相続税の納付期限と、気をつけるべき点を徹底解説

相続税は現金で一括納付が必要です

相続税は納付期限までに現金一括納付が原則です。つまり納税資金は現金で用意する必要があるということです。

制度としては、「延納(分割で納めること)」や「物納(現金でなく不動産等の現金以外の物で納める」も認められています。しかし、これらの制度は適用を受けるには条件がかなり難しくなっているようで、近年ではほとんど認められないことを前提とした方がよさそうです。

相続があったかどうか、税務署は必ず知っている

「相続」があったという事実を、税務署は必ず知っています。

被相続人が死亡したときは、普通、市区町村に死亡届が提出されます。

市区町村では、戸籍が抹消され、住民票に「死亡」と記載されることになり、死亡したことを公的に証明する手続きがなされます。 また市区町村は死亡届を受理しますと、その死亡届に書かれている内容を税務署へ通知します。この手続きは相続税法に定められています。

つまり市区町村から税務署へ情報が流れる仕組みになっているため、税務署は被相続人が死亡したことを知ることができるのです。

また、市区町村が管理している固定資産税に関係する情報も参考資料として流れますので、被相続人の土地や建物などの財産情報も知ることができるのです。

つまり、「申告を忘れていたけど税務署も見落としたみたいで何事もなく済みました」ということはないということです。

税務署が連絡をしてこなければ大丈夫?

税務署が連絡をしてこない場合は、相続人の相続財産が相続税の基礎控除以下であるため、そもそも相続税がかからないと判断した場合です。また、この場合、当然ですが相続人には申告する義務はありません。

ですから、逆に相続税が課税されると見込まれる相続人が、相続税の申告をしなかった場合、税務署から連絡があります。

もし、相続税が課税される相続人が申告をしなかったときには、罰金がかかりますので注意が必要です。

納付期限までに手続きしなかった…一番怖いのは特例が使えずに税金が高くなること!

相続税の申告を忘れていて一番怖いのは、申告することによって受けることができる特例を受けることができなくなり、結果として相続税が発生してしまう場合や、相続人の自己判断で遺産として考えていなかったものが、相続財産として課税されてしまうような場合です。

1. 小規模宅地などの特例の適用が使えなくなる

例えば「小規模宅地等の特例」は、簡単にいうと自宅の土地の評価額を80%減額できるという大変ありがたい基礎控除の特例なのですが、この特例は、原則として申告期限である10ケ月以内までに申告しなければ適用されないのです。特例の適用があれば相続税の支払いが必要なかったのに、申告を忘れたために相続税が発生することになるということになります。当然納付期限を過ぎた後のことですので、罰金と合わせて納付することになります。

2. 相続税法特有の相続財産(みなし相続財産)の分も税金を払う必要がある

生命保険や死亡退職金などは、原則受取人である相続人のもともとの財産なのですが、相続税法上はみなし(本来は相続財産ではない)で相続財産として扱い、相続税の計算において加算されたりして結果的に相続税が発生する可能性があります。このような場合も申告漏れとなり、罰金と合わせて納付することになります。

まとめ 相続税は納付期限があるので早めに専門家に相談しましょう

 相続税の計算は非常に難しく、相続人個人で正確な計算はできないと考えた方がよいでしょう。特に持ち家がある場合や、保険金の支払いを受けるなど財産があると思われる場合は、自分で申告をしないでよいと判断するのではなく、一度専門家(税理士など)に相談するのが確実だと思います。

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