相続税の課税の対象外となる資産についてのまとめ
すべての資産に相続税がかかる。そう思っていらっしゃる方も多いでしょう。しかし、純粋な資産であっても相続税の対象外となる資産があります。...
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広大地の評価方法はちょっと複雑です。
ざっくりいうと、通常の土地の評価方法による評価額と広大地の評価方法による評価額を比較し、いずれか低い価額が相続税法上の評価額となります。通常の土地の評価方法(評価通達11から21-2及び24-6)は別の記事を参照いただくとして、ここでは広大地特有の評価方法について解説いたします。(財産評価基本通達24-4)
広大地の評価の計算式正面路線価×広大地補正率×地積
広大地補正率=0.6-0.05×地積/1,000㎡
※広大地補正率は端数処理しないのでご注意ください。
広大地の地積によって補正率は以下のような値になります。
地積 | 広大地補正率 |
1,000㎡ | 0.55 |
2,000㎡ | 0.50 |
3,000㎡ | 0.45 |
4,000㎡ | 0.40 |
5,000㎡ | 0.35 |
広大地の評価の場合には奥行価格補正などの適用はありません。また、市街地農地、市街地周辺農地、市街地山林及び市街地原野についても広大地補正率の適用があります。ただし、宅地造成費等は補正率にて考慮されているので、宅地造成費は控除しないで評価します。この評価方法は5,000㎡までの広大地に適用されるものですが、5,000㎡を超える場合でも広大地補正率の下限の0.35を適用することができます。
広大地が倍率地域に所在する場合には、当該広大地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額を路線価として広大地補正率を利用した評価額か通常の土地の評価方法による評価額の、いずれか低い価額を評価額とします。
広大地の評価の例上記路線価図を参照ください。
4つの路線価で囲まれた地域を広大地として評価しますと、正面路線価はもっとも240Dから240,000円/㎡となります。
地積を仮に4,600㎡とします。
すると広大地の評価額は以下の通りになります。
240,000円(正面路線価)×{0.6-0.05×4,600㎡/1,000㎡(広大地補正率)}×4,600㎡(地積)
=88,800円×4,600㎡(地積)=408,480千円
もちろん、この金額と通常の方法で算定した金額を比べて、低い方の金額が相続税法上の評価額となります。が、広大地の評価はこの補正率のおかげ(?)で、正面路線価に比べて4割から6割5分まで評価が下がることがわかりますので、広大地の評価方法のほうが安くなることが多くなると思われます。
広大地の評価額については、相続税申告書の中の土地及び土地の上に存する権利の評価明細書(第2表)の記載する欄があります。
ところで、ただ、土地が広ければ広大地かというとそうではありません。広大地とは、①その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、②都市計画法第4条(定義)第12項に規定する開発行為を行うとした場合に、公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものをいいます。ただし、大規模工場用地や中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの(いわゆるマンション適地)を除くとされています。
大規模工場用地が広大地に当たらないとするとどのような評価額になるでしょうか?これは、財産評価基本通達22に規定があります。
まず倍率地域については、当該土地の固定資産税評価額に倍率をかけたものを評価額とします。これに対して、路線価地域においては正面路線価に当該土地の地積を乗じて計算された評価額となります。ただし、その地積が20万㎡以上のものの価額は倍率による評価額や路線価による評価額のの95/100相当額になります。
評価対象地が都市計画法施行令19条の規定にもとづき各自治体の定める開発許可を要する面積基準以上であれば、原則としてこの要件を充足するといえます。ただし、その地域の標準的な宅地の地積と同規模である場合は該当しないといわれています。
開発許可面積基準は以下の通りとなります。
区域 | 面積 |
市街化区域(三大都市圏) | 500㎡ |
市街化区域(三大都市圏以外) | 1,000㎡ |
非線引き都市計画区域及び準都市計画区域 | 3,000㎡ |
非線引き都市計画区域及び準都市計画区域のうち用途地域が定められている区域 | 市街化区域に準じた面積 |
なお、非線引き都市計画区域とは、市街化区域と市街化調整区域の区域区分が行われていない区域で、準都市計画区域とは、都市計画区域に準じた規制が行われ、開発許可制度を適用し、用途地域、特定用途制限地域、風致地区などを定めることができる都市計画区域外の区域をいいます。
上記の表によると、非線引き都市計画区域及び準都市計画区域のうち用途地域が定められていない地域については、原則として広大地評価の適用がないことになります。
「公共公益的施設用地」とは、都市計画法4条14項に規定する道路、公園等に供される土地及び教育施設、医療施設等の公益的施設に供される土地というとしています。しかし、広大地の評価は戸建住宅分譲用地として開発した場合に相当規模の「公共公益的施設用地」の負担が生じる土地を前提としていることから、公共公益的施設用地の負担の必要性は、経済的に最も合理的に戸建住宅の分譲を行った場合に、その開発区域内に開設される道路の開設の必要性により判定する事が相当といわれています。
よって、ごみ集積所などの小規模な施設のみの施設の場合は公共公益的施設用地の負担は必要とみとめられず、また、セットバックを必要とする場合の土地や、道路の開設が不要な場合なども公共公益的施設用地の負担は不要といえるので、これらの場合には広大地に当たらないといえます。
さらに路地状開発が合理的であると認められる場合も、公共公益的施設用地の負担が不要であるから、広大地にはあたらないといわれます。
広大地の評価の趣旨評価通達における広大地は①戸建住宅分譲用地として開発され、道路等の潰れ地が生じる土地を前提とし、また、②対象地がその存する地域の標準的な画地との比較において広大地と判定される画地であっても、一体利用することが市場の需給関係等を勘案して不合理と認められる場合に評価額を下げる趣旨と考えられます。
逆に、一体利用することが合理的な場合には、広大地として評価しない趣旨ともいわれ、その結果マンションなど中高層の集合住宅の敷地として使用するのが最有効使用である場合は、広大地には該当しないといえます。
ただし、戸建住宅とマンションが混在する地域においては最有効使用の判定が困難な場合もあります。その場合には、「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」には該当しないこととして差し支えないものとしてもよいようです。もっとも、指定容積率が300%以上の地域内にある場合には、マンション敷地として利用するほうが最有効使用と判断される場合が多いので、原則として、広大地にあたらないと判断されるようです。
以上、広大地について詳しく解説しましたが、何よりもその土地の特性を見極めながらの判断となりますので、やはり専門家に判断してみてもらう必要がありますね。
なお、近い将来広大地の評価方法について改正がされるという情報もあります。
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