贈与税はいくらかかるか、のまとめ。知っておきたいポイント。
相続対策のために生前贈与を用いることが考えられますが、贈与をする場合にも贈与税という税金がかかってきます。それがいくらかかるかの概算を考えてみたいと思います。
贈与税はいくらから税金がかかるか?
贈与税は財産をもらう人が支払います。
贈与税には二種類あります、暦年課税(れきねんかぜい)と相続時精算課税(そうぞくじせいさんかぜい)です。
ここでは、75歳の親から50歳の子への贈与を例にして贈与税がいくらかかるか?を解説していきます。
暦年課税
暦年課税とは、その年の1月1日から12月31日までに個人からもらった財産額が110万円を超える場合にかかります。
1.もらった金額が1,000万円の場合
贈与税は210万円かかります。
2.もらった金額が2,000万円の場合
贈与税は635万円かかります。
3.もらった金額が3,000万円の場合
贈与税は1,085万円かかります。
暦年課税の具体的な計算方法
- 1月1日から12月31日までもらった財産金額をもとめる
- その金額から110万円をマイナスする
- 110万円マイナスした後の金額を下記の速算表にあてはめる。
基礎控除後の課税価格 | 一般税率 | 特例税率 | ||
税率 | 控除額 | 税率 | 控除額 | |
200万円以下 | 10% | – | 10% | – |
300万円以下 | 15% | 10万円 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 | ||
600万円以下 | 30% | 65万円 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 55% | 400万円 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
なお、特例税率とは20歳以上の者がその直系尊属(祖父母や父母など)から財産をもらう場合に使います。今回の例はこの特例税率をつかいます。一般税率は特例税率に該当する以外の場合に使います。
相続時精算課税
相続時精算課税は、ある条件を満たした贈与については、2500万円までは贈与税がかかりません。2,500万円を超える金額については20%の贈与税がかかります。条件は、財産をあげる人が60歳以上の人で、財産をもらう人がその財産をあげる人の推定相続人と孫で20歳以上の場合です。
1.もらった金額が1,000万円の場合
贈与税はかかりません。
2.もらった金額が2,000万円の場合
贈与税はかかりません。
3.もらった金額が3,000万円の場合
贈与税は100万円かかります。
相続時精算課税の具体的な計算方法
- どの人からいくらの財産をもらったか?をもとめる
- それぞれの人ごとに今までいくらもらったか?をもとめる(財産をあげる人ごとに一生につき2,500万円までは贈与税はかからない)
- 今までもらった金額が2,500万円を超える場合はその超える部分に20%を掛ける
相続時精算課税制度の注意点
暦年課税には戻れない
暦年課税か相続時精算課税か選択できますが、相続時精算課税制度を一度、適用すると暦年課税は適用できません。
節税にはならない
相続時精算課税制度は相続税の前払い的な性格です。この制度の対象となった財産は相続が発生したときには、相続税の対象になります。そして、その相続税の計算上で前払いしていた贈与税があれば、その金額を相続税からマイナスすることができます。
したがって、相続時精算課税は節税にはなりません。もともと相続税がかからない財産しかない人から財産をもらう場合には、相続発生前に無税で財産をもらえることになります。
届出書を提出しないと適用できない
相続時精算課税を選択する場合には、税務署へ届出書を提出しなければなりません。
適用する場合には、必ず専門家である税理士に相談して届出書を作成してもらうと良いでしょう。
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