尊厳死とは?日本における問題点、賛成派と反対派のそれぞれの意見
尊厳死法案が国会に提出されるということで、2014年には再び尊厳死への社会的な関心が高まりました。どのように死ぬのかという問題は、どのように生きるかということと表裏一体を成す重要な問題であるだけに、世論調査でも「分からない」と回答する人が多く、今後個別的な事例の検討を丁寧に繰り返しながら議論が深まっていくことが求められます。
尊厳死とは?
当初は「安楽死」という言葉が使われていました。安楽死とは、回復する見込みがない病気に罹って激しい苦痛に悩まされている患者に対し、生命を絶つことによって苦痛を取り去る行為を指します。安楽死は、どのような形で死を迎えさせるかによって、3つに分けられています。積極的に死を招く措置をとる積極的安楽死、苦痛を取り除くための措置が死を早めることになる間接的安楽死、延命治療を中止して死期を早める消極的安楽死の3つです。このうち、積極的安楽死には殺人という負の評価がつき、現在も海外で積極的安楽死が行われると、激しい論争の的になっています。
1981年に世界医師会が「尊厳を保ち、かつ安楽に死を迎えるための権利」などをうたったリスボン宣言を採択したことなどから、「尊厳死」という言葉が使われるようになりました。日本尊厳死協会では、尊厳死を「人の不治かつ末期に際して、自己決定をして自分の死に方、延命措置の不開始または中止を求めた自然死のこと」と定義しています。日本学術会議が2008年にまとめた報告書では、尊厳死は「過剰な医療を避け尊厳を持って自然な死を迎えさせること」と定義しています。
難病支援団体や障害者団体は尊厳死の法制化に反対
2012年、尊厳死法案が国会に上程されようとした時、「尊厳死の法制化を認めない市民の会」が立ち上がりました。日本では、法制化を推進しようとしている流れに尊厳死協会がつき、法制化を阻止しようとしている流れに障害者団体がつくという図式が見られるのが、大きな特徴です。
法制化が必要になった背景には、難病で苦しむ患者を見かねた家族からの依頼を受けて担当医師が延命治療を中止し、医療機関内の反対意見のスタッフから刑事訴追されるという事件が繰り返されたという経緯があります。そのため、延命治療の中止は医療従事者の免責とセットになって論じられてきました。法制化の流れの中で、医療従事者は意見が分かれたままです。尊厳死というのは、非常に繊細な問題だけに、法制化に賛成するか反対するかという形で尊厳死自体への賛否が論じられているのが現状です。障害者団体が尊厳死の法制化に強く反対するのは、法制化によって「尊厳死」という形で死が強要される危険性があるからです。
経管栄養や人工呼吸器が必要になるALS(筋委縮性側索硬化症)の患者は、発症すると、不断の身体介護が必要になります。「改正 障害者基本法」であらゆる障害者が地域で共生する権利を法的に保障されながらも、地域によってはサービスが不十分です。家族への過剰な負担がいまだに続いています。そのため、家族に延命を言い出せずにいる患者が少なからずいるのが現状です。人工呼吸器をつけずに発症から2~3年で亡くなる患者は、発症者全体の85%に上るとされています。
難病では、呼吸器をつけることによる延命にネガティブな考えを持つ主治医の意見が患者の自己決定を左右しているとの指摘もあります。自由な意思で選択されるべき死に方の問題が医療経済の視点から論じられることが多いことも、尊厳死を社会的に進めようとする動きに警戒する人たちの懸念するところです。
延命至上主義への疑問が尊厳死の賛成派の主張
尊厳死に賛成する立場の基本は、自分の命だから自分で最期の姿を決めたいという思いです。自己決定権は憲法に保障されている基本的な権利です。自分の最期の姿を自分で決めたいという思いが強まった背景には、延命至上主義への疑問があります。
多くの問題をはらんでいるのが、認知症患者の終末期における胃瘻造設です。認知症が重度に進行すると、自分の意思を表明することができないため、介護する家族は一様に悩みます。そうした姿を数多く見ている福祉関係者の間でも、延命措置に対して懐疑的な立場の人が増え、尊厳死を法制化しようという流れの一つになっています。 病院で亡くなる人が8割を占める現在、延命治療を拒む権利を求める人は増えています。
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