地盤改良の工法とその費用は?そして本当に必要?
地盤改良の代表的な工法
表層改良:
地表面付近をセメントで固める地盤改良です。軟弱地盤層が地表から2m以内の場合に軟弱地盤層の強度を上げ、下部の固い地盤と一体化させる方法です。
柱状改良:
セメントの柱で地中から建物を支える一般的な地盤改良です。最も一般的な工法で、軟弱地盤が地表から2m以上8m以下の深さの場合に用いられる方法です。建物の要所にセメントで柱を作って建物を支えます。穴の直径は60cmほどになります。柱状改良はその硬い地盤で支えるだけでなく、柱と柱の周囲の土による摩擦力も加わることで建物を支える構造になっています。
鋼管工法:
鋼製の杭を地中深くまで打ち込み建物を支える地盤改良です。軟弱地盤が深さ2m以上で、狭い土地などの理由で大型重機を使うのが難しい場合に用いる方法です。深さ30mまで工事が可能です。
砕石(パイル)工法:
地盤に穴を掘り、その穴に天然の砕石を詰め込んで石柱(パイル)を作ることで建物を支える地盤改良です。天然の砕石のみしか使わないので、土壌破壊や環境破壊による近隣への悪影響を起こさないことはもとより、住む人にも健康被害の心配が及びません。また、将来、土地売却時に砕石が産業廃棄物(コンクリートや鉄パイプ等)として扱われないため、取り除く必要がありません。そのため土地の資産価値を下げずに済むやり方と言えます。
地盤改良の費用
地盤改良にかかる費用は、軟弱地盤の深さが深く、土地の面積が大きいほど多くなります。大まかな目安として、一般的な一戸建てでは、およそ50~200万円と幅があります。土地の地質や形状、建物の構造や重さによって工法が変わるため参考程度に捉えておくといいでしょう。費用が増える要因として、前面道路から重機が搬入しやすいのかが挙げられます。また、地盤改良会社の上乗せ分なども費用に影響を与えます。そのため、地盤改良にかかる費用は、地盤調査を行い、見積もりを依頼することが必要となるでしょう。
続いて、各工法の費用がどのくらいなのか見ていきましょう。目安となる費用は、家の1階部分の床面積が20坪程度の場合です。
表層改良…およそ30~50万円(深度1m程度を改良する場合)
柱状改良…およそ70~100万円(深度4~5m程度を改良する場合)
鋼管工法…およそ110~140万円(深度5~6m程度を改良する場合)
砕石工法…およそ80~120万円(深度4~5m程度を改良する場合)
地盤改良がいるかどうかを見極めるポイント
そもそも、地盤改良はすべての土地に必要なのでしょうか。必要な土地とそうでない土地を判断できるようにするために、どうしたらいいのでしょうか。自分自身で地盤について理解できたら、地盤改良が本当に必要かどうかわかってくるかもしれません。そこで、地盤改良の必要性を見極めるようにするためにいくつかのポイントを見ていきましょう。
地名と水に近いかどうか
まず、基本的に土地は高さが高いところの方が強く、低いところの方が弱い傾向にあると言えます。また、地名も参考になります。地名に「山」とか「丘」がついていると地盤が強い地域。「川」とか「田」がついていると弱い地域であることが多いと言えるでしょう。
地名に関連して、水に近い環境は軟弱地盤である可能性が高いようです。例として、海、河川、池、沼、湖などが挙げられます。2015年10月、横浜市の大型マンションが不十分な地盤改良のため傾いていることが判明し、大きなニュースとなりました。こちらも海や川に近いところでした。
昔、畑や田んぼだったかどうか
また、かつて畑や水田であったところも地盤が弱いと言えます。田畑だったのに、今は区画整理され、住宅地用とされている土地の地盤に問題が起こるかもしれません。ですから、昔どんな土地だったのか知るのが重要になります。
地盤を調べるのに役立つサイトを紹介
では、どうしたら昔の土地について調べることができるのか、地盤の強度を知ることができるのでしょうか。そこで役に立つのが次の2つのサイトです。
過去の地図は、国土交通省国土地理院の「国土変換アーカイブ空中写真閲覧」を見ると、昔の航空写真などを調べられます。
また、ジャパン・ホームシールド(株)が提供している無料サイトの「地盤サポートマップ」も参考になると思います。住所を入力するだけで、地盤や地質などの詳しい情報がわかります。
その他、現地に直接足を運び、土地の周りの住宅を見てみるのもいいかもしれません。住宅の基礎や外壁、外階段等を確認し、もしそこにひび割れや亀裂があるとすれば、その地域の地盤は軟弱である可能性が考えられるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。地盤を見極めるポイントについていくつかお伝えしました。これらを参考にし、地盤改良が本当に必要かどうか見極めてみてください。住宅の基礎となる地盤の重要性を理解し、一人でも多くの方が安全で安心できる住まいづくりができることを願っています。
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