亡くなった後にペットのお世話をしてもらう、またはペットに相続させる方法


ペットをお持ちの方は、自分の家族同然にかわいがっていらっしゃることかと思います。もし自分が亡くなったら、その子がどうなってしまうのか気にされることでしょう。ここでは亡くなった後のペットのお世話、ペットへの相続について解説していきます。

ペットのお世話をさせるなら負担付遺贈

ペットのお世話をしてくれるなら財産を渡したい、そのようなときに便利なのが「負担付遺贈(ふたんつきいぞう)」です。

単純に財産を残すのではなく、条件付きで財産を渡すことができます。

ペットお世話をすること、介護をすること、生活の面倒を見ること、などの条件が付けられる

自分が亡くなった後に残されたペットの面倒を見る、配偶者の介護をしてもらうことや、障害を持つ子供がいた場合に生活をサポートしてあげることを条件に財産を残すのような場合が負担付遺贈です。

受けた人は、遺贈の放棄もできる

条件として書かれている内容が受け入れられないものであれば、相続を放棄することも可能です。

不動産を相続させる、など特定の財産だけを相続する「特定遺贈」なら死後いつでも放棄はできます。
財産の1/4を相続させる、などの全体の割合を相続する「包括遺贈」であれば3ヶ月以内に放棄の手続きをしなければいけません。

負担の上限は受け継ぐ財産分だけ

たとえば1000万円を相続するのに、「毎年300万円をAさんに5年間支払うこと」などと条件がつけられていた場合、相続を受ける人は割に合いません。

条件があったとしても遺贈を受けた財産の価額を上限としてのみ、負担すればいいことになっています。

従っているかどうかは遺言執行者、相続人がチェックする

その人が条件どおりに従っているかどうかは、遺言執行者として書かれていた人物や、ほかの相続人がチェックすることとなります。

もし条件に従っていない場合、裁判所を通じて遺言の取り消しがされることもあります。
 

愛犬、ペットに相続させることはできるのか?

子どもが既に独立して夫婦2人暮らしになった高齢者世帯などでは、実の子ども以上にかわいがられているペットも多いと聞きます。子ども以上にかわいい、となると、もしも自分の身に何か起きた場合はペットにも遺産を相続させたい、と思う人もいるようです。果たしてペットに財産を相続させることは出来るのでしょうか。

ペットは法律上「物」として扱われる

まず結論から申し上げますと、今の日本の法律でペットに財産を相続させることは出来ません。

相続であれ遺言書に基づく遺贈であれ、財産を受け取ることが出来るのは「人」に限られています。例外は胎児です。胎児は母親の子宮から完全に出てきたところで「人」になる、という説が通説ですが(全部露出説)、相続に限っては「胎児も人である」と例外的に認められています。胎児以外は絶対に「人」でなくてはいけません。

犬や猫といったペットは「人」ではありません。 では何なのか、というと、法律上はあくまでも「物」です。ペットを愛する人にとっては受け入れがたい話しだとは思いますが、あくまでも法律的なお話しをするとこのようになってしまうわけです。
 

 

噂の「ペット信託」とは?

最近一部のペットショップや行政書士事務所で「ペット信託」、「ペット法務」というような名称のサービスを提供しているのを見ることがあります。これらは一体どのようなサービスなのでしょうか。

まず「信託」という言葉の意味ですが、これは「Aさんが自分の財産を信頼出来るBさんに譲渡、BさんはAさんから譲り受けた財産を運用し、それによって得られた利益をCさんに与える」・・・という契約をAさんとBさんが結ぶことを指します。

AさんはBさんを「信頼」して財産を「託す」ので「信託」というわけです。Aさんを委託者、Bさんを受託者、Cさんを受益者といいます。

街中には「●●信託銀行」という銀行がいくつかありますが、信託銀行が行っている信託業務は、顧客から預かったお金を株式や債券などに投資して運用し、その結果得られた利益を収益として顧客に配当したり、様々な企業等に長期的に貸し付けることによってその利息から得られる利益を収益として顧客に配当する、というような業務を行っています。この場合、顧客が受託者、受益者で、信託銀行が受託者ということになります。

さて、その上でペット信託の仕組みをご説明しますと、まず最初にペットの飼い主は自分自身を代表にした合同会社を設立します。続いて飼い主はペットに遺したい財産を合同会社に移します。その後飼い主と合同会社は「自分の身に何かがあった場合は信託している財産を●●さんにあげて欲しい」という内容の信託契約を結びます。「●●さん」というのは自分の代わりにペットの面倒を見てくれる人です。

こうしておくことで飼い主の身に万が一の事態が起きた場合は直ちに信託が開始され、合同会社に預け入れていた財産が飼育費として新たな飼い主の元に渡ります。ペットの飼い主が委託者、合同会社が受託者、新たな飼い主が受益者、となるわけです。

ただし負担付遺贈の受遺者がペットの面倒を見てくれるかどうか心配なように、新たな飼い主がペットの面倒を見てくれるか心配な場合もあるでしょう。そのような時のためにペット信託では大抵「信託監督人」というのがあらかじめ指定されます。

この信託監督人は新たな飼い主が受け取った飼育費を適正にペットの飼育に使っているかをチェックします。もしも問題がある場合は信託監督人の権限において飼育費の支払い中断や、ペットを引き上げて新たな飼い主を探すことも出来るようにしておくことも出来ます。

「ペット信託」や「ペット法務」というサービスを提供しているペットショップや行政書士事務所は、飼い主の求めに応じてこの枠組み(合同会社の設立や信託契約書の作成、新たな飼い主の選定)を提供することによってビジネスを展開しているようです。

まだあまり一般的なサービスとは言えないので、利用する際には事前に慎重に内容を確認すべきでしょう。信頼出来る新たな飼い主を自分で見つけることが出来るのか、このサービスを通じて十分供給出来るのか、といった点が課題になっていると思います。

本来であればこのような業務を信託銀行が提供するのが1番だと思いますが、日本の信託銀行ではやっていません。よく海外で「身寄りのない資産家の飼い猫が1億円の遺産を相続した」というようなニュースを見ますが、海外では信託銀行や信託会社がこの手のペット信託を業務として行っているようです。
 

まとめ

多くのペットは人間よりも平均寿命が短いです。生まれてすぐに飼い始めても人間よりも先に亡くなることが多いわけですが、人間の方が高齢になるとどちらが先に亡くなるかわかりません。1度飼い始めたペットは一生面倒を見るのが飼い主の義務なので、自分の方が先に亡くなってしまいそうな場合はどういう形であれ、信頼出来る周囲の人に世話をお願いしておくべきです。

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