遺産分割協議のススメ方 うまく解決するポイントを解説
この記事では、相続手続きにおいて必須のものといえる遺産分割協議そのものについて開設いたします。この遺産分割協議を知ることで、ある意味相続手続き全般を知ることと同じといえますし、いかにして円滑にかつ円満に相続問題を解決できるかはこの遺産分割協議にかかっているともいえます。
この記事を読むことで、遺産分割協議及びその後の手続きがスムーズに進めていただければ幸いです。
Contents
- 1 相続手続における遺産分割協議の重要性
- 2 遺産分割協議書が要求される場面
- 3 遺産分割協議の期限はおおよそ7ヶ月以内まで
- 4 相続財産調査
- 5 相続人調査
- 6 相続人の調査・確定の方法
- 7 戸籍謄本の取り方
- 8 遺産分割協議の進め方
- 9 遺産分割協議をうまくまとめるポイント
- 10 まとめ
相続手続における遺産分割協議の重要性
相続は、一般的には被相続人から財産を継ぐ手続きと思われています。確かに、財産承継といわれますし、それが相続というものです。
しかし、誰がどの財産を相続するかという場面においては、遺言がある場合でない限り、皆で話し合って決めることになります。これは、ある意味契約をかわすことと同様の意味合いをもってきます。
この話合いできめたことによって、誰が不動産の所有権をもつのか、会社は誰が所有するのかなど財産が誰のものか(帰属といいます)が定まるのです。
ですから、遺産分割協議は相続手続きにおいては、心してかかるべき重要なものと言えるのです。
この遺産分割協議で定めたことは遺産分割協議書という書面にしたうえで各種手続きで利用することになります。
遺産分割協議書が要求される場面
遺産分割協議書は相続が発生した場合には、必ずといっていいほど必要となる書面です。
どのような場面で必要となるかというと、不動産登記の移転手続きや預金名義の変更手続きなどです。以下詳しくみていきます。
不動産登記の移転手続き
不動産の名義を変更する場合は、その不動産近くの法務局で手続きをする必要があります。
この法務局での手続きでは、(登記)申請書の他に、「相続人間でちゃんと話し合って、誰が継ぐのか決めましたよ。」という証明のために、遺産分割協議書が必要になるのです。
これがないと、法務局側も誰がその不動産の権利者なのか判断がつかないからです。
なお、誰が権利者かという証明のためには、遺産分割協議書の他には遺言書も証明となります。
すなわち、通常は遺言書があった場合には遺言書を提出して名義変更手続きを申請しますが、遺言書がない場合、もしくは、遺言書を相続人全員で協議で否定してあらためて話し合いで決めた場合には、遺産分割協議書が必要になります。
預金名義の変更手続き
預金名義の書換え、預金の解約の場合も不動産登記名義の場合と同じです。
金融機関窓口にて「誰が権利者となるのか。相続人全員で納得したのか。」などを証明するために、遺産分割協議書が必要になります。
なお、金融機関窓口においては、遺産分割協議書のかわりに同意書で済ませることができます。
ただし、同意書は結局のところ預金に関する部分だけの遺産分割協議書と同じものであり、実印及び印鑑証明が求められます。
とするなら、はじめから遺産分割協議書を作成したほうがよいといえるでしょう。
このように、重要な財産の名義変更においては、遺産分割協議書が必要となるのです。
相続税申告手続き
相続税申告を行う場合においても遺産分割協議書が必要となります。
これは、どの相続人がどれほどの遺産を相続したかの決定が、相続税額の計算を左右するからです。
民法上の(法律上の)分割案ではなく、それぞれの協議で遺産相続額によって相続税額が変わるのです。
もともと、相続税は相続人個人にかかるものですから、当然といえば当然のお話になります。
遺産分割協議の期限はおおよそ7ヶ月以内まで
遺産分割協議書は記述の通り相続税申告においても利用するものです。
相続税申告は相続発生時(被相続人の死亡日)から10ヶ月以内と決まっています。
すると、10ヶ月以内までに決まれば良いと思割れますが、実際には、不動産の評価など相続税申告書作成の準備期間としては最低2ヶ月はほしいところです。
そこで、少し余裕を持って考えると、亡くなってから7ヶ月ぐらいをめどに作成されることをおすすめします。
すると、以下のようなスケジュールとなるでしょう。
もちろん、遺産分割協議が物別れに終わる場合には、遺産分割調停に移ることもあります。
その場合には、相続税の申告がぎりぎりになるか間に合わなくなるでしょう。
遺産分割調停になりそうになった場合には、いち早く弁護士や税理士に相談するのが望ましいといえます。
以上を前提に以下詳しくみていきます。
相続財産調査
不動産
もちろん、事前に被相続人から不動産の所在を聞いていることもあるでしょう。しかし、それが確かなのかどうかは書面で確認したほうがよさそうです。
そこで、不動産の調査はまず固定資産納税通知書を確認してみましょう。
納税通知書が届いているということは、不動産の名義が残っていることの現れでもあります。もちろん、不動産が共有名義になっていて他の方が固定資産税の納税を行っている場合には、わかりにくいかもしれません。ですから、親戚のほか友人・知人に聞いてみることも必要に思われます。
もし、納税通知書が見当たらない場合には、市区町村役場または都税事務所で「名寄帳(なよせちょう)」を確認してみましょう。名寄帳には取得している不動産の一覧が記載されており、どのような不動産があるのかわかります。
固定資産納税通知書または名寄帳により財産の所在がわかりましたら、市区町村役場または都税事務所の窓口で固定資産評価証明書を取得しましょう。
以上の、調査を踏まえ、不動産の所在地が確認できたら、その所在地管轄の法務局にて不動産全部事項証明書を取得します。いわゆる登記簿謄本です。
遺産分割協議書にはこの全部事項証明書の情報を記述する必要があるのです。
この全部事項証明書は、不動産の登記名義変更手続きでもその情報が必要になります。その意味で大変重要なものといえます。
預金名義
預金名義については、もちろん預金通帳があればそれで確認は取れますが、中には以前作ってそのまま不明になっている通帳もあるでしょう。
そこで、相続人であることを証明して口座があるかどうかを銀行の窓口で確認手続きを行いましょう。証明は、被相続人の戸籍と窓口に出向く相続人の関係がわかる戸籍、本人の身分証明書があるとベストです。
借金
借金については、「信用情報機関」という情報を取り扱っている機関に問い合わせすることで判明します。
なお、信用情報機関としては以下の3機関があります。
全国銀行協会 全国銀行個人信用センター
株式会社CIC
株式会社日本信用情報機構(JICC)
その他財産
もちろん、車や家具、家電製品なども財産といえなくはありませんが、基本的にほとんど財産価値がないものとされます。
ですから、フェラーリや価値ある骨董品などでない限り、遺産分割の対象ともなりませんのでおおまかに把握することで十分です
相続財産の調査が終わったら財産目録を
上記のような方法で相続財産を確定させたなら、出来る限り目録という形で分かりやすく作っておきましょう。
確かにこの目録作成は非常に手間と労力がかかります。
しかし、相続財産の正確な額の調査をしないで遺産分割協議をすると、後にトラブルに発展しかねません。
相続人同士協力し合うか、専門家を利用してしっかりとした目録を作成して、遺産分割協議をするようにしましょう。
相続人調査
相続人の調査とは、誰が相続人であるかを確定するためにする調査です。
調査の方法は、戸籍謄本等の取得をして行います。具体的には被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍を取得して、相続人がだれであるかを確定させます。
戸籍を調べなくても、分かるのではないかと思う方も多いかもしれません。しかし、誰がいるかを調べるだけでなく、他に相続人がいないことをしっかり確認・証明するためにも戸籍を取得する必要があります。
例えば、以前結婚をしておりその妻との間に子がいたり、結婚していない女性との間の子どもを認知していた、などの事実がある場合、これらの人も正当な相続人です。不動産登記や銀行の預金解約においてはこれらの相続人の権利を侵害しないようにする必要があります。
相続人の調査・確定は、このように、相続が開始されるとまず行わなければならない、必要な手続きです。
相続人の調査・確定の方法
それでは、相続人の調査の具体的な方法について解説します。
相続人の調査は被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍を収集することと、相続人が正当な権利者であることを戸籍謄本を集めることで行います。
なお、「謄本」というのは写しという意味です。原本は役所にあり、その写しが公的な書類と認められるのです。よって、謄本には必ず市区町村町長の印があります。
そして、戸籍で相続人を調査する際には、まず、被相続人の戸籍をみます。
もし、以前の本籍が記載されていましたら、今度はその以前の本籍のところの市町村役場にいって戸籍を取得します。この場合ですが、郵送でも可能です。そして、取り寄せた戸籍をみてさらに以前の本籍が乗っている場合には、その本籍のところへ…という具合に戸籍を出生のところまですべて取り寄せることになります。
なお、出生のところは、被相続人のご両親の戸籍になるでしょう。
戸籍の種類
そもそも戸籍とは家族単位で日本国民を登録する制度です。
日本国民であるかどうか、家族・親族のつながりがあるかどうか、当該本人が実在しているかどうかなどを証明できるものです。
本人がどこに住んでいるかなどの情報を管理する住民票とは異なるもので、よく間違われます。戸籍と住民票との違いは「戸籍と住民票の違いについてのまとめ」を参照ください。
戸籍の中身
現在、戸籍謄本は図のような型式です。
見て分かるとおり、一番上に本籍氏名が掲載され、下には、その構成員である家族が表記されています。
家族欄には、その方の生年月日、出生地、父、母、続柄があります。婚姻日や婚姻の前の戸籍なども記載されています。
この戸籍は、決して住所と同じとは限りません。戸籍の住所は、本籍地によって特定されます。本籍地とはその戸籍の特定のための名前のようなもので、戸籍は本籍地のある市区町村に保管されています。
ですから、特に住んだことのあるところではなくともよく、皇居だったり、さまざまな場所を戸籍の本籍地としている方もいらっしゃいます。
戸籍謄本
戸籍の原本は市区町村に保管され、その写しが戸籍「謄本」と呼ばれます。いわばコピーですね。謄本は原本すべての写しになります。最近は、戸籍謄本とはいわずに戸籍全部事項証明書といわれています。
これに対して、戸籍原本のうちの一部のみの写しがあります。これを戸籍「抄本」(戸籍一部事項証明書)と呼ばれます。コピーであることは謄本と共通ですが、全部事項か一部事項かに違いになります。
当然ながら、戸籍原本の写しに変わりありませんので、効力も変わりありません。
戸籍全部事項証明書の発行手数料は450円となります。
除籍と除籍謄本
この戸籍の家族の一人が亡くなった場合には、戸籍から除かれる必要があります。この場合、身分事項の欄に「除籍」と記載されます。
とはいえ、この戸籍には外の方がおりますので、戸籍としては現存することになります。
亡くなった場合だけではなく、離婚された場合や離縁(養子縁組を解消した場合)の場合も除籍と記載されます。
一人が除籍するだけですと、そのまま戸籍として残りますが、すべての人が除籍すると、戸籍は抜け殻になってしまいます。この写しのことを「除籍謄本」といいます。
よく、相続の場面では「除籍謄本」を要求されることがありますが、戸籍にまだ配偶者や結婚していないお子さんがいる場合には、除籍謄本は発行されず、通常の戸籍謄本が発行されます。ただし、亡くなった方のところに「除籍」と記載されているだけです。
除籍謄本(除籍全部事項証明書)の発行手数料は750円となります。
改製原戸籍
相続のさまざまな手続きで戸籍を集めていると「げんこせきが必要です。」と言われることがよくあります。
正式名称は「改正原戸籍」といいます。
現在の戸籍は電子的に保存されていますので、コンピューターで自動的に印刷されるのですが、それまでは、手書きの延長みたいな型式でした。
この戸籍を改製原戸籍といい、この写しを改製原戸籍謄本といいます。
実務上は「現」在の「戸籍」「げんこせき」と区別する意味で「はらこせき」と呼ぶことが多くあります。
改正原戸籍の構造は現在の戸籍謄本と同様ですが、縦書になっているあたりが異なります。
改製原戸籍の発行手数料ですが750円となります。
相続で必要な戸籍
相続手続においては、よく出生から亡くなるまでの戸籍が要求されます。
そこで、出生時の戸籍(亡くなった方の両親の戸籍)からご結婚されたときの戸籍(最初の入籍したときの戸籍)、並びに転居した際の新たな戸籍、そして死亡時に除籍されたところの戸籍まですべて必要ということになります。
その際には、一般的な全部事項証明書だけではなく、昔の戸籍が必要になることが多くあります。この時には改製原戸籍がほとんど要求されることになります。
すべての戸籍が要求されるのは、相続人が誰なのかということを明らかにする趣旨です。
一般的には、子どもや孫などいわゆる「直系卑属」が相続人になるとは思いますが、その辺りが分かるために戸籍が要求されるのです。
戸籍謄本の取り方
戸籍謄本は本籍地のある市区町村役場で請求します。
相続では、すべての戸籍を集める必要がありますが、先述のとおり、住所地とは違うことがあり、どこに戸籍があるのか、なかなか分からないことが多くあります。
この場合、チェックするポイントは、戸籍に記載されている、その前の戸籍です。戸籍には必ず以前の戸籍が記載されているため、これを一つずつ追っていきます。その本籍地の市区町村にいって、本籍地と氏名、生年月日で請求することになるでしょう。
もし、遠方に戸籍がある場所には、郵便為替(定額小為替)を入れて、請求することになります。
その際には、請求先の市区町村役場のホームページで請求するための提出書類や定額小為替の金額を確認して手続きを進めましょう。
遺産分割協議の進め方
それでは、具体的にどのように遺産分割協議をすすめていくのでしょうか?
ポイント1 借金がある場合は皆で負担
借金については、特定のだれかが負担するということを決めたとしても債権者には主張することができません。かつての裁判例でも債権と同様に、相続分の割合で相続人の間で分割されるとしています。
ですから、被相続人の借金については最終的にだれが負担するかということを話し合うことはできても、債権者に対しては自分の持ち分に応じて支払う必要がでてくるのです。
もし、相続財産の総額が借金のほうが多くなり、マイナスになるようであれば、早々に相続放棄の手続きに移行したほうが早いように思います。
ポイント2 不動産は特定の人に相続する
よく、不動産を共有にして遺産分割協議をする方がいます。しかし、あまりおすすめはしません。
理由は、不動産を処分するといったときに意見があわないと処分できない状況になってしまうことと、固定資産税の納税を誰がするのか混乱すること、さらに誰がどのように利用するのかまとまりづらいことにあります。
このようなリスクを承知の上で共有にされるのは構いませんが、、、
では、共有でなくどのような分割方法があるのかというと以下二点があります。
換価分割(現金に換えてから分ける)
土地やマンションなど、不動産はそのまま相続してもすぐにお金として使うことはできません。
また、共同で所有するのはデメリットがあったり、割合に応じて分けることが難しい財産もあります。
不公平だと争いになることもあるえます。
上記のような紛争を避けるために、財産を売却して金銭に換えてしまって分割する方法を換価分割といいます。この方法によれば、財産が現金化できるのでほぼ平等な取り扱いができます。
しかし、土地等の不動産が売却の対象物となるような場合には、売却まで1年程度はかかるといわれ、また現物を使いたい場合に使えないという不利益があります。
家・土地のように相続人の中にはまだそこに住みたいという希望がある方もいらっしゃるでしょう。そこで法律の規定にはないのですが次のような代償分割の方法が判例で認められています。
ただし、換価分割にはいくつかのデメリットがあります。
1 不動産売却先の探索
売却手続を行うにしても、その不動産の買い手を見つけるところから手続きは始まります。これには時間がかかり、すぐに見つけるためには、価格を下げる必要がでてきます。
2 登記移転と譲渡の手続き
売却先がきまったとしても登記移転と譲渡の手続きをするためには、一旦全相続人の共有名義にする必要があり、手続きとしてはとても煩雑になります。
3 譲渡所得の申告納税
譲渡した場合には、さらに譲渡した際の所得税の申告が発生する可能性があります。
以上から、換価分割は一面においてはよいのですが、手間と費用負担から専門家にお任せするしかなさそうです。
代償分割(代わりにお金を払う)
資産を誰か1人ないし複数の人が所有するとして、所有しない側にそれ相応の金銭を渡すことで解決する方法が認められています。これを代償分割といいます。
このことにより、家や土地を利用したいであったり、会社を引き継ぎたいというような場合にスムーズに事を運ぶことができます。例えば、家を相続するに際し長男が土地建物を相続するかわりに、長男が兄弟に1000万円支払うような場合にお互い満足のいく結果が得られるのです。
土地を売却することを避けて、その代りに不公平な金額分を他の相続人に対して現金で支払うことで全体のバランスをとれるのです。
代償分割においては換価分割のようなデメリットはありませんから手続きとしては簡単になります。
ただし、他の相続人に対する代償金の支払いが必要になりますが、しっかりと支払うことが可能なのかを十分に検討する必要がでてきます。
また、その際の相続税や譲渡所得による所得税の発生の可能性が生じます。ですから、相続税が発生しそうな財産の状態の場合には一度、税理士に確認したほうが良さそうです。
遺産分割協議書の雛形
以上を前提に遺産分割協議書を作成することになりますが、文面としては以下のような者になるでしょう。
遺 産 分 割 協 議 書 被相続人の表示 被相続人 ○○ ○○の相続開始に伴い、同人に属する遺産の分割について、共同相続人全員の間において次のとおり協議が成立した。 1 次の不動産について、○○○○が取得する。 (建物) 2 次の預金について、○○○○が取得する。 3 次の預金について、○○○○が取得する。 4 本遺産分割協議書に記載されていない遺産、及び後日新たに判明した遺産は○○○○が相続する。 上記協議が成立したことを証明するため、相続人は署名捺印したうえ、本遺産分割協議書を○通作成し、各相続人が各々保管するものとする。 平成○○年○○月○○日 住所 東京都新宿区○○○○○○○○ 住所 東京都新宿区○○○○○○○○ |
遺産分割協議をうまくまとめるポイント
相続人が遺産分割協議に応じないとどうなる?
遺産分割協議はどのような形にしても必要であることは確かです。相続財産が誰に渡るのかを決めることで、初めて相続手続きが進むのです。
ところが、相続人のうちの一人でも協議に参加しないと話がまとまらず、手続きが進まないことになってしまいます。ですから結果的には多少強制的にでも遺産分割協議に入ってもらうようにする必要があります。
具体的には、話し合いにはいってこない場合には裁判所の遺産分割調停を利用するのがよいでしょう。裁判所での遺産分割調停を利用することで、協議に応じない相続人も協議に応じてもらえるでしょう。
なお、遺産分割調停は出席しない相続人がいる場合だけでなく、遺産分割協議がまとまらず、争っている場合にもよく利用されます。
家督相続は考慮すべき?
家督相続とは、簡単にいうと実家となる家やお墓など先祖代々まもってきた財産を継ぐことをいいます。かつては、長男が継ぐものという暗黙のルールがあったようですが、最近はだいぶ柔軟になってきていると思われます。
遺産分割協議が家督相続の話し合いの意味合いを持つというご家族もいらっしゃいます。通常、家を誰が継ぐのかという話をする際には、遺言書があることが一般的ですが、遺言書がない状態の事もあります。その際には、遺産分割協議で家督相続の話をすることになるでしょう。
実は、家督相続のお話ができるご家庭はある意味スムーズな相続が見込まれます。誰が継ぐのかという判断が皆で共有しているといえるのです。ただし、法律上はあくまで公平な相続を考えているのであり、また最低限の権利である遺留分があるのも確かです。
家督相続を前提にしながらも相続の割合には配慮しながら進めるというのがよいでしょう。
遺産分割協議は今後の信頼関係の基礎
遺産分割協議で物別れに終わってしまうと、その後の付き合いはほぼなくなるものと思われます。ですから、物別れに終わりそうな遺産分割協議の雰囲気がある場合には、法律上の規定にそった形で公平にまとめる意識が大事のように思います。誰も文句は言えませんよね。
裁判所や調停委員もその辺りはわかっていて、できるだけ公平な分配にしようとするのも文句が言えない状態にまとめることを前提で動いているように思います。
このように考えると、お互いに譲歩しながら公平な解決を図るのが、信頼関係を築く上でもとても大事なことです。
遺産分割協議をしばらく禁止することは可能だが
実は、遺産分割協議は遺言書や合意さらには、調停や審判によって5年間は禁止することができます。
一旦あたまを冷やす期間を設けるという趣旨なのでしょうか。時間をかけてゆっくり解決する方法もあるということです。
ただし、この場合においても、相続税が発生する場合には、相続発生から10ヶ月以内に相続税申告が必要になります。すると、とりあえず全部の財産を共有にした状態での申告になると思われます。
ですから、協議自体を禁止したとしても、相続税が発生するのかどうかについては、税理士に相談するのが望ましいといえます。
まとめ
これまで、遺産分割協議のススメ方について解説させていただきましたが、もっとも円滑に進めるには、専門家のアドバイスがあるのが望ましいといえます。
というのは、今後の付き合い方を考えると当事者だけで協議をするのはもめてしまう危険があり、望ましい結果にはならないと思われるからです。
冷静な判断が求められる遺産分割協議においては第三者の力が必要なのでしょう。
“
相続手続きを自分でやるための方法、相続に関する知識などの情報を発信しています。
副業、プチ起業、スキルアップにおすすめ!アート・クラフトの講師になれる認定講座
世界中で大人気、NYやLAでは「第2のヨガ」と呼ばれる新しいアート・DIYのレッスン方法を学んでみませんか?
副業、プチ起業、スキルアップにおすすめ、講師として教えられるようになる「ペイントインストラクター認定講座」「DIYインストラクター認定講座」の講師が全国で誕生中!