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佐世保事件、加害者の父親が娘を祖母の養子にしたのは相続対策?

相続税対策 2015年12月4日 閲覧数:483
a0790_000631 2014年7月26日、猛暑の日本列島を衝撃的なニュースが駆け巡りました。それは皆さんの記憶にも新しいと思われる「佐世保女子高生殺害事件」でした。この事件は15歳の女子高校生が自らの住むマンションで同じ学校に通う女子高生を鈍器で殴打した後にひも状のもので首を絞め殺害、遺体から首と左手首を切断した、という極めて凄惨なものでした。 この事件は世間の耳目を大いに集めましたが、その理由としてあまりにも残忍な手口と「女子高生」というキーワードから連想されるイメージとのギャップはもちろんのこと、「父親がやり手のイケメンエリート弁護士」「女子高生は家族と離れてマンションで1人暮らし」といった少々浮世離れしている家庭環境がありました。事件後、ワイドショーなどを中心にこういった家庭環境が次々とスキャンダラスに報じられたわけですが、その中の1つに「容疑者の父親が容疑者を自分の母親の養子にしていた」というものがありました。これは父親の代理人を務める弁護士が事実であると認め、その理由として「父親が娘を切り捨てたわけではなく、財産分与と節税の観点からの措置」と述べています。孫が祖母の養子になると財産分与や節税にどのような影響があるのでしょうか。

1.養子は法定相続人になることが出来る

人が亡くなり相続が発生した場合、配偶者とその子が法定相続人となることが民法で定められていますが、被相続人に養子がいた場合は相続において実子と全く同じ扱いを受けることが出来ます。 これを相続税という観点から捉えた場合、「法定相続人が増えるので基礎控除額が増える」ということになります。「相続税を払わなくて済む可能性がそれだけ高くなる」とも言えます。基礎控除額は2014年までであれば「5000万円+1000万円×法定相続人の数」で計算し、2015年以降は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。相続財産の価額の総額がこの基礎控除額の範囲内に収まれば相続税を支払う必要がありません。法定相続人が1人増えれば2014年までなら基礎控除額が1000万円、2015年以降なら600万円増えることになります。

2.相続税対策としての養子縁組が増える?

前述のように2015年以降は基礎控除額が4割削減されることが既に決まっています。これによって相続税を支払うべき人が増えていくことが予想されています。例えば妻1人、子1人の合計2人を残して亡くなった場合、2014年までであれば7000万円までが非課税とされていたものが、2015年以降は4200万円までしか非課税にならない、ということになるので、これは当然の話しです。 そこで相続税の課税を回避するために様々な手段が新聞や雑誌等で紹介されていますが、その中の1つとして注目を集めているのが養子縁組です。 養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組の2つがありますが、前者であれば養親との間に親子関係が生じるだけでなく実親との間の親子関係も切れずに継続することになります。家庭裁判所に対して煩雑な手続きを行わなくてはならない、という点を除けば養子、養親、実親の誰も特別大きな損をすることはありません。 相続を見越して婿養子を養子にする、孫や甥、姪を養子にする、といったことは今までも普通に行われてきたことですが、2015年の相続税法改正によってにわかにこの手段が脚光を浴びるようになってきました。

3.佐世保事件のケースでは?

佐世保事件の容疑者である少女は「父親の母親の養子」、つまり祖母の養子になったとされています。祖母に何人の子どもがいるのかは不明ですが、少なくとも少女の父親が祖母の法定相続人にはなると思います。ここに加えて養子になった少女が祖母の相続人となります。法定相続人が1人増えることによって基礎控除額が増えますので、少女の父親の代理人の弁護士が言う「節税」というのはこの点を指しているのでしょう。結果的に相続財産の価額の合計が基礎控除額を超えたとしても超えた分に対してのみ相続税が課税されるので、節税という観点では一定の効果があります。 もう1つ代理人弁護士が言及している「財産分与」という点ですが、これは「二次相続の発生による財産の目減りを防ぐため」と推測されます。 仮に祖母が亡くなった場合、少女の父親が法定相続人として相続をします。これが一次相続です。その後いずれは父親も亡くなることになりますが、そうなると今度は娘である容少女が父親の法定相続人として相続をします。これが二次相続です。これは祖母の財産が孫である少女の手元に来るまでの間、2度相続税を支払う可能性があるということになります。2度とも相続税を回避することが出来れば財産は目減りすることなく承継されますが、逆に2度とも相続税が課税されるとこの家の財産はその分目減りすることになってしまいます。そのため、先々「子→孫」と財産が承継されることがあらかじめわかっているような場合、孫と養子縁組をすることによって子への相続をあえて飛ばして、孫へ直接相続させることがしばしば行われます。 そして同時に、上記2点が相続において養子縁組を活用するメリット、と言えます。 祖母と少女の養子縁組が行われたのが事件の1か月前だったということもあり、この養子縁組が少女を傷つけ、家族からの疎外感を生み犯行へ至る道筋を作った、というような論調があるようです。少女はどう感じていたのか、真相はどうなのかは不明ですが、少なくとも父親の代理人の弁護士の言う「財産分与と節税の観点からの措置」という話しには一定の説得力はあります。 あるいは別の見方をすると、父親は自分が亡くなった時に娘がきちんと財産を相続出来るかどうかを心配したのかもしれません。父親は少女の生みの親である先妻が病死した後、別の女性と再婚しています。もしも後妻(少女にとっては継母)を残して父親が先に亡くなった場合、法定相続人としてもっとも強力な立場になるのは配偶者である後妻です。娘には最低限の遺産しか渡さずに後妻が遺産をほぼ独り占め状態にする、という可能性も考えられ、そうなることを恐れた父親はせめて祖母から受け継ぐことになる財産については祖母と養子縁組をさせることによって娘が確実に受け取れるように配慮した・・・のかもしれません。

4.そして父親は自殺した

しかし今となっては、父親がどういうつもりだったのかは永遠にわからなくなってしまいました。事件から2か月後の2014年10月5日に父親は自宅で首を吊って自殺をしてしまったからです。「後妻を残して父親が亡くなった場合・・・」という前述の例がまさに現実のものとなってしまったわけです。 容疑者である少女には即日この事実が弁護団から伝えられたようですが、その時の様子は事件の核心に触れるとして明らかになっていません。あらゆることが私たちの前で明らかにされるのは、まだまだ先のことになりそうです。
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