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成年後見制度とは?申立手続きを含めて分かりやすく解説

成年後見人 2015年12月16日 閲覧数:2469

成年後見制度とは、判断能力が衰えた場合に、その衰えを補い、その人を法律的に支援するための制度をいいます。

具体的には認知症を患った場合や知的障害、精神障害の疾患をお持ちの場合に、裁判所関与のもと、身上監護や財産管理などを第三者が行いサポートする仕組みとなります。

このページではこの成年後見制度の概要と申立手続きについて分かりやすく解説いたします。

成年後見制度の制度概要

成年後見制度の前提

民法などの各種取引や契約に関する規定は、当事者の自由な判断に委ねられていることが前提です。

しかし、物事の判断能力は人によって異なります。

ましてや、高齢・認知症・アルツハイマー病等で正常なものごとの判断ができない人について、一般の人と同じように判断をしろというのも無理な話です。

不必要なリフォーム契約をむすばされたり、不必要な物を買わされたり、などの消費者被害の的になりかねません。

そこで、本人の意思を尊重しつつも、判断能力が衰えた方の判断を補ったたり、代わりに行ったりする制度が成年後見制度が存在する理由なのです。

成年後見制度の仕組みの概要

家庭裁判所に対して一定の人からの請求に基づいて本人の判断能力を判定し、保護者として成年後見人をつけることが制度の基礎です。

ここで、保護者のことを成年後見人と呼ぶことに対応して、この場合の本人の事を「成年被後見人(せいねんひこうけんにん)」と呼んでいます

つけられた保護者の成年後見人には本人がした行為の取消ができるようになると同時に、本人に代わってする代理もできるようになります。

もっとも、日常生活に必要な行為にまで取消が及ぶと、成年被後見人の日常生活に支障をきたすので、日常生活に必要な取引は成年被後見人でも単独ですることができます。

このように、本人である成年被後見人の契約などの行為については成年後見人が代理をしてすることを中心にすえることで、本人を法律的に支援することができるようになります。

制度の利用には家庭裁判所が関与する

成年後見制度は本人を保護する目的で強力な権限を成年後見人に与える一方で、裏返して言うと権限を奪うことにもつながります。

ですから、成年後見制度を利用するには、判断能力の低下のみを理由とはせずに、家庭裁判所が審判を行うことを前提にした制度になります。

強力な「法定後見」とサポート的な「任意後見」

法定後見と任意後見の違い

これまで述べてきた成年後見制度というのは、家庭裁判所によって選任される法定後見という制度です。これは、本人の判断能力が衰えてきた場合に利害関係人によって申立されて手続きがすすむものです。この場合には、本人が行った契約についても取消ができたり、後見人が単独で契約をすることができたりとにかく強力に権限を行使することができます。

これに対して、あらかじめ、自分の判断能力が衰えてきたときのことを想定したり、判断能力はある程度あるはいえ、高度な判断は難しい場合に活用できる任意後見という制度もあります。これは、本人が必要と思うときに、第三者と後見契約をしておく形態のことをいいます。

ですから、とにかく本人を保護する場合には「法定後見」になりますし、ゆるく必要に応じて準備する場合には「任意後見」となります。

メリット・デメリット

  法定後見 任意後見
メリット 後見人には契約の取消権が認められ、財産管理権、身上監護権を通じて特に本人の財産保護が図られる。 本人が信頼できる第三者を後見人として選任することができる。
デメリット ・本人が後見人を選択できず、よくわからない第三者が選択されることもある

 

 

・手続を初めてから成年後見開始まで半年ほどの時間がかかる

・本人は資格制限がされる(なお、選挙権は制限されない)

・強力な権限により、親族、専門家ともに後見人の横領などの問題が生じやすい。

あくまで代理権のみが認められるに過ぎない。

 

 

※取消権を認める必要がでてきた場合には、法定後見に移行することができる

以上のことから法定後見と任意後見は、その時の本人の保護の必要度合いに従って活用を判断するのが望ましいといえます。

ただし、一般的には任意後見から活用するのがおすすめです。これは、本人の自由な意思決定が前提となっており、もっとも本人保護という考え方にそったものといえるからです。

任意後見の手続方法

具体的には、信頼できる第三者との任意後見契約の締結から始まります。

信頼できる第三者との任意後見契約

まずは、任意後見になる場合にどのような代理権を与えるかなど任意後見に関する契約書を作成します。この契約書は必ず公正証書の形にします。

この契約書ですが、第1に委任契約、第2に任意後見契約と2つの契約が一緒になっています。

第1の委任契約は、任意後見契約の前に、体調がすぐれない時などに銀行などにいってもらうように、代理権限を付与する委任後見契約を結ぶための文面です。

第1の委任契約から認知症の程度が重くなるにつれて第2の任意後見契約を利用する形になります。

契約書の雛形はこちらです。

委任契約及び任意後見契約公正証書

 

本公証人は、委任者 鈴木太郎(以下「甲」という。)及び受任者 佐藤一郎(以下「乙」という。)の嘱託により、次の法律行為に関する陳述の趣旨を録取し、この証書を作成する。

第1 委任契約

第1条(契約の趣旨)

甲は、乙に対し、平成◯◯年○月○日、甲の生活や療養看護及び財産の管理に関する事務(以下「委任事務」という。)を委任し、乙は、これを受任する。

第2条(任意後見契約との関係)

1 前条の委任契約(以下「本委任契約」という。)締結後、甲が精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況になり、乙が第2の任意後見契約による後見事務を行うことを相当と認めたときは、乙は、家庭裁判所に対し、任意後見監督人の選任の請求をする。

2 本委任契約は、第2の任意後見契約につき任意後見監督人が選任され、同契約が効力を生じた時点で終了する。

第3条(委任事務の範囲)

甲は、乙に対し、別紙「代理権目録(委任契約)」記載の委任事務(以下「本件委任事務」という。)を委任し、その事務処理のための代理権を付与する。

第4条(証書等の引渡し等)

1 甲は、乙に対し、本件委任事務処理のために必要と認める範囲で、適宜の時期に、次の証書等及びこれに準ずるものを引き渡す。

①登記済権利証 、②実印・銀行印、③印鑑登録カード・住民基本台帳カード、④預貯金通帳、⑤各種キャッシュカード、⑥有価証券・その預り証、 ⑦年金関係書類、⑧その他土地・建物賃貸借契約等の重要な契約書類等

2 乙は、前項の証書等の引渡しを受けたときは、甲に対し、預り証を交付して保管し、前記証書等を本件委任事務処理のために使用することができる。

第5条(費用の負担)

乙が本件委任事務を処理するために必要な費用は、甲の負担とし、乙は、その管理する甲の財産からこれを支出することができる。

第6条(報酬)

甲は、乙に対し、本件委任事務処理に対する報酬として毎月末日限り金○○円を支払うものとし、乙は、その管理する甲の財産からその支払いを受けることができる。

第7条(報告)

1 乙は、甲に対し、3ヶ月ごとに本件委任事務処理の状況につき報告書を提出して報告する。

2 前項の規定に関わらず、甲は、乙に対し、いつでも本件委任事務処理状況につき報告を求めることができる。

第8条(契約の変更)

本委任契約に定める代理権の範囲を変更する契約は、公正証書によってするものとする。

第9条(契約の解除)

甲及び乙は、いつでも本委任契約を解除することができる。ただし、解除は公証人の認証を受けた書面によってしなければならない。

第10条(契約の終了)

本委任契約は、第2条第2項に定める場合のほか、次の場合に終了する。

(1)甲又は乙が死亡し又は破産手続開始決定を受けたとき

(2)乙が後見開始の審判を受けたとき

【代理権目録(委任契約)】

1 不動産、動産等すべての財産の保存及び管理に関する事項

2 銀行等の金融機関、郵便局、証券会社とのすべての取引に関する事項

3 保険契約(類似の共済契約等を含む。)に関する事項

4 定期的な収入の受領、定期的な支出を要する費用の支払に関する事項

5 生活費の送金、生活に必要な財産の取得に関する事項及び物品の購入その他の日常関連取引(契約の変更、解除を含む。)に関する事項

6 医療契約、入院契約、介護契約その他の福祉サービス利用契約、福祉関係施設入退所契約に関する事項

7 要介護認定の申請及び認定に関する承認又は異議申立て並びに福祉関係の措置(施設入所措置を含む。)の申請及び決定に対する異議申立てに関する事項

8 シルバー資金融資制度、長期生活支援資金制度等の福祉関係融資制度の利用に関する事項

9 登記済権利証、印鑑、印鑑登録カード、住民基本台帳カード、預貯金通帳、各種キャッシュカード、有価証券・その預り証、年金関係書類、土地・建物賃貸借契約書等の重要な契約書類その他重要書類の保管及び各事項の事務処理に必要な範囲内の使用に関する事項

10 居住用不動産購入、賃貸借契約並びに住居の新築・増改築に関する請負契約に関する事項

11 登記及び供託の申請、税務申告、各種証明書 の請求に関する事項

第2 任意後見契約

第1条(契約の趣旨)

甲は、乙に対し、平成○◯年○月○日、任意後見契約に関する法律に基づき、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における甲の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務(以下、「後見事務」という。)を委任し、乙は、これを受任する。

第2条(契約の発効)

1 前条の任意後見契約(以下「本任意後見契約」という。)は、任意後見監督人が選任された時から

その効力を生ずる。

2 本任意後見契約締結後、甲が精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況になり、乙が本任意後見契約による後見事務を行うことを相当と認めたときは、乙は、家庭裁判所に対し任意後見監督人の選任の請求をする。

3 本任意後見契約の効力発生後における甲と乙との法律関係については、任意後見契約に関する法律及び本契約に定めるもののほか、民法の規定に従う。

第3条(後見事務の範囲)

甲は、乙に対し、別紙「代理権目録(任意後見契約)」記載の後見事務(以下「本件後見事務」という。)を委任し、その事務処理のための代理権を付与する。

第4条(身上配慮の責務)

乙は、本件後見事務を処理するに当たっては、甲の意思を尊重し、かつ甲の身上に配慮するものとし、その事務処理のため、適宜甲と面接し、ヘルパーその他の日常生活援助者から甲の生活状況につき報告を求め、主治医その他医療関係者から甲の心身の状態について説明を受けることなどにより、甲の生活状況及び健康状態の把握に努めるものとする。

第5条(証書等の保管等)

1 乙は、甲から、本件後見事務処理のために必要な次の証書等及びこれらに準ずるものの引渡しを受けたときは、甲に対し、その明細及び保管方法を記載した預り証を交付する。

①登記済権利証 、②実印・銀行印、③印鑑登録カード・住民基本台帳カード、④預貯金通帳、 ⑤各種キャッシュカード 、⑥有価証券・その預り証、⑦年金関係書類、⑧土地・建物賃貸借契約書等の重要な契約書類

2 乙は、本任意後見契約の効力発生後、甲以外の者が前項記載の証書等を占有所持しているときは、その者からこれらの証書等の引渡しを受けて、自らこれを保管することができる。

3 乙は、本件後見事務を処理するために必要な範囲で、前記の証書等を使用するほか、甲宛の郵便物その他の通信を受領し、本件後見事務に関連すると思われるものを開封することができる。

第6条(費用の負担)

乙が本件後見事務を行うために必要な費用は、甲の負担とし、乙は、その管理する甲の財産からこれを支出することができる。

第7条(報酬)

1 甲は、本任意後見契約の効力発生後、乙に対し、本件後見事務処理に対する報酬として毎月末日限り金○○円を支払うものとし、乙は、その管理する甲の財産からその支払いを受けることができる。

2 前項の報酬額が次の理由により不相当となった場合には、甲及び乙は、任意後見監督人と協議の上、これを変更することができる。

(1)甲の生活状況又は健康状況の変化

(2)経済情勢の変動

(3)その他現行報酬額を不相当とする特段の事情の発生

3 前項の場合において、甲がその意思を表示することができない状況にあるときは、乙は、任意後見監督人の書面による同意を得てこれを変更することができる。

4 第2項の変更契約は、公正証書によってしなければならない。

5 後見事務処理が不動産の売却処分、訴訟行為、その他通常の財産管理事務の範囲を超えた場合には、甲は乙に対し毎月の報酬とは別に報酬を支払う。この場合の報酬額は、甲と乙が任意後見監督人と協議の上これを定める。甲がその意思を表示することができないときは、乙は任意後見監督人の書面による同意を得てその額を決定する。

第8条(報告)

1 乙は、任意後見監督人に対し、○か月ごとに、本件後見事務に関する次の事項について書面で報告する。

(1)乙の管理する甲の財産の管理状況

(2)甲を代理して取得した財産の内容、取得の時期・理由・相手方及び甲を代理して処分した財産の内容、処分の時期・理由・相手方

(3)甲を代理して受領した金銭及び支払った金銭の状況

(4)甲の身上監護につき行った措置

(5)費用の支出及び支出した時期・理由・相手方

(6)報酬の定めがある場合の報酬の収受

2 乙は、任意後見監督人の請求があるときは、いつでも速やかにその求められた事項につき報告する。

第9条(契約の解除)

1 甲又は乙は、任意後見監督人が選任されるまでの間は、いつでも公証人の認証を受けた書面に

よって、本任意後見契約を解除することができる。

2 甲又は乙は、任意後見監督人が選任された後は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て、本任意後見契約を解除することができる。

第10条(契約の終了)

1 本任意後見契約は、次の場合に終了する。

(1)甲又は乙が死亡し又は破産手続開始決定を受けたとき

(2)乙が後見開始の審判を受けたとき

(3)乙が任意後見人を解任されたとき

(4)甲が法定後見(後見・保佐・補助)開始の審判を受けたとき

(5)本任意後見契約が解除されたとき

2 任意後見監督人が選任された後に前項各号の事由が生じた場合、甲又は乙は、速やかにその旨を任意後見監督人に通知するものとする。

3 任意後見監督人が選任された後に第1項各号の事由が生じた場合、甲又は乙は、速やかに任意後見契約の終了の登記を申請しなければならない。

【代理権目録(任意後見契約)】 

1 不動産、動産等すべての財産の保存、管理及び処分に関する事項

2 銀行等の金融機関、郵便局、証券会社とのすべての取引に関する事項

3 保険契約(類似の共済契約等を含む。)に関する事項

4 定期的な収入の受領、定期的な支出を要する費用の支払に関する事項

5 生活費の送金、生活に必要な財産の取得に関する事項及び物品の購入その他の日常関連取引(契約の変更、解除を含む。)に関する事項

6 医療契約、入院契約、介護契約その他の福祉サービス利用契約、福祉関係施設入退所契約に関する事項

7 要介護認定の申請及び認定に関する承認又は異議申立て並びに福祉関係の措置(施設入所措置を含む。)の申請及び決定に対する異議申立てに関する事項

8 シルバー資金融資制度、長期生活支援資金制度等の福祉関係融資制度の利用に関する事項

9 登記済権利証、印鑑、印鑑登録カード、住民基本台帳カード、預貯金通帳、各種キャッシュカード、有価証券・その預り証、年金関係書類、土地・建物賃貸借契約書等の重要な契約書類その他重要書類の保管及び各事項の事務処理に必要な範囲内の使用に関する事項

10 居住用不動産購入、賃貸借契約並びに住居の新築・増改築に関する請負契約に関する事項

11 登記及び供託の申請、税務申告、各種証明書 の請求に関する事項

12 遺産分割の協議、遺留分減殺請求、相続放棄、限定承認に関する事項

13 配偶者、子の法定後見開始の審判の申立てに関する事項

14 以上の各事項に関する行政機関への申請、行政不服申立、紛争の処理(弁護士に対する民事訴訟法第55条第2項の特別授権事項の授権を含む訴訟行為の委任、公正証書の作成嘱託を含む。)に関する事項

15 復代理人の選任、事務代行者の指定に関する事項

16 以上の各事項に関する一切の事項

同意を要する特約目録

任意後見契約の効力発生後、受任者が次の行為を 行う場合は、個別に任意後見監督人の書面による同意を要する。

1 不動産の購入、売却、贈与、その他重要な財産の処分

2 住居等の新築、増改築に関する請負契約の締結

以 上

なお、以上の契約書において、任意後見契約を解除する場合には、任意後見契約法第9条1項により公証人の認証を受けた書面によることが必要です。

公正証書での手続きとしては以下の費用がかかります。

  • 委任契約   11,000円
  • 任意後見契約 11,000円
  • 任意後見登記  2,600円
  • 登記嘱託手数料 1,400円
  • 登記嘱託書郵送料  540円
  • 正本謄本代  15,000円程度

家庭裁判所への申立手続き

実際に、本人に精神上の障害(認知症、知的障害、精神障害など)によって、本人の判断能力が不十分な状況にあるときは、任意後見監督人を選任できます。

この任意後見監督人の選任により、任意後見契約の効力が生じ、契約で定められた任意後見人が、任意後見監督人の監督の下に、契約で定められた特定の法律行為を本人に代わって行うことができます。

申立は、本人、配偶者、四親等内の親族または任意後見受任者になります。

申立は申立手数料の収入印紙800円と連絡用郵便切手、登記手数料の収入印紙1,400円となります。

必要書類は以下の通りとなります。

必要書類 取得できる窓口
本人の戸籍全部事項証明書 本人の本籍地の市区町村役場
任意後見契約公正証書の写し 任意後見契約書を作成した時点で公証役場から交付される正本または謄本
本人の成年後見等に関する登記事項証明書 法務局(郵送の場合には、東京法務局)
本人の診断書 家庭裁判所にて定められている登記事項証明書の雛形で医師に作成してもらう
本人の財産に関する資料 不動産登記事項証明書(法務局)

 

 

預貯金(通帳)

有価証券の残高が分かる書類(残高証明書等)

任意後見監督人の候補者がある場合にはその住民票又は戸籍付票

 

 

なお、法人の場合には商業登記簿謄本

住民票または戸籍附票は候補者の居住地の市区町村役場

 

 

法人の商業登記簿謄本は法務局

この家庭裁判所にて任意後見監督人が選任された段階から任意後見が開始されることになります。

なお、任意後見の業務は任意後見契約に基づくことになります。

成年後見制度の申立手続方法

具体的には本人が住んでいるところを管轄している家庭裁判所に成年後見開始の審判を申し立てることになります。

成年後見開始の審判を申し立ては本人、親族から

民法では、「本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官」とされています。

通常は配偶者や親族から行われることが多いでしょう。なお、四親等内の親族は、甥、姪、だけでなく、いとこも含まれます。また配偶者の兄弟姉妹も親族として申立が可能です。

なお、最近は、市区町村長が行う場合もふえてきました(法律で市区町村長も行うことができるとされています)。親族など身寄りのいない高齢者も増えてきた状況から、行政側が主体的に行うようになってきました。

この場合には、、一般的には地域包括支援センターや社会福祉協議会などと連携しながら行うことが多いようです。

成年後見開始には家庭裁判所の審判が必要

申し立てを受けた家庭裁判所は本人の現状などを判断し、法律上成年後見人を立てる必要があるかどうかを判断します。

具体的には、申立人のほか、本人、そしてサポートする成年後見人(保佐人や補助人も含めて)候補者が、裁判所にて審尋を受けます。

審尋の手続きでは、担当調査官から本人の状況、資産状況、後見候補者の資産状況(これまでの収入状況や負債状況など)、さらには就任後のサポートのプランニングなどのヒアリングを受けます。また、医師の診断書や精神鑑定による鑑定書なども提出を要求されることもあるでしょう。

これらの、調査官の審尋や、家庭裁判所による調査、さらに提出された書面を総合的に判断して、後見開始決定がなされるとともに後見人が選任されます。

なお、この後見開始決定は裁判官の専権であり、必ずしも申立書通りの内容になるとは限りません。後見人候補者ではない別の専門家が後見人に就任することもありますし、後見ではなく、保佐または補助の決定がなされることもあります。

申立書に成年後見人の候補者として、親族の名が記載されている場合でも、特に本人に不動産があり、その管理業務が発生する場合には、弁護士や司法書士などの専門家が成年後見人に就任することもあります。

手続開始から成年後見開始までの期間

およそ2ヶ月程度で終わるものがほとんどですが、精神鑑定を行うような場合にはもうすこし長くかかるようです。

成年後見の審判に不服申立てがある場合には、審判書を受領してから2週間以内に確定します。

もし不服がある場合には、この2週間以内に不服申立ての手続きを取ることができます。これを即時抗告といいます。ただし、成年後見人の選任についての不服申立てはできません。誰を成年後見人にするかという判断はやはり裁判官しか決められないのです。

成年後見登記

裁判所にて審判が確定すると(不服申立て期間をすぎると)、家庭裁判所から法務局に審判の内容が通知されます。この通知ですが、成年後見登記をしてくださいという嘱託といわれるものです。

かつては、被後見人という情報(以前は被後見人と似たような意味合いで禁治産者というのがありました)は戸籍に記載がされました。しかし、戸籍に記載が残ることについては、様々な問題点が存在していたことから、現在は法務局での登記の制度に変わったのです。

なお、成年後見登記の事務については、東京法務局本局の後見登録課のみで行っています。

ですから、例えば本人の住所が変わったなどのときに「登記変更」をする必要がありますが、東京法務局後見登録課でのみ受け付けています。

また、本人の死亡などにより後見が終了した場合には「終了の登記」が必要となります。

この場合も変更の登記と同様に東京法務局に申請する必要がありますが、この申請は、成年後見人だけでなく親族などの利害関係人が行うこともできます。

成年後見人への報酬は2万円から3万円

成年後見の業務はその財産管理だけでなく、身上監護などの業務も含みます。身上監護とは、本人の生活、医療、介護などに関する契約や支払い手続き、さらには、本人宅へ訪問し生活状況を確認するなどを行うことをいい、成年後見人の業務のかなりの部分をしめます。

これらの業務を考えると、無償で業務を行うというのは酷と言えるでしょう。そこで、報酬が認められていますが、この報酬は裁判所の判断によります。具体的には成年後見人が家庭裁判所に申し立てをして裁判所が報酬を決定することで決まります。

この報酬付与の決定は原則として年1回行い、前払いではなく後払いとなります。なお、この報酬額ですが、一般的には月額2万円から3万円程度認められます。

本人が亡くなったあとの最後の業務は報告書と財産目録作成

後見業務が終了すると、報告書と財産目録を作成し、家庭裁判所に報告します。また、死亡した場合には、相続人(遺言執行者)へ財産を引き渡して、業務が終了します。

なお、成年後見人が本人との間で死後事務委任契約を結ぶ事があります。死後の事柄について成年後見人に任せたいというときに契約を結ぶのです。この場合には、成年後見業務とは別にさらに業務が続くこともあります。

成年後見制度の申立て手続きに必要な書類

以下のようなものが必要となります。

  • 申立書
  • 本人の戸籍謄本(戸籍事項全部証明書)
  • 本人の住民票又は戸籍の附票
  • 成年後見人候補者の住民票又は戸籍の附票(法人の場合は資格証明書として商業登記簿謄本)
  • 家庭裁判所が定める様式の診断書
  • 本人の成年後見等に関する登記がされていないことの証明書
  • 本人の財産に関する資料(不動産登記事項証明書,預貯金及び有価証券の残高が分かる通帳写し・残高証明書等、その他の資料)

以上のようなものが必要とされます。

成年後見制度の申立て手続きに必要な費用

申し立てには、以下の費用がかかります。

申立手数料(後見・保佐・補助共通)  収入印紙  800円

(代理権又は同意権の付与) 収入印紙 各800円

登記手数料                  2,600円

送達・送付費用(成年後見の場合)        3200円

送達・送付費用(保佐・補助の場合)       4100円

その他に精神鑑定を行う際には約5万~10万円の費用が必要です。また添付書類としての戸籍全部事項証明書などの取得費用なども加算しますと、

また、成年後見登記が嘱託されますがその費用として2600円かかります。

成年後見制度の申立て手続きの専門家とその相場

家庭裁判所への申し立てになるので、専門家としては司法書士・弁護士がその申し立ての代理をすることができます。

申し立て費用の相場としては、弁護士、司法書士ともに始めの手続きにおいて、申立書面代行と財産調査及び財産目録作成などを含めて30万円前後の費用がかかるようです。

さらに、後見業務に対する費用として月々2~3万円程度が発生しますが、こちらは、裁判所の判断を経たうえで、年1回の後払いとなります。一般的には、本人の財産の中から支払われることになっています。

成年後見人にはなれない人がいる

法定後見人になれない人のことを「欠格事由(けっかくじゆう)」といいます。これは民法が規定するものであり、次に上げる人たちは成年後見になることができません。

未成年者

ここにいう未成年者は民法上の未成年者のことをいい満20歳以下の人のことをいいます。

未成年者は民法上も一人で契約をすることができないとされているので、後見人の職務を務めるのにふさわしくないからです。

家庭裁判所に解任された人

成年後見人は家庭裁判所によって不適格として解任される場合があります。

一度家庭裁判所に不適格という評価をされた後見人が再度後見人になることは、同じ事の繰り返しになるということで、成年後見人になるのにふさわしくないでしょう。

破産者

破産者とは破産手続き開始決定を受けて、免責・復権が確定していない人のことをいいます。

財産管理について問題がある以上、法定後見人をまかせることはふさわしくないという考え方です。

免責・復権が確定した後であれば法定後見人になることはできます。

成年被後見人となる人に対して訴訟をした人、その配偶者・親子

成年被後見人となる人に対して訴訟を起こしたことがある人は、その財産をめぐって利害関係が相反すること、敵対関係にあると考えられます。

またその配偶者や親子も同様に考えられます。

そこで民法はこれらの者が成年後見人となることを認めておりません。

行方不明者

成年後見人は成年被後見人の財産を管理しなければなりません。

行方がわからない人はそもそも成年被後見人の財産を管理できるような状態にありません

そこで法律は行方不明者を欠格事由としています。

専門家を利用することにメリットはあるのか

専門家を利用するには上記のように費用がかかります。そのような費用をかけてまで専門家を利用することには次のようなメリットがあります。

専門家は発生する様々な法律問題に対応してくれます。

成年後見人等が生活していくにあたっては居住しているアパート等の賃料や家の場合の借地の問題、ご近所トラブルから借金問題や契約の問題、介護認定の不服審査申立て、年金受給などの行政手続きまで扱ってくれるようになります。なにかある都度専門家に相談をする必要がなくなるのは大きなメリットです。

専門家が務めていることによる安心感が得られる

専門家が後見人を務めてくれていることは、任せる方とすれば安心感が生まれるという大きなメリットもあります。後見人の法的な知識が不足していると生活の様々な場面でどのように対応すればいいか不安になります。専門家が後見人を務めていることは安心感を得ることにも繋がります。

いつでも相談できるような存在になってくれる

成年後見がはじまってしまうといつどんな事が起きるかわかりません。専門家に依頼をしておけば何かあった際には、様々な助言を得ることができます

まとめ

以上、任意後見も含めた成年後見制度について解説をしました。

何より、ご本人、ご家族を含めてもっともよい方法で、重要な契約のサポートや財産管理などのサービスを受けられるのが望ましいことはいうまでもありません。

最近は、専門家による横領事件を防ぐために、後見監督人の制度が少しずつ充実してきておりますので、様々な契約を円滑に行うためにも、弁護士、司法書士、行政書士を始めとした専門家を活用することも考慮してみてはいかがでしょうか?

なお、そんなに財産がなく、成年後見制度を利用するまでもないと考える方も多くいらっしゃいますが、たとえ、生活保護を受けている方でも施設との契約などで利用しなければならない場面はあります。

市区町村によっては、補助の制度もありますので、一度役所に相談してみるのもおすすめです。

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