海外赴任中や、外国籍の人が相続を受けたときの相続手続きと相続税まとめ

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税制の抜け穴、相続税強化のきっかけに

相続税の増税が始まりました。平成27年1月から税率が高くなるだけでなく、基礎控除額が抑えられるため、これまでは対象にならなかった人にも課税の網がかかることになります。

課税回避に頭を悩ませる人たちの間で関心を集めているキーワードが「海外」です。

海外に移住したり、資産を海外に移したりして課税を免れる方法はないかと知恵を絞っている人が多いためです。

この海外にまつわる税制は、国が抜け道をふさぐ相続税強化のきっかけとなった有名な訴訟があります。 某消費者金融大手の創業者である父親(国内に居住)から海外に住む子(日本国籍)に、外国の会社の株式(国外財産)を贈与したことを、国は「実態は国内に居住していた」として贈与税を課しました。しかし最高裁まで争った結果、国側の敗訴が確定し、国は高額な還付加算金を付けて還付したのです。

これをきっかけに、国内に住所がある被相続人(財産を遺した人)または贈与する人から、日本国籍を持っている人が相続または贈与を受けた場合、外国に住んでいて国外財産を取得した場合でも、相続税や贈与税が課されることになりました。

海外赴任中に父親から贈与を受けたり、父親が亡くなって相続が発生したりした場合、国内財産はもちろん、国外財産でも贈与税や相続税が課税されるようになったのです。

それでも抜け道を探して課税を免れる手法が出てきました。息子の妻を渡米させて出産。生まれた孫に米国籍を取得させてそのまま米国に住む。日本にいる祖父が国内の財産を海外に移し、その海外財産を孫に贈与する、というものでした。国は贈与税を課しましたが、名古屋地方裁判所で敗訴しました。

先の消費者金融創業者からの贈与の場合は日本国籍を持っている人への贈与でしたが、このケースでは、外国籍で外国に住む人に国外財産を贈与した場合には贈与税がかからないという税制のすきを突いた手法です。このため国は、さらなる税制改正を迫られたのです。

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