後見制度の悪用

成年後見制度は認知症患者などの保護のために、創設、利用されてきたはずなのですが、やはりいくつか問題もあります。 私が「特に注目!」と思っているのは2つあります。

1つ目。 成年後見人に就任して、代理権、同意権、取消権をもつ(任意後見制度の場合は、同意権、取消権はありません)のは良いのですが、親族が後見人に就任した場合に、本人の意思を無視して動いてしまう可能性があるということです。 本人は、本当が自分の好きなちょっと高価な服をほしいといっても後見人がダメといったり、本人にとっては使えなくてどうでもいいスマホを後見人がもたせたりしたら、本人にとっては自分の意思に従った人生を過ごすことができず、つまらなくなってしまって幸福感をもてないでしょうね。

2つ目。 深刻な話になりますが、親族が財産を着服するケースがあるようです。 東京家庭裁判所での報告はこちら この報告の中を見ると・・・、 平成23年 被害件数311件 被害総額:33億4000万円(平均:1074万円/1件) 平成24年 被害件数624件 被害総額:48億1000万円(平均:771万円/1件) 平成25年 被害件数662件 被害総額:44億9000万円(平均:678万円/1件) となっています(><);

1つ目については、障害者が意思決定ができるような支援を利用する機会を提供すべきという流れになっています(障害者権利条約12条3項 2014年1月批准)。 支援を受けた自己決定=「支援付き意思決定」と言われたりします。 で、この批准により、国連障害者権利委員会は、現時点でスペイン、中国、オーストリア、オーストラリアなど10カ国でモニタリングを行っていますが、すべての総括所見で、法定後見制度を廃止して意思決定支援制度に置き換えるべきであると勧告がなされています。 日本もモニタリングされると、ひょっとして現行の成年後見制度の廃止なんていうこともありえるのか?

なお、「支援付き意思決定制度」として検討されるのは、支援者による援助・ピアサポート・権利擁護・コミュニケーション支援・事前計画など、公式・非公式の多様な支援を含み、社会的ネットワークと地域社会による支援(友人・家族・学校など)が重要であるといわれています(国連障害者権利委員会の一般的意見書 2014年4月採択)。 しかも、支援を尽くしても「本人の意思と選好」を決定できない時は、客観的に見て個人の「最善の利益」(単純に経済的な利益といえると思います)と認識されることでなく、「意思と選好の最善の解釈」によって支援するとされています。(言葉がちょっとむずかしい!) 要は、とことん本人の意思を推定して代理人の意思を排することを考えろ!ということのようです。

2つ目について ぼけているからといって、使い込んだらやはり業務上横領罪(刑法253条)の可能性があります。 これは、「すぐに返すから~。ちょっとだけなら~」といっても同じです。 そして、使いこんでしまうと当然ながら親族間でもめます。 もめてしまうと本当にエネルギー使って疲れてしまい、何も手が付けられなくなってしまいます。 そこで最高裁判所では、悪用の現状から支援信託制度をすすめているようです。

もめないようにするには、まったく関係ない、信頼できる、第三者を後見人にするのがいいのではと思います。 ただし、第三者とはいえ、監視されないのは大変にまずい!(専門家が横領する事例もあります。) したがって、しっかりと報告書を作成してもらい、関係者の皆さんに公開できる専門家が理想ですね。

といったことを教わって、「謙虚に謙虚に」と自分に言い聞かせているところです。。。

<文責:コンサルティング事業部 吉崎>

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