映画に見るフランス独自の不動産売買制度
「遺産相続」はとても演劇的・映画的な題材なので、物語の設定の柱として、あるいは隠し味的な要素として、さまざまな形で使われています。今回は2015年秋に日本でも公開されて評判となった映画『パリ3区の遺産相続人(英題:MY OLD LADY)』をご紹介していきましょう。
「パリ3区の遺産相続人」ストーリー
高価な不動産を相続したと思ったら…
ニューヨークで貧乏暮らしをしていたフランス人の中年男が、亡くなった父の遺産を相続することになりました。遺産とはパリの一等地にある高級アパルトマン(アパート)です。
「部屋数も多く、しかも庭までついているこの物件なら、ひと財産作れる…」
父への追悼もそこそこに、わが身に起こった幸運にほくそ笑みながら、男はこのアパルトマンを売り払おうともくろみますが、その一室には謎の老マダムが住んでいました。
売却できない・年金を支払わなくてはならない
彼女は男の父が購入する前の所有者でした。彼女が言うには、この物件は、フランス独特の不動産売買制度「ヴィアジェ」によって契約された物件で、元の所有者である彼女は亡くなるまでそこに住み続ける権利があり、他人に売却はできません。
その上、相続人の男は毎月決まったお金を、いわば年金のように生涯彼女に支払い続けなければならないのです。
法制度が醸し出す人間ドラマ
名優の共演
そんなわけで相続が縁で関わることになった男と老マダム、そして、その娘。そこから男の亡き父と家族の歴史があぶり出され、喜怒哀楽の入り混じったドラマが、巧みなストーリー展開と、映画ファンにおなじみの名優たちの演技によって描かれていきます。
舞台劇の映画化
この作品、もともとはブロードウェイの舞台劇として書かれた戯曲でした。これをイスラエル・ホロヴィッツ監督(『いちご白書』の脚本家)がみずから映画化したのです。
誰もが一度は抱える家族との葛藤や和解、そして、新しい人生のめぐり逢いの大切さが見る者の胸に響きます。
「ヴィアジェ」について
短命ならお買い得、長命なら…
この物語の鍵になっているフランス独特の不動産売買制度「ヴィアジェ」は、フランスに200年前から存在する独特の不動産売買システムです。不動産を売却しても売主は死ぬまで住み続けることができ、買った側は売主が亡くなるまで、毎月一定の金額をローンの代わりに支払い続けます。
買った側の立場に立つと、売主がすぐに亡くなれば負担は少なくお得な買い物になりますが、長生きされると容易に不動産が手に入らないという事態に陥ります。
買った方が先に死亡することも
ヴィアジェを契約した人の悲喜こもごもの実話は豊富にあります。
20年の支払いを覚悟していた買主が、契約後、わずか2年で売主が亡くなったために格安で手に入れた例もあれば、90歳の売主と契約したところ、その売主がなんと122歳まで――つまり30年以上も生き続け、買主の方が先に亡くなってしまったという話もあります。
まとめ
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