特別養護老人ホームに入居したいときの8つのポイント

介護保険施設で最も人気の高いのが特別養護老人ホームです。しかし、現代社会はは少子高齢と呼ばれ、全体数に占める高齢者の数が多く、入りたくても入れないのが現状です。今回は、特別養護老人ホームの入居を希望する場合は、どのようなことを理解しておいたほうが良いかを整理してご説明致します。

知っておきたい5つの基礎知識

1.入居の条件は「要介護3以上」!

特別養護老人ホームは介護保険制度上は「介護老人福祉施設」と呼ばれ、制度上で位置付けられた施設です。よって、施設ごとの条件が異なるのではなく、日本国全体として一定の条件があります。

介護保険の申請をすると、「非該当」「要支援1~2」「要介護1~5」のいづれかに該当します。この中で、介護保険制度上のサービスを受けられるのが、「要支援1~2」と「要介護1~5」です。さらに、グループホームや老人保健施設、特別養護老人ホーム等の施設への入居は「要介護1~5」に絞られるのです。特別養護老人ホームは、最近の法律の改正でこれに付け加えて「原則要介護3以上」と狭き門になってしまったのです。

2.入居待ちのため、すぐには入居できない!

申し込みをしても、すぐに入居できません。開設して間もない施設は別として、ほとんどの施設で数十人から100~300名が待機されています。

ここで、よく勘違いされることあるのですが、入居の順番は申し込み順ではありません。どれだけ、施設での介護が必要かという基準で点数化して、上位から入居できる仕組みになっています。例えば同じ要介護5でも、家族の介護を受けている方よりも、ひとり暮らしで誰も遠方に子供がいて、まともな介護を受けていないという方の方が優先されるのです。

3.優先順位がきても入居できない場合はある

特別養護老人ホームは生活の場であって、病気などを治す治療を目的とした場ではありません。確かに、看護師の配置は義務付けられていますが、主な役割は入居者の健康管理をするためなのです。

よって、医療面での対応の必要度が高い方は、入居できないことが多いでしょう。例えば、口から食事を食べることができなくなったときに、胃に穴をあけてチューブを差込み、そこから栄養を流しこむ方法があります。このような身体状況の方は医療面での管理が必要となり、ある程度、受入れ可能な人数を決めておかないと、適切な対応ができないのです。

よって、将来的に特別養護老人ホームへの入居を申し込む予定があるのなら、それを踏まえた対応をそれまでにしておく必要があります。

4.身元引受人が必要

契約をするとき、身元引受人の役割について説明を受ける場合もあると思います。原則、入居者本人に関する出来事や用事、案内は身元引受人に行うようになります。

仮に、子供が3人いるとして、ひとりが電話連絡係、ひとりは郵便物係、ひとりは名前だけの身元引受人ということはできないと考えておいた方がいいでしょう。転勤や遠方等の理由から、臨機応変に対応してもらえる施設もありますので、最初の段階で確認しておきましょう。

5.費用の目安

介護保険の一割負担に当たる部分と、食事代、部屋代、その他の加算(その施設で特に力を入れて取り組んでいることに対して支払う)を月々、入居する施設の支払う必要があります。高くても15万ほどあれば全てまかなえると思います。

ここで、注意があります。病院代と薬代は病院や薬局に支払いをしなければなりません。よって、持病がある等し、受診の頻度が増えればそれだけ病院代はかかることになります。

抑えておきたい3つの注意点

1.認知症の方が多いことに注意

要介護5の場合は、身体面の介護が強くて該当する場合と、精神面(主に認知症)の介護面が強く該当する場合とがあります。認知症の症状の出現はそれぞれですが、重度の方は職員も苦労するほど重度なのです。例えば、夜中眠ることができずに、一晩中起きて大声で叫ぶ人、他の入居者の部屋に入り勝手に物を持ち帰る人、叩くなどの粗暴行為がある人がいるのです。

そのような環境のなかで、認知症のない身体面の介護が強い人がいたら、精神的にかなり辛い思いをすることになるでしょう。施設側からすれば、他の入居者の迷惑となる症状がある場合は、勿論それなりの対応をします。しかし、家族が介護できなくなり施設に預けているので、自然と多くの介護を要する人が入居するようになっているのです。よって、施設側ができることにも限界があるのです。

2.転倒・転落などの事故は自己責任?

特別養護老人ホームだけとは限りません。家庭でなく施設に入居したからといって、転倒・転落等の事故は起こらないという保障はありません。例えば、最近は個室がほとんどですが、食堂やホールといった共有スペースと違い、プライベートスペースなのです。個人の部屋に入り、監視のように見守りを行うことはありません。また、一人でトイレに行かれる場合はも同じです。トイレという空間で1対1で職員がその場を離れないで、排泄が終わるまで見ているということはありません。

このような場面で特に転倒・転落の事故が起こりやすいのです。施設は万が一に時に備えて保険に加入していましが、施設側に過失がない限り、保険金が出ることはありません。よって、本人や家族の負担で受診代や手術代、薬代を支払うことになります。

3.安全を重視を優先しての身体の拘束はNG!

転倒・転落のリスクが高いからと言って、身体の自由を奪うような拘束は原則できません。これは、厚生労働省から「身体拘束のてびき」として全国の介護保健施設に通達されています。仮に家族が施設側に依頼しても、拘束は行えないのです。

病院では治療を目的としていますが、特別養護老人ホームは生活の場です。共通して取り組んでいることは、家庭的な雰囲気を目指しています。そのようななか、本人以外の周囲の都合だけで身体拘束を行い、本人の自由を奪うことは原則できないのです。(要件を満たしていれば、身体拘束を行う場合もあります)悪質は施設には国からのペナルティーがあり、施設に入ってくる報酬が差し引かれる場合もあるのです。

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