農家の相続で知っておくべき3つのこと

さらにその猶予された税金は、次のうちどれかに該当した日に免除されるのです。

・その農地を相続した人が死亡した場合

・相続してから20年間農業を継続した場合

こうした優遇があるのは、農家で相続があった場合、宅地並みに相続税が課されると農地の分散や納税のために農業経営が継続できなくなることが考えられるため、それを避けるのが目的です。ただし、免除前に納税猶予の適用を受けている農地の面積の20%を超える部分を譲渡したり、宅地などに転用すると、納税猶予は打ち切られ、利子税を付けて納税しなければなりません。

猶予を受けられる人は、次の要件に該当していることを農業委員会が証明した相続人に限られます。

・被相続人が死亡の日までに農業経営をしているか、相続人に生前一括贈与をした場合

・農業相続人が、被相続人から相続または遺贈で取得した農地について、相続税申告期限までに農業経営を開始し、その後引き続いて農業経営をすると認められる場合

この要件のうち農業経営は、相続人自らが農業を営むのが前提でしたが、平成21年12月以降は農地を貸した場合でも猶予されることになりました。ただしこの場合は、農地としての利用を終身続けることが条件です。

土地の評価額は? 難航必至の分割協議

次は、遺産分割をスムーズにし、トラブルを避けるための遺言と生命保険についてです。

農家の相続で問題になるのは、農地は単独で相続するケースがほとんどで、細分化して相続することを想定していないことです。

例えば、農業を営んでいる長男が農地を相続した場合、会社員の次男の相続はどうなるのかという問題が起きがちです。

農家の場合は農地が財産の大半を占めるケースが多く、預金や有価証券などの備えがないため遺産分割協議が進まないことがあるのです。 仮に長男が農地を相続し、次男が現金・預金などを相続するとなった場合には、農地の評価額をどう見るかという問題が起きます。相続税法上の評価額や固定資産税の評価額と、宅地に転用して売った場合の評価額とに開きがあるはずなので、トラブルが起きがちです。 一口に農地といっても、次のような分類があります。

・3大都市圏の特定市の市街化区域内農地

・生産緑地

・市街化区域農地

・市街化調整区域内農地(純農地、中間農地、市街地周辺農地)

・農用地区域内農地

評価額の算定方式はそれぞれ異なる上、特に「3大都市圏の特定の市にある市街化区域内農地」は、首都圏、中部圏、近畿圏の特定市にある農地を指し、農地の宅地転用を促す目的で設定されているため評価額も高くなり、遺産分割も高額になって農地を相続する長男が払いきれないといったケースも起きがちです。

転ばぬ先の杖 生命保険

そこうしたトラブルを避けるために必要なのが、被相続人の生命保険です。 また、生前贈与したり、遺言で長男に相続させる旨を書き残しておくことも有効です。

農地がいくつかある場合は、Aの農地を長男に、Bの農地は次男に、といった具合に指定することもできます。 農業を廃業して宅地などに転用する場合は、猶予されていた相続税を支払う必要が出るだけでなく、宅地並みの税金が課されることを覚悟しなければなりません。そんな時に、被相続人にかけた生命保険金が大きな力になります。生命保険や遺言、あるいは生前贈与などの対策を怠っていると、いざとなった時に困るのは遺族です。

一方、相続税猶予の優遇があるといっても、農業を営むより宅地に転用するなど農地を有効活用する選択肢もあります。特に遺産分割協議が進まない場合などには有効な選択肢で、特に都市近郊農地では農地の評価額との差も大きいことから真剣に考える人も多いようです。 最後になりましたが、納税猶予で注意しなければならないことが一つあります。3大都市圏の特定の市にある市街化区域内の農地です。先に書いたように宅地転用を促す狙いがあるため、相続税・贈与税の納税猶予制度を受けられません。

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