肺がんの生存率はどのようになっているのか?
肺がんは、1998年に臓器別がん死亡原因の1位になりました。それ以降、肺がんは、がんの死亡原因の1位です。世界的にも、肺がんになる人は、増加傾向にあると言われています。生存率は、どうなっているのでしょうか。
がんが1cm以下なら5年生存率はほぼ100%
肺がんは、自覚症状が出にくいことも多く、異常を感じて病院を受診した時には、すでにがんが進行していることが少なくありません。進行も速く、肺がんは、がん全体の平均的な生存率をどのステージでも下回るとされています。予後が悪いがんの一つに、肺がんはあげられます。 ただし、ステージ1の中でも、腫瘍の大きさが3cm未満のA期では、5年生存率は約90%とされています。特に腫瘍の大きさが1cm以下では、手術を受けた後の5年生存率はほぼ100%と言われています。 しかし、同じステージ1でも、腫瘍の大きさが3cmを超えるB期になると、5年生存率は一気に低下します。ステージ1のB期では、5年生存率は約60%と言われています。ステージ1全体の5年生存率は71.7%とされています。
ステージが進むにつれて生存率は急速に悪化
腫瘍の大きさが5cm近くになり、リンパ節への転移も認められるようになるステージ2では、5年生存率は急速に悪化します。ステージ2全体の5年生存率は、38.3%との報告があります。ステージ2では、手術が行える状態ですが、5年生存率は厳しい数値が出ています。 さらに症状が進行したステージ3になると、手術に耐えうる体力が残っており、がん組織を切除することが可能な場合には手術が行われますが、手術に耐えられそうにない状態やリンパ節転移が進んでいる状態では手術が行われません。その場合には、化学療法と放射線療法を併用した治療が行われます。 ステージ3の5年生存率は、手術を行えるか行えないかで異なります。手術を行った場合は、約30%とされています。化学療法と放射線療法を併用した治療では、5年生存率は15~20%。2年生存率でも30~40%と言われています。ステージ3全体の5年生存率は18.6%との報告があります。 遠隔転移が認められるステージ4では、5年生存率は4.3%。ステージ4になると、5年生存率を使わず、1年生存率を使うことが多くなります。1年生存率は30~40%です。
小細胞がんの生存率は低い
非小細胞がんでは、生存率はステージごとに調べられていますが、小細胞がんでは限局型と進展型に分けて調べられています。小細胞がんは、がん細胞の増殖が速く、余命が短くなりがちだからです。小細胞がんでは、手術が行われず、化学療法と放射線療法を併用して治療します。 がんが片方の肺だけに見つかっている限局型では、遠隔転移が認められる進展型よりも5年生存率は高いものの、20~25%にとどまります。2年生存率でも約50%です。進展型の小細胞がんでの5年生存率は0~5%。3年生存率でも5~10%という厳しい数値です。 そのような現状を踏まえ、国立がんセンターでは、小細胞がんが再発した時の標準的な治療方法を確立するための研究を行っています。小細胞がん全体の5年生存率を約10~15%改善することを当面の目標として研究が進んでいます。
肺がんは、予後の悪いがんの一つです。肺がん全体の5年生存率は20%未満とされています。手術ができれば、40%近くの人は5年間生きることができると言われていますが、手術の対象となる症例は、肺がんの場合は全体の40%に満たないとされています。肺がん患者の60%以上は、切除不能な進行がんで見つかると言われています。手術可能な非小細胞がんのステージ2でも、5年生存率は、ステージ1に比べると急速に悪化しています。ステージ3では、手術が行えるか行えないかによって、5年生存率は異なります。最初から手術ではなく、化学療法と放射線療法を併用して治療を行う小細胞がんでは、がんが片方の肺だけに見つかっている限局型でも5年生存率は20~25%にとどまります。小細胞がんの5年生存率の改善を目標にして、現在国立がんセンターで研究が進められています。
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