紅茶リプトンの創業者遺産20億はどこに?!8年にわたる兄弟間の相続争い

「京都の紅茶王」と呼ばれ日本に紅茶を広めた 福永兵蔵氏は2005年に101歳で亡くなりました。福永氏が生前に築いた財産は20億円以上と考えられています。その遺産をめぐって、福永氏の非嫡出子である城生真里さんが義母兄弟と裁判で争っています。この記事では、この長年にわたる遺産相続裁判の経過をまとめておきます。

紅茶を広めた第一人者 福永兵蔵氏の妻たち子供たち

日本に紅茶を広める

福永氏は、1930年にリプトン直営の喫茶店を京都の三条に開店しました。第二次世界大戦中は、紅茶は敵国の製品のため輸入禁止となりましたが、戦後の時代の変化とともに紅茶の人気は高まりました。福永氏はその後も事業を成功させ、京都屈指の資産家となり、一代で20億円以上の資産を築きました。

2度の結婚と複数の愛人そして城生真里さん

福永氏は2度結婚し、5人の子供がいます。また、婚姻関係にない複数の女性との交際もしていたといわれていて、その中の一人の城生八重子と福永氏の間に生まれたのが、真里さんです。福永氏は、真里さんを認知しました。けれども、福永氏と八重子さんが籍を入れることはありませんでした。
 

遺産をめぐって、子どもたちが裁判!

 認知された子には7万円しか渡さない!?

2007年に真里さんは一通の内容証明を受け取りました。なんと、真里さんが相続する福永氏の遺産は、7万8002円のみという書面が同封されていました。真里さんは、この金額に自分の存在を否定されたと思い大きなショックを受けたそうです。そして、これに応じなかったために、福永氏の長男で、事業を引き継いだ晃三氏に、債務不在確認請求訴訟を起こされました。これが、長い裁判の始まりでした。

裁判を起こして、580万円の判決

真里さんも2009年に晃三氏と義母兄弟を相手取って京都地裁に遺産相続訴訟を起こしました。京都地裁は、真里さんに3000万円を支払う和解案を出しましたが、真里さんはこれに応じませんでした。そして、2013年に京都地裁は、真里さんが受け取る遺産額は588万7121円とする判決を下しました。京都地裁は、福永氏の遺産を約3億円とし、この遺産額を提示しました。
福永氏の資産は20億円以上ありましたが、1990年代中頃までに、株式などの名義を晃三氏や他の親族の名義に変更していたのでした。真里さんは、これは真里さん(非嫡出子)へ財産を相続させないための対策だったと考えています。

8年かけて6500万円の和解案を出されたが、まだ納得せず!

京都地裁の判決に納得のいかなかった真里さんは、大阪高裁へ控訴しました。大阪高裁は、2015年6月に6500万円の和解案を提示しましたが、真里さんは応じませんでした。彼女は、福永氏の遺産のうち1億2000万円を相続する権利があると主張しています。裁判が始まってから8年が過ぎています。ちなみに真里さんはこれまでに裁判費用を500万円以上支払っているそうです。  
 

問題となった実子と婚外子の法定相続分、今は平等に

法律が変わり、実の子供も、認知された子供も平等に!

2013年9月に最高裁判所は、民法900条4の「嫡出でない子の相続分は、摘出である子の相続分の二分の一とする」という部分は「法の下の平等」を侵しているので、違憲であるという判決を下しました。この判決により民法が改正され、2013年9月5日以後に開始した相続に適用されることになりました。

真里さんの場合も、法律改正により認められるか?

2001年7月1日以後に開始した相続についても、遺産分割が終了している場合を除いて、改正後の法律が適応されるので、改正後の民法によれば、真里さんも 嫡出子である義兄弟と同じ金額を相続する権利があることになります。
 

まとめ

遺産をめぐる裁判が長期化することは、珍しいことではありません。この城生真里さんと義母兄弟との裁判は、まだ決着をしていません。長期の裁判には、精神的な負担だけではなく、莫大な費用もかかります。生前に相続について家族で話し合うことについて抵抗のある人もいると思います。けれども、争いを避けるために、事前に遺産相続について専門家も交えて、家族で話し合っておくことをお勧めします。
 

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