知って得する!アパートマンション建設の消費税の還付制度について
1.消費税還付の基本的な考え方
仮に、ある小売店がメーカーから販売用の品物を仕入れたとします。
言わずもがな、仕入れ代金には消費税も含まれています。
これを仮払消費税と言います。
そして、小売店が品物を一般消費者に販売する場合、消費者から受け取るのが仮受消費税です。
小売店は、消費者から受け取った仮受消費税から、既に負担している仮払消費税分を除いた差額分のみを納めれば良い仕組みになっています。
つまり、納税額 = 仮受消費税 - 仮払消費税 という計算式で表せます。
ところが、販売不振などの事情に因り、当初の仕入額よりも、品物を安く販売せざるを得ないこともあり得ます。
その場合、仮払消費税額の方が当然多くなる訳で、上記の計算式の解はマイナスになります。
このような時、そのマイナス分は還付を受けることができるのです。
他方、賃貸アパート・マンション建築の場合を見てみましょう。
建築費用には当然消費税が含まれますが、家賃収入は非課税売上とされており、消費税の対象外となっています。
オーナーも上記の例の小売店と似た立場であるにも関わらず、黙って何もしなければ、仮払消費税とのマイナス分を回収することができない仕組みです。
そこで、消費税を還付して貰うための手続きが必要となるのです。
2.オーナーが消費税を還付してもらうためにはどうする
(1)消費税の課税事業者となる
そもそも、消費税は課税事業者でなければ還付してもらえません。
消費税課税事業者選択届出書という種類を提出することで、アパート・マンション経営者も課税事業者になることができます。
ただし、一度提出すると、2年間は課税事業者を止めることができなくなります。
(2)家賃収入以外の課税売上を発生させる
消費税課税制度の一括比例配分方式を採用した場合、支払った消費税の合計に対し、総売上の内、課税売上高の割合を乗じたものが控除額になります。
控除額 = 支払い消費税 × 課税売上割合 という計算式で表せます。因みに、課税売上割合 = 課税売上 ÷ 総売上(課税売上+非課税売上) です。
このような訳で、消費税還付を受けるためには、課税売上を発生させることが必要になるのです。
アパート・マンション経営者における課税売上は、居住目的ではない事務所や店舗の家賃収入、駐車場収入などが考えられます。
太陽光発電設備を設置して、売電ビジネスを検討される方も最近はいるようです。
また、かつてはアパート・マンションの敷地内に、自動販売機を設置することも流行りました。
3.消費税の還付額を高めるにはどうする
一括比例配分方式では、課税売上の割合が大きくなる程、消費税の還付額は増加します。
そうなると、アパート・マンションの建物引き渡し時の課税期間内で、いかに課税売上の割合を大きくするかが課題になります。
大切なポイントは、この課税期間内に、非課税売上である家賃収入を極力発生させないことです。
例を挙げれば、建物引き渡し時期を、課税期間の最終月である12月中に調整して、テナントの入居は翌課税期間の年明け1月以降にするなど、オーナーは工夫することができます。
アパート・マンション建築における消費税還付対策は、届出提出時期、建物引き渡し時期、課税売上をいかに発生させるか、経理処理をどうするか、など予め多くの観点からプランを立てておく必要がありますから、建築段階から準備することが肝要です。
4.消費税還付を受けるか否かは、総合的に判断するのが賢い
税制の見直しが入るとは言え、今後もアパート・マンション経営者が消費税の還付を受けることは可能と考えられます。
それでも、アパート・マンション経営者が消費税の還付を受けることは、以下5つの理由からデメリットもありますので、総合的な経営判断が大切になります。
(1)消費税還付の分だけ減価償却費が少なくなります。
中長期の経営視点で眺めると、オーナーが消費税の還付を受けることには、それほど旨味がありません。ただし、資金繰りの観点からは、短期的にメリットはあります。
(2)消費税の還付手続きを自ら行うのは難易度が高く、税理士に依頼するのが必須です。
その場合、還付された消費税金額の2~3割程度を成功報酬として、税理士に支払う必要があります。
(3)強引な消費税還付スキームを作ると、所轄税務署から目を付けられるリスクが高まります。
税務署と上手に付き合っていくことは、アパート・マンション経営を長く続けていく上で大切なことです。
(4)オーナーへの消費税還付を、借入先の金融機関が嫌がる可能性もあります。
アパート・マンション経営の規模拡大局面においては、敢えて消費税還付を受けることを避けた方が良い可能性があります。
(5)消費税の還付を一度受けた場合でも、数年後の税務調査で否認されるリスクがあります。
還付を否認されて返金を求められた際、既に還付金を使ってしまっていれば、経営上の資金繰り悪化が想定されます。
まとめ
以上、オーナーがアパート・マンション建築費の消費税還付を受ける方法と、そのデメリットについて述べてきました。
いずれにしても、建築段階から、不動産経営に精通した信頼できる税理士に相談した上で、中長期的な経営視点も踏まえて、消費税還付を受ける準備をすべきことが分かります。
急な思い付きで、消費税の還付を受けるようなものではないのです。
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