60代で考えるべき相続のこと
1.60歳と65歳で迎える2つの節目
60歳は人生の節目です。特に一般のサラリーマンの場合は定年という大きな節目を迎えます。
近年は定年後も嘱託などで再雇用されるケースが多いですが、退職金を受け取った後、現役の時と比べると格段に安くなった再雇用後の給料明細を見た時に「定年退職」という事実をひしひしと感じさせられるのです。
退職金を手にした時、多くの人が「このお金で余生を楽しもう」と夢をはせるとともに、「子どもたちにも残さなければ」という思いが胸をよぎるはずです。そして5年後の65歳になると、もっと大きな節目を迎えます。
この60歳から64歳までと、65歳以降との二段階で、相続について考えるべきことが違うのです。その違いを、一般のサラリーマンの場合を例に考えてみます。
2. 最初の節目 定年退職
子どもに残すといえば、遺産相続が頭をよぎるはず。でも60歳ではほとんどの人が本格的に相続のことを考える気にはまだまだなれないでしょう。でも「今のうちにできることはないか」という気持ちが頭をもたげるはず。そんなときに考えるべきなのが「生前贈与」なのです。 お子さんたちはそのころには、お金がかかる年代になっているはずです。結婚や出産、お孫さんの小学校入学、あるいはマンション購入もあるかもしれません。親としてはたとえ少しでも援助をしたくなるはずですよね。でもご用心。一度に大金を渡すと贈与税がかかります。生前贈与は、1年間110万円までは基礎控除で贈与税がかかりませんが、これを超えると、超えたお金の額によって10~50%(平成27年1月からは10~55%)の税金がかかります。超えた金額が大きいとけっこうな税率になります。おまけに、贈与税がかかるのは贈与を受けた側になるんです。 「1年間に110万円」というのは、お子さん1人についての規定なので、2人なら220万円、3人なら330万円まで無税です。これを毎年続けていけば、節税しながらかなりのお金を子さんに引き継げます。これが財産相続の第一段階になります。
3. 生前贈与、これだけはご用心
いいことずくめの贈与ですが、大切なことがあります。贈与は相続税法ではなく民法に規定されていて、贈与が認められるには次の2つの条件があります。 ・財産をあげる人は、財産を「あげます」という意思表示 ・財産をもらう人は、財産を「もらいます」という意思表示 なので、親が子ども名義で預金していても、子どもが預金をしてもらっていることを知らなければ贈与とは認められません。なので、名義は子どもであっても親の財産となり、相続があった時には相続財産として相続税の対象になります。 贈与を証明するには、証拠を残しておく必要があります。例えば次のような方法が考えられます。 ・贈与契約書を作る ・お金を贈るときは振り込みにして通帳に履歴が残るようにする ・通帳の印鑑は子ども用に準備して、通帳・印鑑ともに管理させる これを怠ると生前贈与をしたつもりなのに、贈与ではないと税務署から指摘される可能性があります。生前贈与は毎年こつこつ続けることが大切で、これによって財産を減らすことになり、相続税対策にもなるのです。
4. 65歳、相続を本格的に考えるとき
60歳が最初の節目とすれば、65歳はもっと大きな節目といえるでしょう。多くのサラリーマンが、再雇用の期間が満了するからです。働き先がなくなると家計が大きく変わります。毎月の給料が入らなくなり、これに代わって年金収入が家計の柱になります。年金(一般のサラリーマンの場合は厚生年金になります)は、65歳になるまでは待機期間とされています。60歳でも請求すれば受け取ることは可能ですが、働いていていている場合は、給与所得と年金とを合わせた額が月46万円を超えると、減額あるいは支給停止になります。会社を完全リタイアした65歳からが、事実上の年金世代となるのです。 高齢者と呼ばれるようになり、住んでいる自治体によっては高齢者手帳を受け取るなどして、高齢者優遇の各種サービスを受けられるようになります。「毎日が日曜日」になると周囲の目も変わってきて、電車の優先席に座っていても白い目で見られることもなくなるはずです。 こういった環境になった65歳こそ、相続のことを本格的に考える時期といえるでしょう。でも、相続の前にご自身の老後のことを考える必要があります。食費などの基本生活費や住まいにかかる住居費は変わらないかもしれませんが、医療費がかさむことが多くなる上、介護が必要になった際の介護費用、さらには老人施設に入らなければならくなった場合のことなども見積もっておく必要があります。 それが終わったら、いよいよ、残った財産をお子さんたちにどう残すかです。生前贈与のことは先に書きましたが、今度は相続のことを真剣に考える時期といえるでしょう。相続税、相続人、遺留分、遺産分割、そして遺言のこと…。知らなければならないることは山ほどあります。すべてを一度にというのは無理でも、腰を据えて情報を集め、相談できる相手がいるなら相談すべきでしょう。 財産を分けるタイミングを考えた場合、贈与を「生前」とすれば、遺言は「死後」ということになります。60代は、その2つのタイミングを年齢を二段階に分けて考える時期といえるでしょう。”
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