絵画などの美術品や骨董品にかかる相続税まとめ

「相続税が払えない」

ちょっと古い話ですが、「相続税が払えない」という本が話題になったことがあるのをご存知ですか?
著者は、文化勲章を受け、101歳で亡くなったた日本画の大家、奥村土牛(どぎゅう)氏の4男のカメラマン。本のサブタイトルは「父・奥村土牛の素描を燃やしたわけ」となっていて、奥村氏からの遺産の相続税が払えず、父が遺した美術品であるデッサンなどを燃やして相続財産を少なくするように苦労したという話をつづっています。

美術品の評価額 どう決めるの?

高名な画家でなければ、大富豪の遺産でもさすがにこれほどのことは起きないでしょうが、相続税を納めるために美術品を燃やすというのはちょっと考えさせられてしまいます。でも、生前に父親から「この絵は5千万円で買った」といった話を聞かされていて、遺産を相続してみたら、そんな絵が目の前に何枚もあったら、「さあ、どうしよう」と迷っちゃいますよね。

そこまで高価な美術品でなくても、美術品や骨とう品を現実に相続することになった場合、誰でも戸惑うかと思います。その値打ちが分からないのですから。そんなとき考えるのはまず税務署に相談してみよう、あるいは美術商など専門家に鑑定してもらおう、といったところかと思います。

この場合、税務署に相談しても多くの場合、「そちらで評価額の算定を」という答えが返ってくることが多いようです。国税庁の「財産評価通達」では美術品などは「精通者意見価格等を参酌して評価する」とされている程度で、この場合の評価は精通者(通常は美術商など専門家)の意見、あるいは「美術年鑑」などを参考にするという意味です。結局、鑑定依頼は相続する側がすることになるのです。

美術品より鑑定費用が高くつく?

相続税計算のためのこの鑑定というのが曲者で、もちろん費用が掛かります。有名画家のものとされていればその真贋から時価も算定してくれるのですが、美術品1点につき1万数千円~2万円程度掛かるのです。そんな絵画が何十点もあったら大変です。その結果、時価数十万円とか言われたら目も当てられません。

実際のケースでも「美術品の価格より、鑑定費用のほうが高くついた」ということも珍しくないようです。 また、美術年鑑の価格は保存状態が完璧で、画廊が顧客に売却する場合の参考価格なので、所有しているだけの場合の財産価値が保証されるものではありません。

こうしてみると、よほどの美術コレクションを持っていた人の遺産でなければ、莫大な相続税を課税されるところまではいかないことが多いようです。このため購入時に数十万円程度のものなら相続税の計算上、美術品・骨董品ではなく「家財」としてカウントすることが実務面では多いのです。その際は、相続税の申告書に他の家財と合わせた「家財一式」で20万円~70万円程度を相続税の計算に入れます。

とはいえ、名のある美術品収集家の遺産であれば、時価評価が数億円、あるいは十数億円を超えることもあり得ます。そんな情報が税務署に入っていれば税務調査に乗り込んでくることが予想されます。その結果、相続税が高額になって現金で納めるのが大変だ、となった場合はどうすればいいでしょう?

美術品の物納 認められるケースは?

考えられるのは物納ですが、美術品は動産として最下位の物納財産に位置づけられています。第1順位は「国債・地方債、不動産」、第2順位は「株式、社債」、第3順位が「動産」で、美術品は動産にあたるためこの第3順位です。上位の財産がなければ物納できますが、基本的には難しいようです。

しかし例外があり、重要文化財や国宝など国が登録した美術品であれば最優先で物納できます。価格は国が評価し、その評価額に応じて相続税が掛かりますが、その価格分を物納できるのです。ただし、単に重要文化財などに指定されているだけではだめで、文化庁に登録したものでなければ認められません。

文化庁のホームページをのぞいてみると、こうしたケースで物納された文化財はこれまでに2件だけとのことです。確かにそんな貴重なものを相続する人はまれですよね。となると、残された道は寄付しかありません。相続財産のうち、国や地方公共団体などが運営する美術館などに寄付する美術品や骨董品は、相続財産に含まれないという特例制度が設けられているのです。

最初の話に戻ります。 日本画家の奥村土牛氏から相続した遺族も、この寄付で相続税を減額したのです。土牛氏の作品が多く収蔵されていた東京の美術館に、8点を寄贈したのです。この8点の評価額がなんと3億5千万円だったとのこと。そのままにしていたら3億5千万円の評価額にかかる相続税を支払う必要があったのです。

こうした節税に加えて、スケッチ類を燃やすなどして減額に努めたものの、宅地や現金・預貯金などを合わせた遺産総額は22億円を超え、相続税額は4億円を上回ったそうです。美術品の相続といえども、高名な画家の遺産となると相続税が高額になることもあるようです。

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