裁判、調停の手引き【保存版】|裁判、調停に関する疑問を全て解説!
裁判、調停を利用することはあまりしたくないと思いますが、もめたときは仕方なく利用せざるを得ません。
この記事では、遺産相続時の調停及び裁判、そして審判についてまとめました。
裁判所を利用する3つの方法
審判
審判とは一定の小さな紛争について、裁判官が判断をして解決する方法です。
審判事件には、二種類あります。当事者が協議によって結論を出すことができるものと協議によって出せないものです。
協議によって結論を出せないもの…後見開始の審判、相続放棄申述の受理、失踪宣告、養子縁組の許可等
協議によって結論を出るもの…婚姻費用分担、遺産分割、親権者の変更、親権者の指定等
とくに前者の協議によって結論を出せないものは、当事者が一人で結論を出すものがほとんどです。当事者が複数いて争うという性質のものではありません。裁判官が公益的な見地から判断して決定をします。
これに対して後者の協議によって結論を出せるものは、複数の当事者で協議して解決できないものが、裁判所に持ち込まれたといえるでしょう。紛争状態なのです。ですから、一般的には審判に持ち込まれたとしても、当事者の協議を前提とした調停による解決を試みることを勧められます。
この審判事件については、裁判官が、当事者から提出された書類や家庭裁判所調査官の行った調査の結果等種々の資料にもとづいて判断を決定します。
審判事件については、不服があるときは、審判から2週間以内に高等裁判所に不服申立をすることができます。
調停
調停は裁判のように勝負を決めるのではなく、話し合いによってお互いが合意することで紛争の解決を図る手続きです。
調停には民事調停、特定調停及び家事調停の三種類があり、相続に関する調停は家事調停の分野になります。
また、家事調停の中にも三種類あり、別表第二調停、特殊調停、一般調停があります。
このうち別表第二調停は、実は上記審判の中で協議によって結論を出せるもの、これと同じになります。
なお、特殊調停には、協議離婚の無効確認や親子関係の不存在確認、認知などが、一般調停には、離婚などがあります。
調停では、一般市民から選ばれた調停委員と裁判官が、調停委員となり、当事者双方から事情を聞いたり、意見を聞いたりして双方が納得した状態で合意書面にします
【参考記事】
裁判(訴訟)
当事者間の紛争について訴え側(原告)と訴えられる側(被告)に分かれて主張・立証を行い、最終的に当事者以外の第三者である裁判官が判決を下すことで紛争を解決する手続きです。
この訴訟においては、遺産分割協議をどうしようかというより、権利関係を確定させることが主目的になります。遺産分割訴訟という訴訟はなく、相続財産の確認のための、所有権確認訴訟や共有持分確認訴訟といった訴訟を提起することが一般的となります。
この裁判によって、相続財産の範囲はどこまでかなどが決まります。
そして範囲が確定したことを前提として遺産分割協議(調停)に戻るということになります。
このように裁判では遺産分割の前提問題に決着をつけ、その後に遺産分割協議や調停に戻って話し合いで決着をつけるという段取りになります。
それでは、どのようにこれらを利用すればよいのでしょう?以下、具体的にみてまいります。
紛争の段階に応じて、調停、審判、裁判と使い分ける
相続発生時
遺産分割をどのようにするかということを相続人間で相談します。
もし、相談内容が固まるころに遺産分割協議を開いて、まとまりそうでしたら遺産分割協議書という書面にします。
しかし、遺産分割協議がまとまらない、もめている場合には、裁判所を利用する旨検討することになります。
討する場合には、弁護士に相談しましょう。
裁判所での遺産分割調停
もめた場合には弁護士による裁判外での仲裁などの手続きもありますが、一般的には裁判による調停手続きにすすめます。
ここでは、既述の通り調停委員が当事者の話をきいて、話を取りまとめ、合意に達するようでしたら合意書面が作成されて後日当事者に送付されます。
【参考記事】
訴訟の場面
もし調停の中で相続財産の範囲などで争われた場合には、その点について訴訟を行うことになります。
あくまで、遺産分割案の取りまとめではなく、相続財産の範囲や相続人としての地位確認などがあります。訴訟の中でもちろん和解など当事者が合意することもありますが、それはあくまで財産の範囲や帰属についてのみということになります。
裁判で財産の範囲が確定しましたら、また調停手続きに戻ります。
遺言の場合の訴訟
なお、遺産分割の争いとは別に、遺言による財産分割の場合の訴訟というのもあります。
この場合には、遺言無効確認の訴訟をおこすことになります。
審判の場面
調停手続きで当事者が合意できるのであれば、良いのですが、調停がまとまらない場合もあります。
その時は審判で決着をつけることになります。
審判では、裁判官の決定で決まりますが、不服がある場合には即時抗告と上級裁判所に判断してもらう制度もあります。
【参考記事】
遺産分割調停はどこの裁判所で行うか?
遺産分割調停をする裁判所のことを管轄裁判所といいます。
基本的には被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所が調停を行う場所ということになります。
家庭裁判所ですが、下記のリンクから最寄りの家庭裁判所を探すことができます。
http://www.courts.go.jp/map_list/index.html
各地方ごとに家庭裁判所が掲載されています。リンクをクリックして場所を確認してみてください。
【参考記事】
相続で問題となった裁判例
亡くなった被相続人と同居していた相続人に対して、他の相続人が家賃相当分を請求した事例(最判平成8年12月17日)
同居していた者は、被相続人と同居人の間で、「被相続人が死亡し相続が開始した後も、遺産分割により右建物の所有関係が最終的に確定するまでの間は、引き続き右同居の相続人にこれを無償で使用させる旨の合意があったものと推認される」ので「少なくとも遺産分割終了までの間は、被相続人の地位を承継した他の相続人等が貸主となり、右同居の相続人を借主とする右建物の使用貸借契約関係が存続することになる」から家賃相当分の請求は認めませんでした。
もともと、同居していたのに、相続をきっかけに同居人に家賃分を請求するのはあまり納得いかないですよね。
他人の添え手による補助を受けてされた自筆証書遺言が有効か争われた事例(最判昭和62年10月8日)
「本来読み書きのできた者が、病気、事故その他の原因により視力を失い又は手が震えるなどのために、筆記について他人の補助を要することになつたとしても」自署能力を失わず、遺言を有効としました。
そもそも内容を理解して遺言書を作成していたということのようですから、添え手があったとしても有効というのも納得できるように思います。
財団法人の理事長である父が亡くなり、母親に対して支払われた死亡退職金は相続財産か争われた事例(最判昭和62年3月3日)
死亡退職金は、「相続という関係を離れて配偶者に支給されたもの」として相続財産ではないとしました。
死亡退職金は死亡を条件とした退職金で、需給者も決まっているものです。受給者の権利として考えることが妥当かと思われます。
遺言書を捨てた者は相続の資格を失うのかを争われた事例(最判昭和62年3月3日)
「遺言書の破棄又は隠匿行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、これを遺言に関する著しく不当な干渉行為ということはできず」、相続欠格にはあたらず、相続人として認めました。
不当な目的がある場合は別として、たまたま破ってしまった、捨ててしまったという場合に、相続人でなくなるというのは確かに酷なことです。
共同相続人の一人が除外された状態で相続手続きが行われた場合に、5年後に除外された相続人から相続権を主張されたときに、時効にかかるかを争われた事例(最判昭和53年12月20日)
侵害している相続人がその部分が除外された人の持ち分であることを知っていたとき、またはその持ち分が自分のものだと信ずるべき合理的な事由がなければ5年の時効にかからないとし、除外された相続人の相続権の主張を認めました。
他の相続人の持ち分であることを知りながら、除外した相続人にそのことを言わずに5年間放置して、時効で消滅したから、相続持ち分を渡さないのは、かなり納得のいかない話ですね。
以上のように判例では、実際にどちらを勝たせるべきか、合理的な結論を考えながら判決を出しているものと思われます。
【参考記事】
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