損をしないためのお墓の購入について知っておきたい全知識
「墓」という言葉は『広辞苑』では、死者の遺骸や遺骨を葬った所と記されています。
また、『民俗小辞典 死と葬送』の中で、民俗学者の新谷尚紀氏は、死者の遺体が納められている場所およびその装置のことと定義づけています。
「墓」という言葉を聞くと、ほとんどの方は、寺院や墓地や霊園に建ち並ぶ石塔のことを思い出されるのではないでしょうか?
でも、お墓の定義としてどこにも「石塔」などとは書かれていません。お墓にもさまざまな形がありましたし、現代においても多様なスタイルが登場しています。
今回はお墓について解説いたします。
石塔スタイルは江戸時代から
今、私たちがイメージしているお墓のイメージは江戸時代から一般的に普及していったと言われています。
それまでは、地域にもよりますが、埋葬した土の上に石を積む方法、目印の石を置く、木の墓標を立てる、鎌を置いて周りを竹垣で囲むなど、墓上施設が石塔でない例はたくさん見られます。
石塔スタイルは、江戸時代の寺請制度の影響によって普及したのであり、石塔を建てないというスタイルは、江戸時代以前の日本では当たり前のようにあったというわけです。
石塔を建てない、というスタイル
江戸後期から戦後まで、人々は死者の遺体や遺骨の埋葬した上に石塔を建立してきましたが、昨今では再び「お墓を建てない」という選択をされる方が増えています。
永代供養墓(1つの石塔の中に複数の遺骨を埋蔵し、寺院が永代渡って供養するスタイル)や樹木葬(墓石の代わりに樹木を墓標とするスタイル)などがそれにあたります。
お墓の購入は遺骨の埋葬のスタイルに合わせて
さて、ここまで話を進めるとお分かりいただけるかと思うのですが、「お墓」には、遺骨を納める場所すべてを指すのであって、いくつものスタイルがあるということです。「お墓の購入」とは厳密な意味での墓地墓石の購入に限りませんので、みなさんの自由なお考えのもと、遺骨の埋葬のスタイルに合わせて検討するのが望ましいと思われます。
以下、もっとも多いと思われる墓地墓石の購入という観点から、お墓を建てる時の損をしない注意点を見ていきたいと思います。
墓地の種類ごとの4つの注意点
お墓を建てるにはまず墓地を購入しなければなりませんが、墓地にもいろいろな種類があります。それぞれの特徴を押えながら、注意点を見ていきましょう。
公営墓地は人気が高く購入が困難
地方自治体や行政が管理運営する墓地のことです。
宗旨宗派の制限や石材店の指定がないことから、最も人気が高いと思われます。そのため、売り出し区画が限られていたり、返却済みの墓地の再貸付を待たなければならないことが多いです。
共同墓地は安いが地域によって管理の品質がまちまち
地域や自治会で管理運営する墓地です。
地域の取り組み方によって管理の質が大きく異なります。管理組合を設けている自治会もあれば、放置されたままのケースもあります。営利目的ではないために、墓地代は相対的に安価であることが多いのですが、地域行事として、清掃や草刈りなどが当番制で回ってくることもあるでしょう。
寺院墓地は檀家向けと一般向けがある
A)寺院の境内で檀家向けに墓地を売り出しているケースと、B)檀家に限らず広く売り出しをしているケースとがあります。
墓地購入の際に檀信徒契約が発生する場合もあるので、必ず事前に確認しましょう。
民間墓地は石材店が実質的な経営者であることが多い
墓地運営が許されているのは、地方自治体、公益法人、宗教法人のいずれかです。民間企業が墓地を経営する際には必ず宗教法人(仏教寺院であることが多い)を法人の代表に据えて、実質的な経営を石材店が行う、というケースが多いようです。そのような意味では、寺院墓地のケースBと重複している面もあります。
行き届いたサービスや、管理維持が期待できますが、墓地と墓石のセット購入がほとんどで、相見積もりが取れない、などのデメリットもあります。
墓石建立の際の2つの注意点
1.墓地の状態を確認し、調和の取れる墓石を検討しましょう
墓石の形を考える際には、必ず墓地に出向きましょう。
自分たちの墓地の周りの人たちが、どのようなお墓を建立されているか。
色、形、デザイン。高さや幅も含めてしっかりと観察しましょう。
お墓の形や色に全国的な「平均」はありませんが、その墓地の中での「平均」はあります。
なぜなら、お墓を建てる方には「あの人と同じように」「隣の人と同じくらいの高さで」というような調和を取ろうとする心理が働くからです。
2.墓石の品質をしっかり確認しましょう
お墓の値段は石を使う量(才数:1才=30?)と、石の種類によります。
相対的に、国内産よりも外国産の方が安価だと言われていますが、品質が保証されているかは疑わしい所です。
外国産の石材が本格的に日本に輸入されて使用され始めてからまだ2~30年です。
つまり、50年後や100年後にどのような経年劣化をしていくのか、誰にもわからないのです。
また、ひとことに「外国産」と言っても、中国、韓国、インド、ヨーロッパ、アメリカなど世界各国で産出される石材もすべて中国に集められて石材加工されます。
中国の経済成長に伴い、これまでのように外国石材を安価に買い求めることができるかは不明瞭です。
石材の値段や色目などの希望を伝えた上で、品質については細かく石材店に聞いてみましょう。
まとめ
墓地及び墓石について解説いたしましたが、昨今は墓地の管理が大変であるとして墓地をもたない方も多いようです。
先祖の墓も含めてどのような管理をすべきか、一度検討されることをおすすめいたします。
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