりに捨印があるとよい

遺産分割協議書を作成した後に、内容の一部に誤りがあった場合に皆さんから訂正印をいちいちもらうのは億劫です。
そこで、あらかじめ訂正印の代わりに捨印を押してもらうと捨印自身が訂正印の代わりとなり、訂正が容易に行うことができます。捨印は開いているスペースに押すだけです。

捨印があると、例えば、本籍地の文字が間違っている場合や生年月日が間違っている場合に訂正印いらずで、容易に変更できます。ただ、「◯字削除◯字追加」と書けばよいことになるのです。

しかし、問題もあります。
相続人間で代償分割の規定を遺産分割協議書にした際の、金額の訂正などもできてしまうからです。100万円で代償分割を規定していたのが、200万円に変わっていたり、または無償と書かれたりするとほぼ偽造に近いことができてしまう可能性があるのです。

ただし、行政書士や司法書士などの専門家から捨印を求められた場合には、捨印を押してもあまり問題は起こらないといわれています。
専門家においては、後々にクライアントから損害賠償請求されると懲戒処分の可能性があり、そのようなことのないよう、金額の訂正においてはすべての相続人に知らせることが通常だからです。

したがって、相続人間で作成された遺産分割協議書の場合には、捨印に応じないほうがよいでしょう。
親族間であるからこそ、後々、金額が訂正されて争いになる可能性が十分に考えられるのです。

 

まとめ

遺産分割協議書は契約書です。そのため、慎重に作成するとともに、そこで利用する実印は大変重要なものでもあります。また、実印、契印、割印、捨印と印鑑を押す場所がありますが、それぞれの意味を確認しながら、書類作成を進めていただくことをおすすめします。

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