消えたジョン・レノンの遺書、そして、遺産の意味

昨年(2015年)4月、ジョン・レノンの最初の妻、シンシア・レノンがガンのために亡くなっていたことが明らかにされました。彼女は2006年に出版された著書『John(邦題:ジョン・レノンに恋して)』の中で、ジョンの遺産や遺書について書いています。第2の妻オノ・ヨーコとの間にどんな確執があったのでしょうか?
 
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Original Update by Mihai Bojin
 

凍結されていた息子の遺産相続

先だってこのコラムコーナーで、オノ・ヨーコの遺産管理・運用術がジョンの遺産を大きく膨らませたという話を書きましたが、近年、ヨーコはその遺産の多くの部分をジュリアン・レノンに譲り渡しました。
遺産については生前、ジョンが「ジュリアンの分は基金に入れ、成人(一人前の人間)と見なされたときに渡すこと」などと記した遺書をヨーコ宛てに残していたと言われています。しかし、それが長年支払われず、譲渡されたのは、ジュリアンが40歳を過ぎたときでした。
ヨーコがそこでやっとジュリアンを「成人」とみなしたということなのか、それとも遺産をもう十分に増やしたので譲渡しようという気になったのかは、定かではありません。
 

日記の謎と遺産相続問題

ヘイ・ジュードとジュリアン

ビートルズナンバーの中でも屈指の名曲「ヘイ・ジュード」は、ジョンがシンシアと別れてヨーコのところへ行ってしまい、父親を失った子どもの頃のジュリアンを励まそうと、ポール・マッカートニーが作った曲であると言われています。
 

ジョンの日記

シンシアの「ジョン・レノンに恋して」の後半では、その離婚騒動の経緯、ジョンとヨーコに対する気持ちの揺らぎ、そして息子に注ぐ愛情について丁寧に書かれています。
その中で、ジョンが亡くなる直前まで日記をつけており、ジョンとヨーコのもとで秘書をしていた人物が、ジョンが「自分に何かあったら日記をジュリアンに託したい」と訴えた、という話が出てきます。
 

ヨーコの手に渡った日記

しかし、問題の日記はジュリアンやシンシアでなく、結局ヨーコの手に渡り、そこに何が書かれていたかはヨーコだけが知る謎になってしまいました。
もちろん、ジョンの遺産相続に影響する内容だったのかどうかは分かりません。ただシンシアの文章からは、ヨーコがショーン(ジョンとのヨーコの間の息子:次男)のことを慮り、この日記を隠ぺいした…と勘繰っているニュアンスが漂ってきます。
 

遺産問題を通して家族・人生・愛を語る

シンシアの立場

シンシアが息子のジュリアンには相続の権利があると主張するのは母親として当然であり、また、ヨーコに対して反感・不信感を露わにするのも、最愛の夫を奪われた女性として当然でしょう。
 

彼女の言葉から受け取れること

今となっては真実はわかりません。ただ、私たちがシンシアから受け取れるのは、遺産の相続とは、単にお金や法律だけの問題ではなく、家族のつながり、それぞれの人生の価値、そして愛の意味など、すべて考え合せて向き合う問題である、ということです。
あまりに偉大な影響力を持った音楽スターの妻となり、やがてその座から追い払われる、という稀有な運命を背負った女性が語る言葉には、読む側の気持ちや考え方を揺るがせる深さと切なさにあふれていました。
 

まとめ

この本は結果的にシンシアが自分の気持ちを綴った最初で最後の著書。いわば公に向けた「遺書」になってしまいました。
もし機会があれば、ビートルズやジョン・レノンのことをよく知らない人、あまり興味のない人も、ぜひ、このシンシアの「遺書」に触れてみてほしいと思います。そして、遺産についての自分の考え方を、今一度改めてみてはいかがでしょうか。
 
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