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★相続放棄のコワい落とし穴 勘違い放棄は大変なことになります!

2016年6月20日 石川 秀樹 行政書士 相続放棄
◇相続放棄とは

民法上の用語の一つで、法定相続人が遺産の相続を放棄すること。
相続放棄をしようと思う者は相続を知った時から3か月以内に家庭裁判所で申述書を提出しなければなりません。
相続放棄をするとその者は、初めから相続人でなかったものとみなされます(遺産に関する一切の権利と義務を失います)。
「相続人でなかった」ことになるので、法定相続人の順位に影響を及ぼすこともあります。
相続放棄をすると、放棄者の子や孫は代襲相続できません。
相続放棄は相続が発生した以降でなければすることができません。


■聞きかじりの知識があだになる!

「相続放棄」をごく一般的に解説すると、以上のようになります。
意味がお分かりになりますか?



相続対策では聞きかじりの知識が大きな災いとなることがあります。
遺言は財産を左右する文書ですから最高に重要な文書ですが、その割に一般の人の知識はあやふやです。
大金が動くというのに・・・・・、「知らない」というのは非常に危険であると憂慮せざるを得ません。



冒頭の「箇条書き解説」で最も重要な個所は「太字」にした部分です。
「初めから相続人でなかったものとみなされる」ということは、単に「遺産をもらわなかった」ということとは意味合いがまったく異なります。
赤い太文字で書いたように、「法定相続人の順位に影響を及ぼす」ことがあるほど重大な”地位変更”なのです。



相続を経験した非常に多くの人が「遺産を何ももらわなかった」ことを「私は相続放棄した」と言ってしまいます。
この「相続放棄」は、家庭裁判所に出向いて「相続放棄」の手続きをしたこととは別物。
言葉は同じなのですが、法律効果はまるで違うので、言葉に惑わされて必要もないのに”放棄”をしないでください。



■もらわない=放棄、ではない

わかりにくいので例え話で解説します。



あなたの家で相続が発生したとします。
遺言がなければ法定相続人全員で「遺産分割協議」を行うことになります。
あなたは遺産をもらう資格のある法定相続人です。
この協議であなたは「遺産を一切もらわなくていい」と、遺産の分割を辞退したとします。
これは「相続放棄」ではありません。
「遺産額ゼロ円で合意した」というだけのことで、あなたは相変わらず法定相続人であり、遺産分割協議書に署名・押印しなければなりません。



これに対して「相続放棄」は、あなたが家庭裁判所に行って正式に手続きしなければ法的に認められないのです。
「ただ手続きが面倒になるだけのこと」と思ってはいけません。
あなたが法定相続人でなくなるということは、とても大きな意味があります。
コチラ(↓)をご覧ください───
(※イラスト省略)


■義母が放棄→きょうだいが相続人に

ちょっと難しそうなイラストを描いてしまいました。
(実際はそう難しくはないので、おつきあいください)
子どもがいない夫婦です。
夫が亡くなると、法定相続人は妻と夫の母親(妻から見れば義母)が法定相続人になります。
夫が遺言を書いていなければ法定相続分は「妻2/3、義母1/3」です。



義理のお母さんと夫婦は同居していました。
本来、子の相続は茶色の台形の枠内で終わる話です。
お義母さんとお嫁さんが遺産分割協議をして、「妻がすべての遺産を相続する」との協議書を作って、ふたりで署名押印すればいいだけです。



ところが、気のつくタイプのお義母さんは「私は財産なんかいらないわ。相続放棄しますからね」と言って、家庭裁判所に行ってさっさと相続放棄の手続きをしてしまった。
さあ、大変です。
お義母さんはとんでもなく余計なことをしてしまったのです!



第2順位の法定相続人はお母さんただ1人。
(※お嫁さん(配偶者)には相続順位がなく、常に主要な相続人になります)
この人が相続放棄をすると「第2順位の法定相続人」がいなくなるので、今度はお嫁さんと「第3順位の法定相続人(夫の兄弟姉妹)」とが分け合うことになってしまうのです。お義母さんのいらざる行動により、第3順位の相続人をわざわざ相続の場に引っ張り出してしまったわけです。
相続分は「妻3/4、兄弟姉妹1/4」となります。



相続時に死亡している兄弟姉妹は相続人ではありませんが、その子どもが代襲相続人になります。
ですからきょうだい側の相続人は甥や姪まで登場して、A、乙、丙、Dの4人が法定相続人になり、それぞれの相続分は「1/4を4人で割って、1/16」となります。



きょうだい側の相続分は1人当たりでは1/16で大した額ではないように見えますが、夫の遺産が4000万円(不動産3000万円、金融資産1000万円)だとすればA、乙、丙、Dの相続分は各250万円になります。
これだけの金額が”転がり込む”なら母親が「私のミスだった。嫁に返しておくれ」と言っても聞き入れない人が出てくる可能性は高いでしょう。
もちろん第3順位者の何人かは相続放棄するかもしれません。
しかしその場合でも、第3順位者が1人でも残っていれば、1000万円は第3順位者側の権利です。
(同順位者が何人いても相続分は増減しません)



以上が太赤字で書いた「法定相続人の順位に影響を及ぼす」例です。



お義母さんの手痛いミスでした。
根底にあるのは義お母さんの「知識不足」です。
お義母さんはきっと、一般の人が誤解して使う「相続放棄(単に遺産をもらわないこと)」と同じ感覚で手続きしてしまったのでしょう。
まずいことに「相続放棄」は取り消しができないのです。



■子の相続放棄で招いた悲劇

もう一つ例を挙げておきます。
まったく同じ勘違いです。
コチラの方(↓)がミスとしてはよりいっそう悲惨です。
(※イラスト省略)


今度は「夫婦と子ども2人」の家庭の相続です。
子がいますから、この家の相続は核家族内で完結できるはずなんです。
妻もそのように楽観していました。
夫とは生前から「私が死んだら君がすべて相続しなさい。子どもたちには相続放棄させればいい」と話していました。



妻はその指示通りにしました。
子ふたりに家裁に行って「相続放棄の手続きをするように」と指示したのです。
その結果、どうなりますか?
赤丸点線のきょうだい2人は「初めから相続人でなかった」ことになってしまいます。



子ふたりをイラストから外すと、”子なき夫婦”の相続とまったく同じになります。
被相続人の両親がすでに他界していますから、第3順位者の兄弟姉妹が突然、法定相続人になってしまうのです!
「相続放棄」の意味をご夫婦とも勘違いしていました。
夫が気軽に使っていた言葉なので、妻は疑いもせずインターネットで「相続放棄」の手続きを調べ子に指示を出したわけです。



実際にはどうすればよかったのでしょうか。
簡単です。
親子で話し合い(遺産分割協議)「母親がすべての財産を相続する」と書いて3人が署名押印すればよかったのです。
相続放棄の手続きなど、まったく無用なことでした。



■「技術」は正確な知識から

結果は重大、父親の兄弟姉妹(正確には甥、姪を含む)に1000万円分も”献上”しなければならなくなりました。
「遺言は技術である」と何度も行ってきました。
「技術」のおおもとにあるのは正確な知識でなければなりません。
聞きかじりの”知識”で動いた結果、こんな憂き目をみることになりました。



終活や相続の周辺にはこういう話がいくらでもあります。
介護や医療、お墓・供養、遺言相続、資金捻出手段としての生命保険のこと──。
人の終末にかかわることは誰にも関係があり、多くの人がいろいろな形で経験します。
だから「体験談」を持っている人は非常に多い。



自分が経験していないと、どうしても人に聞きたくなります。
そこで体験が語られるわけですが、上に挙げたどの分野の話も実は奥が深く、素人判断をすべきではありません。
遺言だけではなく、相続も、終活も技術です。
技術を支えるのは「正確な知識」。



そのことを言いたくて、こんなに長い「とは物」になりました。



※イラストはコチラ↓でご覧になれます。

★相続放棄とは──危険、取扱注意!! ただの「辞退」に非ず。痛恨の勘違い放棄も!
http://yuigonsouzoku.net/inheritance-abandonment/

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