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高齢者同士の相続が増加。平均年齢は?

ニュース・コラム 2015年12月4日 閲覧数:899
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1.日本人の平均寿命は年々伸び続けている

「日本は世界一の長寿国である」と言われて久しいわけですが、2014年7月31日に厚生労働省が発表した「簡易生命表」によると男性の平均寿命が80.21歳で世界第5位、女性の平均寿命が86.61歳で世界第1位の長寿となっています。男性の平均寿命が80歳を超えたのは調査開始以来初めてとなり、女性の平均寿命が世界一だったのは2年連続となります。ちなみに10年前の調査結果と比べると男性は1.85歳、女性は1.28歳、20年前との比較ではそれぞれ3.96歳、4.1歳も平均寿命が伸びています。これだけ平均寿命が伸び続けているのは性別、年齢別共にガンなどのいわゆる悪性新生物、心疾患や脳血管疾患、肺炎といった病での死亡状況が改善されていることが大きな理由です。つまりは医療技術の着実な進化によってかつては「死に至る病」だったものが必ずしもそうではなくなってきている、ということでしょう。

2.平均寿命の伸長が相続に与える影響

平均寿命が伸びているということは、長生きをする人が増えているということです。相続は人の死亡を要件として発生するものなので、人が死ななければ相続は発生しません。 親が長生きする時代になっているので子どもにしてみれば自分が結婚をして子どもが生まれても、その子どもが成人をして就職をして、場合によっては結婚をして子ども(自分から見れば孫、自分の親から見ればひ孫)が生まれてもなお両親が元気でいる可能性が高いです。両親のうちのどちらかが亡くなって人生初の相続が発生する頃には自分自身が定年退職間近な年齢になっている・・・というようなケースも珍しくありません。 また、女性の方が平均年齢が高いので、仮に同い年同士の夫婦であれば男性の方が先に亡くなり、その後女性が亡くなるということになりがちです。一般的には夫婦の財産の多くが夫名義になっていると思いますので、「夫→妻→子ども」という順番で相続がされることになります。夫が亡くなった時点で子どもは法定相続人のため財産の一部を相続している可能性はありますが、法定相続分は配偶者が2分の1、子どもは2分の1で子どもが複数いる場合は頭数で割る、ということになっていますので、この通りに相続が行われれば相続財産の半分は妻が相続をすることになります。その後妻が亡くなるまでは数年から十数年程度のタイムラグがあるため、夫婦が一代で築いた財産が子ども世代に完全に承継されるには余計に年数がかかる、ということになります。 つまり配偶者の財産を相続するということはその時点で相続人も同程度の年齢になっており、子どもの立場からすると両親が亡くなる頃には自分自身もそれなりの年齢になっている、ということで「高齢者同士の相続が増えている」というのは(高齢者の定義にもよりますが)「当たらずとも遠からず」ということが言えるでしょう。

3.現住居の敷地を贈与や相続で取得した際の平均年齢は?

国税庁は相続人の平均年齢のデータを公表していませんが、国土交通省では5年に1回「土地基本統計」という調査を行っており、その中で「現住居の敷地を相続・贈与で取得した世帯主の年齢」についてのデータを公表しています。 現在公開されている最新のデータは2008年に行われた調査のものですが、これによると 60歳以上で現住居の敷地を相続した人が全体の約60%にも達しています。30歳未満はほぼゼロ、30代は約5%、40代は約10%、50代は約25%という割合になっています。しかも1993年の調査以降、60歳以上で現住居の敷地を相続する人の割合が急カーブを描いて上昇を続けており、それに押し出される形で他の各世代の割合が減少し続ける、という傾向にあります。このデータだけを見ても相続によって財産を獲得する年齢が高齢化の一途を辿っていることがよくわかります。

4.高齢者同士の相続が増加することによって生じる弊害と解決方法

相続人、被相続人共に高齢化が進むと、国民全体の富が高齢者にのみ集中してしまいます。つまり極端なことを言えば「高齢者はお金持ち、若者は貧乏」ということになります。しかも今の日本は超高齢化社会が進行しており、高齢者の年金や医療費等の社会保障費を賄うために多額の税金を納めなくてはなりません。ただでさえ少ない給料の中から税金をたくさん持っていかれ、亡くなった人の財産は高齢者から高齢者へとやり取りされ若い世代には一向に降りてこない、となると若年層のやる気がそがれ、社会全体の活力が失われてしまいます。今の日本の社会においてその萌芽は既に出ているのかもしれません。 このような問題を解決するには、高齢者に集中しがちな富を若年層にも還流させることが最も大事です。具体的には贈与を今よりももっと積極的に行えるような政策を実行することでしょう。国も少しずつではありますがその方向に舵を切っており、例えば時限的な措置ではありますが直系尊属から住宅取得資金等の贈与を受けた場合には一定の金額までの贈与は非課税としたり、孫への教育資金の贈与は1500万円までなら非課税とする、等の施策を実行しています。

 相続や贈与のことを調べていると「世代間移転」という言葉を見る機会があると思います。この世代間移転とは、会社を定年退職したような親世代から現役バリバリで働いている子ども世代へ財産を移動させることを指します。老壮年層から中若年層への財産移転と言い換えても良いでしょう。 今の日本の社会は、この世代間移転があまり進んでいないという現状があります。そしてこれは様々な弊害を生んでいると考えられます。

今の制度ではなかなか生前贈与が進まない

一般的に若い世代が上の世代から財産や資産を譲り受けるのは、親や身内から贈与を受けるか相続をされるかのどちらかになります。ある程度の年齢になればどうしても死を意識せざるを得ないので、自分が築いた財産をスムーズに下の世代に引き継ぐことを考えると思いますが、自分が生きているうちに出来るのは贈与、つまり他人に財産をあげるということです。 しかしいざ贈与をしようとすると、贈与税という厚い壁が立ちはだかります。現在、贈与税の基礎控除額は年間110万円となっており、これを超えた額を贈与した場合は超えた分に贈与税が課税されます。例えば、超えた分が200万円以下の場合は税率10%ですので、父親が子どもに300万円あげた場合、300万円から基礎控除額の110万円を差し引いた190万円に10%の税率がかかり、19万円の贈与税が発生する、ということになります。300万円をあげても子どもが受け取れるのは事実上281万円、というわけです。 贈与する財産が大きければ大きいほど税率は高くなっていき、最大で1000万円以上の贈与で税率50%、控除額225万円となります。例えば1500万円を贈与した場合、基礎控除110万円を差し引いた1390万円から更に225万円を差し引いた1165万円に50%の税率がかかります。これは582万5千円になりますので、1500万円贈与されても受け取れるのは917万5千円、ということになります。 年間110万円までの贈与は非課税なので、1500万円を贈与したい場合であれば単純計算で14年かければ贈与税を納めることなく財産を移転させることが出来ます。14年という時間をどう捉えるかは人それぞれですが、65歳で定年退職してから贈与を始めたとしたら終わるころには80歳になってしまいます。さらに言うならば、65歳の時に自分の子どもが35歳だとすると、贈与が終わる頃に子どもは50歳です。 子どもの置かれている状況にもよりますが、マイホーム資金や教育資金など何かと物入りな時期にも関わらず中々思うように給料が伸びていかないのが30代後半から40代後半くらいです。贈与税の負担を嫌って基礎控除の範囲内で細々と財産の移転を続けていたら、「子どもが最もお金が必要で、親としても最も援助してあげたい時期に思い通りに財産を移転させられない」という状況に陥る可能性があります。前述したように1500万円を1度に贈与すると582万5千円も贈与税で持って行かれてしまいます。普通の人にとってこの金額は大金ですので、こんなに高い税金を払うのはバカバカしい、と思うのは無理からぬことでしょう。 それでも基礎控除額の範囲内で贈与をされ続けていれば、子どもとしてはありがたいことでしょう。年間110万円の贈与であれば月10万円弱が収入としてプラスになるからです。子どもの月収が月30万だとすると、ここに10万円プラスされるのは大きいはずです。 しかし実際問題として、毎年贈与税がかからないように計算しながら贈与を行うのは面倒ですし、しかもそれが向こう何年にもおよぶと考えると「どうせ自分が死ねば相続で財産は子どものものになるのだから」と贈与に二の足を踏むことにもなります。最近では住宅購入資金の贈与や孫の教育資金としての贈与には、一定の条件の下で税制的に優遇されるような措置も取られているので国としても配慮はしていると思うのですが、まだまだ積極的に贈与をしようという動きには繋がっていません。

世界有数の長寿国なので相続は高齢者同士になる

これは喜ばしいことなのですが、今の日本は世界有数の長寿国です。男性の平均寿命は80歳を超えて世界第5位、女性は86歳を超えて世界一です。相続は人の死をきっかけに発生するものなので、平均寿命が伸びて人が中々亡くならないようになれば、当然相続も中々発生しません。 とは言え人はいつか必ず亡くなるので、子ども世代は待っていればいつかは親世代から相続財産を受け取ることになります。ここで問題となるのは、親が高齢で亡くなる頃には子どももそれなりに高齢になってしまっている、ということです。仮に親が30歳の時に出来た子どもであれば、親が80歳で亡くなると子どもは50歳、90歳で亡くなれば子どもは60歳となります。 次に子どもの子ども、つまり孫のことを考えてみましょう。子どもが35歳で孫が生まれたとすると、50歳で相続をすれば孫は15歳、60歳で相続をすれば孫は25歳になります。この頃の平均寿命がどうなっているかはわかりませんが、少なくとも今よりは伸びていると考えられますので、仮に85歳で子どもが亡くなると仮定すると子どもが50歳で親の財産を相続した場合に孫は50歳、60歳で親の財産を相続した場合孫は60歳になっています。 これを見ればわかるように、長寿高齢化社会では50代、60代という世代で上の世代の財産を相続するということが延々と繰り返されていくわけです。

以上のような制度上の問題や日本社会の特徴から、今の日本では財産の世代間移転が中々進んでいないという状況がおわかり頂けたかと思います。国民全体で保有している富の多くが50代以上の世代でのみぐるぐるやり取りがされていて、それより下の世代には中々降りてこないわけです。 もう1つの問題は「少子化」です。そのため日本の人口ピラミッドは見事に逆三角形を描いています。そして老年層が受け取る年金や病院に支払う医療費といった社会保障費の多くは、若中年層が支払う税金で賄われています。長引く不況の影響で給与水準も下がり中々伸びないという状況の中、繰り返される増税で現役世代は疲弊し、活力を失いつつあります。一刻も早く贈与をしやすい制度を作るなど、引退世代から現役世代への財産の世代間移転を推進する政策が望まれます。相続という問題からも今の日本が抱える構造的な問題が浮き彫りになってくるのです。
 

まとめ

日本人の平均寿命が伸びるのは良いことですし、自分の親がいつまでも長生きしてくれるのは非常に喜ばしいことです。子どもが親の財産をあてにするのはあまり良いことではないかもしれませんが、現実問題として比較的多くの財産を保有している親世代からある程度の資金援助を受けて生活を成り立たせていくという形の「世代間の相互扶助」はいつの時代も行われてきたことです。大事なことは「財産を子ども世代に贈与したいと思っている親世代が、贈与税の負担を気にして贈与に二の足を踏むことがないようにする」ということでしょう。これは政治の仕事ですが、全ての世代の人々にとってなるべく不公平感の少ない制度が出来ることを期待したいものです。
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