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なぜ相続税を増税するのか?その背景と理由。

ニュース・コラム 2015年12月4日 閲覧数:1912

2015年1月1日に改正相続税法が施行され、相続税が事実上増税されることになります。ここではその内容と背景、理由について考えてみます。

改正の内容を解説

基礎控除が小さくなる

2015年改正の最も大きなポイントは「基礎控除額の4割削減」という点でしょう。

基礎控除とは言うまでもなく「相続財産の合計がこの金額以内であれば相続税を納める必要はありませんよ」という枠のことです。2014年時点では、日本で発生する全ての相続の中うち相続税を納める必要のある相続の割合は約5%にも満たないとされています。つまり約95%以上の相続人が相続税を納める必要なく相続手続きを終えているわけですが、これは基礎控除という制度が存在するから、というのが大きな理由の1つです(もう1つの大きな理由として「小規模宅地の評価減の特例」があります)。

その基礎控除の金額ですが、2014年までは「5000万円+1000万円×法定相続人の数」となっていました。
例えば法定相続人が配偶者と3人の子どもの場合、基礎控除額は9,000万円となります。
これが2015年以降は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」になります。
前述の例であれば基礎控除額は5,400万円となります。

基礎控除額が小さくなることは相続税の増税につながるのです。

税率が高くなる

もう1つの改正ポイントが「税率の増加」という点です。

相続税は相続財産の合計から基礎控除額を差し引いたものに対して課税をされます。
この金額が「いくらまでなら税率は何%で、控除額が何円」ということが決められています。
今回の改正では1億円以下に関しては据え置きですが、それ以上の相続財産に関しては「3億円以下で税率40%控除額1700万円」、「3億円超で税率50%控除額4700万円」という2段階だったものが「2億円以下で税率40%控除額1700万円」、「3億円以下で税率45%控除額2700万円」、「6億円以下で税率50%控除額4200万円」、「6億円超で税率55%控除額7200万円」と4段階に細分化されるとともに最高税率が50%から55%にアップすることになりました。
税率が高くなることにより増税となったわけです。

相続財産の規模によっては基礎控除額の削減で課税対象となる財産が増えるだけでなく、税率のアップで増税の二重パンチを食らう可能性も出てきます。そのためこの改正に備えて自身が相続させることになる財産のあり方を見直す動きが活発になっています。

減税となる改正もあり

ただ、逆に減税となる改正ポイントもあります。
その1つが「小規模宅地の評価減の特例」の要件の緩和です。
これは簡単にいうと被相続人が居住や事業の目的で保有していた土地を相続する場合はその評価が劇的に下がるというものです。
その適用面積の上限が、最もよく適用される「マイホームの敷地」に関して240平米から330平米に拡大されます。
今までは敷地面積が広すぎてこの特例の適用が受けられなかったようなケースでも、今後は適用される可能性が高くなります。マイホームの場合は評価が80%も減じられますので、これが適用されるとされないのとでは大きな違いがあります。

増税の背景と理由

これを考える上では「そもそもなぜ相続税というものが存在するのか」を確認しておく必要があります。

所得税を補う役割がある

相続税の目的は大きく分けて2つあり、1つは「所得税の補完機能」です。
人は、少なくとも日本人は、生きていくためにお金を稼ぐ過程で所得に対して一定の割合で税金を納めることになっています。
しかしその際には様々な特例や軽減措置などの政策が実行されることによって本来納めるはずだった税金が免除されることがよくあります。
これらを亡くなった際に精算して納めてもらおう、という考え方です。

富の再分配の役割もある

もう1つの目的は「富の再分配と格差是正」です。もしも相続税がなければお金持ちは代々ずっとお金持ちであり続け、社会における「階層の固定化」に繋がります。
貧富の差が解消されないということです。
そのため所得税同様に累進課税制度を導入し、相続した財産が大きければ大きいほど納めるべき税金の額も大きくなるという仕組みになっています。これによって一部の人たちに過度に富が集中することを防ぎ、税金として徴収した後に社会資本として還元するなどの方法であまねく富の再分配が行き渡るようにしているわけです。

増税の理由は時代の変化

この2つを押さえた上で今回の改正点を見てみましょう。
最も大きな改正点は「基礎控除額の4割削減」なわけですが、そもそも2014年までの基礎控除額の計算方法「5,000万円+1000万円×法定相続人の数」というのは1994年の相続税法改正によって決められたもので既に20年が経過しており、時代に合わなくなってきたということが指摘されていました。
1994年改正に至るまでの基礎控除額の変遷を見ると、1988年11月までは「2,000万円+400万円×法定相続人の数」だったものが同年12月に「4,000万円+800万円×法定相続人の数」になり、1992年1月1日には「4,800万円+900万円×法定相続人の数」、1994年1月1日には「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」になってそこから20年、という流れです。

バブル経済のときに基礎控除額は大きくなった

1988年から1994年という6年間にこれだけ基礎控除額が拡大されたのは「バブル経済の過熱による地価の高騰」という理由がありました。
地価が異常な勢いで高くなり続けたために、土地を相続するとあっという間に基礎控除額の枠を超えてしまい多額の相続税を支払わなくてはならないというケースが続出したからです。
高額な相続税を支払うために相続した土地や建物を売却し、相続人の生活の基盤が崩壊するようなケースもありました。
このような事態を防止するために段階的に基礎控除額を拡大し続け、一般庶民に高額な相続税が課税されないようにしてきたわけです。

バブル崩壊後20年以上経つが、基礎控除額はそのまま

しかし、ご存じのようにその後バブル経済は崩壊し、地価は概ね下落傾向にあります。「
バブルの時期には●億円でもいいから売ってくれ、と言われたのに今は●千万円でも買い手がつかない」みたいな話しを耳にしたことがあると思いますが、これはそれだけ地価が下がっているということです。
データを見ると地価は既にバブル経済以前の水準にまでさがっている地域がほとんどなのにも関わらず、相続税の基礎控除額は据え置かれたまま20年が経過しています。
結果として相続税が課税される人の割合が大幅に低下し続けていました。
前述のように今では約5%以下の人しか相続税を納めていません。

社会保障費は増え続けている

景気の悪さを反映して国の税収全体は落ち込みを見せていますが、一方で世界有数の超高齢化社会に突入しているので社会保障費は増大し続けています。そのため国は「取れるところから取る」と言わんばかりにあらゆるところに課税をしたり増税をしたりしています。
消費税やたばこ税の増税はその典型ですが、その波が相続税にも押し寄せてきた、ということになります。
ましては20年も据え置かれていたので、きちんと説明可能な増税理由があった、というのも国としては好都合だったと言えます。

まとめ

国を運営しておくにあたって税金は必須です。公平な税制という前提の下で適正に納税をするのが全ての国民に課された義務ではありますが、「取られる税金は少ないに越したことはない」というのが多くの人の偽らざる気持ちでしょう。相続対策は実際に相続が発生してから、あるいは相続発生の可能性が目前に迫ってきてから行うのは手遅れになりがちです。常に最新の動向を注視しながら、中長期的な視点で計画的に行っていく必要があります。税理士やファイナンシャル・プランナーなどの専門家を上手に活用し、相続が「争族」にならないようにしたいものです。

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