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自筆証書遺言が無効になるケースのまとめ

無効になる実例と判例から自筆証書遺言の危険性を示唆

遺言書 2015年12月4日 閲覧数:518

手書きの遺言(自筆証書遺言といいます)は簡単に一人でできてしまうことからよく用いられる方式ですが、その作成には慎重を期さなければなりません。
このページでは無効になってしまう例と遺言の内容をめぐって最高裁まで争ってしまったような事例をご紹介いたします。

無効になってしまう具体例

自筆証書遺言の方式について定めた民法968条の全文では、

「第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。」

とされています。
 

音声や動画で遺した遺言は無効

音声や動画の形式で遺言をする、ということを法律では想定していません。

音声はともかくとして動画は遺言者本人がカメラの前で遺言をするので、間違いなく本人のものだから有効ではないか、という気もしますが、法律で指定された方法でない時点で無効です。

今は携帯電話やスマートフォンで簡単に動画撮影が可能なので、遺言をしている動画を撮影したくなるのもわからなくはありませんが、とにかく法律的には無効です。

 

 ワープロやパソコンで作成された遺言書は無効

最近は年配の方でもパソコンを日常的に使う方が多くなってきました。

インターネットの閲覧やメールのやり取りのみならず、自治会や趣味のサークルの会報や年賀状を作成したりといった多少高度なことに用いる方もいらっしゃるようです。

そのような方が「せっかくの遺言書だからパソコンできれいに作成しよう」と張り切ってカラフルな色使いで上質な紙で表紙までつけた立派な遺言書を作成したとして、残念ながらこの遺言書は法律的には無効です。

なぜなら自筆証書遺言は「自筆」というくらいですから自書する必要があります。つまり肉筆で書かなくてはいけない、ということです。民法968条にも「自書し」と書いてあります。

「署名は自筆だからいいじゃないか」と言う方がたまにいますが、署名も本文も全て自筆である必要があります。 逆にチラシの裏に悪筆で殴り書きにした遺言書であったとしても、他の要件もきちんと満たしていれば法律的には有効です。
 

 日付が入っていない遺言書は無効

遺言書において日付は極めて重要です。

もしも同じ人が自筆で書いた遺言書が死後に複数発見されたような場合、新しい日付の遺言書が有効になるからです。「何年の何月何日に書かれたのか」という情報が必要だ、ということです。

よくありがちなミスとしては「2014年10月」や「2014年10月吉日」、「2014年10月、肌寒い秋日の自室にて」のような書き方がされることです。「吉日」や「肌寒い秋日」では何日を指しているのかわかりません。必ず「2014年10月1日」のような書き方をしなくてはなりません。

あまりないとは思いますが「2014年、愛妻●子の70歳の誕生日に」のような書き方は有効です。日付は書かれていませんが、「愛妻●子の70歳の誕生日」は何年何月何日かが明確で、ピンポイントに特定の日付を指しているからです。 また、日付をスタンプで押している遺言書は無効です。日付はわかりますが、民法968条には「日付」を「自書し」と書いてあります。
 

 他人に書かせた遺言書は無効

自分で書くのが面倒だからということで、子どもや経営する会社の部下などに遺言書を書かせる、というケースがありますが、これは法律的には無効です。

繰り返しになりますが「自筆」する必要があるからです。仮に肉筆で書いたものであっても本人が書いていないので無効、ということです。

遺言者の筆跡とは違う筆跡で書かれた遺言書が出てきた場合、それを見た相続人は当然内容に疑問を持つはずです。せっかく遺言書を遺すのに、わざわざトラブルの火種を作る必要はありません。
 

複数の人間で共同でする遺言は無効

これは例えば「両親2人から子どもへ」のような形で行われる遺言ですが、無効です。

そもそも遺言というのは自分自身の意思表示であり、遺言書はそれを書き遺すものです。他人の意思表示をするものではありません。

自筆証書遺言は自筆でする必要がありますが、夫婦2人で遺言をする場合であってもその遺言書は夫か妻のどちらかが書くはずです。この場合、書いている方は書いていない方が自筆証書遺言を作成するという自由意思を奪って勝手に書いている、とみなされます。これでは遺言書としての体裁を成しているとはいえません。

裁判での事例

複写式のカーボン紙で書いた遺言が問題で裁判に

自筆証書遺言の判例1(最判平5.10.19)

「自書」について、カーボン複写方式がこれにあたるかが争われた事例です。

最高裁は、

「本件遺言書は、Dが遺言の全文、日付及び氏名をカーボン紙を用いて複写の方法で記載したものであるというのであるが、カーボン紙を用いることも自書の方法として許されないものではないから、本件遺言書は、民法九六八条一項の自書の要件に欠けるところはない。」

として、自書であることを認めました。

署名の後に印鑑を押していなかった遺言が問題で裁判に

自筆証書遺言の判例2(最判平6.6.24)

要件の1つとして『印をすること』が要件とされています。通常は、名前の後ろに印をするのですが、封筒のとじ目にしか印がなかった場合です。

最高裁は

「遺言者が、自筆証書遺言をするにつき書簡の形式を採ったため、遺言書本文の自署名下には押印をしなかったが、遺言書であることを意識して、これを入れた封筒の封じ目に押印したものであるなど原判示の事実関係の下においては、右押印により、自筆証書遺言の押印の要件に欠けるところはない。

として、要件を具備していると認めました。

きちんとした遺言でないと遺族が争うことになる

この2件の判例からわれわれは何を学べばよいでしょうか?

この2件はいずれも、通常しないことをやってしまったためにおきた紛争です。

そしてその当事者はいずれも遺族です。

最近では、自筆証書遺言は最近では作成キットなども販売され、気軽に作成できるようになりました。

しかし、一つ何かを間違うとこのような骨肉の争いに発展してしまうのです。

ですので、遺言書の作成は自筆証書遺言であっても、一度は専門家に相談をして、その有効性を確認してもらうのがいいでしょう。

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