曹洞宗の葬儀はどんなもの?知っておきたい基本知識

日本における葬儀はそのほとんどが仏式、つまり仏教の教えに則って行われています。しかしひと言で仏教といっても、厳密には13宗56派に分かれていてそれぞれ宗教的な世界観や死生観や教義が少しずつ異なります。ここではその中の1つである曹洞宗を取り上げ、特徴や葬儀のしきたりについてご紹介します。

曹洞宗の基礎知識

曹洞宗の始まり

曹洞宗は鎌倉時代に道元が中国から日本に伝えた正伝の仏法を、瑩山が全国に広めたのが始まり、と言われています。「正伝の仏法」というのは仏教の開祖であるお釈迦様から歴代の祖師(つまり弟子)によって脈々と受け継がれてきた仏法、ということです。これは曹洞宗の特徴や曹洞宗の葬儀を考える上で極めて重要な意味を持ちます。

曹洞宗の教え

曹洞宗はいわゆる「禅宗」の1つで、坐禅の教えを依りどころにしています。坐禅の教えとは、坐禅の実践によって得られる心身の安らぎがそのまま「仏の姿」であると自覚し、坐禅の精神に依った生活に安住することで安らかな日々を送りこの世に価値を見出そう、ということです。

曹洞宗では人間は「仏心」という仏様と同じ心、自分以外の他人や物や命を大切にする心を持って生まれてきている、と考えます。しかし人間はそれを忘れてわがままな生活をすることで苦しみや悩みの元を自ら作ってしまっているので、日々の行い1つひとつを大事にすることを心がけ、心身を整えることで自分の中にある「仏の姿」が明らかにして、生きる喜びを見出そう、と説いています。

曹洞宗の葬儀の特徴

曹洞宗では葬儀をすると「仏の弟子」になる

前述のように曹洞宗はお釈迦様からその弟子、弟子の弟子、弟子の弟子の弟子…という形で受け継がれてきた「正伝の仏法」がその元になっています。そして曹洞宗が始まった鎌倉時代から今に至るまでもそれは受け継がれてきています。これは決してお話しの上だけでのことではなく、「血脈」(けちみゃく)という紙に全て書かれていて、得度(在家得度も含む)をして戒名をもらうと自分の名前を1番最後に記した血脈を受け取ることになります。

曹洞宗の葬儀では故人が生前に血脈を受け取っていない場合、葬儀に来てくれた僧侶(葬儀では「導師」と呼びます)の弟子になることによって戒名を授かり、血脈を受け取ります。血脈の1番最後に故人の名前が書かれ、「正伝の仏法」を授かり仏の弟子となり天国へ旅立つわけです。 ちなみに受け取った血脈は柩に入れて一緒に火葬することになりますが、遺族が受け取って仏壇で保管する、ということもあります。

曹洞宗の葬儀は大きく分けて3部構成となっている

曹洞宗の葬儀において、故人は「正伝の仏法」を授かり仏の弟子となる、というプロセスを非常に重視するため、そのための儀式である「授戒」「念誦」「引導」の3つで葬儀が構成されています。「授戒」とは仏門に入る故人に対して導師が戒律を授けること、「念誦」とは心の中で仏に対して祈り仏の名号や経文を唱えること、「引導」とは故人を悟りの世界に導くことを指します。曹洞宗の葬儀では故人の極楽往生させることではなく、悟りを開かせることが目的の1つになります。

曹洞宗の葬儀の具体的な流れ

曹洞宗の葬儀は一般的な仏教の葬儀とは流れが少し異なります。ひと通りの流れは以下のようになります。

剃髪

まず最初に行うのが「剃髪」という儀式です。これは「授戒」の作法の1つで、導師が上香し合掌して報恩偈を三唱し、剃刀を取って香にかざし、親指と人差し指との間に挟み合掌し「剃髪の偈」を三唱します。

授戒

次が「授戒」です。これは現世で犯した罪を反省する「懺悔文」、仏の教えを守り修行者になることを誓う「三帰戒文」、導師が法性水を用意して位牌や自らの頭に注ぐ「三聚浄戒」「十重禁戒」、そして「血脈授与」の4つの儀式が内包されます。

入棺諷経

「入棺」とは遺体を柩に納める作業ですが、この時点ではすでに柩に納められています。ここでは導師が「大悲心陀羅尼」と回向文を唱えます。会葬者の焼香はここで行います。

龕前念誦

導師が「十仏名」と回向文を唱えます。

挙龕念誦

導師が「大宝楼閣陀羅尼」を唱え、太鼓やハツを鳴らす「鼓?三通」を行います。鼓?三通を行う場面は葬儀において2回あり、1回目は告別式の最初に葬祭場へ入る時、2回目は告別式を終えて火葬場へ出棺する時です。

引導法語

導師が松明を手にして右回り、左回りと円相を描いて故人を悟りの世界に導きます。次に「払子」を持って引導法語という漢詩を唱えます。

山頭念誦

「山頭」とは火葬場を指します。ここでは故人に対して火葬することを告げ、悟りを願います。

出棺

回向文を唱えた後に鼓?三通を行い、出棺します

曹洞宗の焼香作法について

仏式の葬儀におけるお焼香は「3回」と思っている人が多いですが、これは正しくありません。実際は宗派によって回数は違います。例えば天台宗や真言宗の場合は3回ですが、臨済宗や曹洞宗は2回です。1回目は右手でお香をつまみ額の高さまで押しいただいて香炉に投じます。2回目はお香をつまんだ後に押しいただかず、そのまま香炉に投じます。

まとめ

以上が曹洞宗の葬儀のご紹介ですが、どれも似たように見える仏教の葬儀でも宗派によって流れが異なること、そしてそれは宗旨や教義に深く根ざしていて意味があるものだ、ということがお分かりいただけたかと思います。葬儀に参列する場合はそういった違いにもきちんと気を配り、心を込めて故人の冥福を祈りたいものです。

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