法事とは?必ず知っておくべき葬式との違い、意味について解説

黒い服を着て、念珠を片手に持ち、お寺様の後ろに座り、読経を聞きながら、順番が回って来たらお焼香をする。葬儀と法事とは、参列者の観点から見ると、とてもよく似たものかもしれませんが、似て非なるものなのです。この記事では「葬儀」「法事」の違いについて解説します。

葬儀と法事は死者を葬るか先祖を祭るかの違い

死者の弔いには大きく2つの儀礼があります。

葬儀法事です。

冠婚葬祭という言葉ありますが、「葬」は葬儀のことで、「祭」は祭祀のことです。

つまり、

葬儀は死者を葬る儀礼であり、

法事は先祖を祭る儀礼である、

と言えるのです。

葬儀は死者をおくる儀式

葬儀の役割もさまざまですが、法事との比較で言うならば、葬儀とは、①死者をあの世に送り出す作業②遺体の処理、といえるのではないでしょうか。

死別の悲しみに苦しむ人間は、なかなか死の事実を受け入れることができないものです。

葬儀とは、死者をあの世に送り出すという宗教行為を通じて、遺された者にも、「もうこの世の人ではないんだよ」と、死の事実の納得を促すための儀礼であると言えるでしょう。

そして、死者の亡骸は、現実として変色し、異臭を放ち、腐敗していきます。宗教儀礼を営んだ後に、昔であれば葬列を組んで土葬に、現代では霊柩車で出棺して火葬にします。遺体の処理も、葬儀の大切な役割です。

 

法事は死別の悲しみを癒やす儀礼でもある

さて、葬儀を終えて、あの世への送り出しという宗教儀礼と、火葬という遺体の処理こそ終わりましたが、だからといって遺された人たちの心の傷が癒えるわけではありません。

人々の死別の悲しみ(これを現代では「グリーフ」と呼びます)は、時間をかけてゆっくりとその人の死を受け入れて、克服していくものだと言われています。

その節目節目に、寺院を招いての法事を行うわけですね。

亡くなったばかりの時は、心の傷もまだまだ癒えていないですから、懇ろに法事をします。

死亡から七日後 初七日法要
14日後 二七日法要
21日後 三七日法要
28日後 四七日法要
35日後 五七日法要
42日後 六七日法要
49日後 四十九日法要

 

四十九日法要を持って、死者の魂は祖霊となり、ご先祖様の仲間入りとされます。死亡からの約2カ月の間に、枕経、通夜、葬儀の読経も入れると、なんと11回もの数、寺院に読経を頂いているのです。

それほどに昔の人は近親者の死を哀しみ、そして畏れたのです。

とはいえ、四十九日くらいで悲しみが消えてなくなるのかと言うと、そういうわけではありません。

100日後 百か日法要
1年後 一周忌法要
2年後 三回忌法要
6年後 七回忌法要
12年後 十三回忌法要

 

そして、十七回忌、二十三回忌、二十五回忌、二十七回忌法要を経て、三十三回忌法要を終えることで(地域によっては五十回忌のところもあるようです)、死者は個性を亡くして、村全体の氏神となっていきます。

そのころには、死別の悲しみも癒され、死者を悼んでいた当人もお亡くなりになりますよね。こうして世代が変わることで、死者は個性を失っていく、というのが日本の古来からのグリーフケアのシステムでした。

日本人の弔いの仕方

人間には、仲間の死を悼む習性があります。ここで言う仲間というのは家族、親族、近隣、友人、知人などを含みます。

死者を追悼するための儀式は古今東西問わず行われてきました。北イラクのシャニダールで4万年以上も前のネアンデルタール人の遺跡が発見され、人骨の周辺から花粉が発見されたのは有名な話です。彼らは死者を弔う行為として、花を供えていたのです。

日本人の死者の弔い方は、民間習俗、儒教、仏教、神道など、さまざまな要素が入り混じっていますが、しかし根本的に貫かれているものとして、民俗学者の柳田国男さんが提唱する先祖観があり、それは…

死者は成仏して家の先祖となり、さらに年月を経て村全体の氏神になる

…というようなものです。

柳田国男の先祖観

昔から、日本人は死者とともに生きてきました。

死んだばかりの霊は死霊、日本の言葉では荒魂(あらみたま)として恐れられました。

そして四十九日法要までの供養を済ますことで祖霊、日本の言葉では和魂(にぎみたま)としてその家のご先祖様の仲間入りを果たしました。

そして、三十三回忌を終えることで、その家の先祖だけでなく、村全体の神霊、日本の言葉では氏神(うじがみ)となって、子孫の生活を見守っているを信じられました。このような名残が現代でもなお息づいているのです。

葬儀は死別の悲しみを慰撫するものですが、法事は先祖を偲んで親族が集まる場です。その月日の流れの中で、遺族は悲しみを癒し、節目節目で寺院の宗教的儀礼に安心感を得ていたのです。

ただ、柳田国男のこうした先祖観は、村落や里山に居住する庶民信仰が対象で、海や都市に暮らした人は、あるいは地域共同体に入れてもらえなかった人たちについてのことが書かれていないために、しばしば批判を受けることもあるようです。

まとめ

葬儀と法事の違い、分かって頂けたでしょうか。

作法はほとんど変わることがないとはいえ、その意味合いは大きく異なるものなのです。

でも、葬儀はいつか法事を必要としますし、法事も葬儀があったからこそ執り行えるものです。

それらはすべて、死者のあの世での幸せを願う想い、ひいては、死者の幸せがこの世に生きる私たちの幸せにもなるという、死者との共生感が生み出した、日本人のすばらしい叡智だと思います。

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